ライターアクションが問題に!西城秀樹『ブーツを脱いで朝食を』
2018年5月17日 更新

ライターアクションが問題に!西城秀樹『ブーツを脱いで朝食を』

アクション歌謡の担い手として、70年代に一世を風靡した西城秀樹。彼の人気曲『ブーツを脱いで朝食を』は、小道具にライターを使用したアクションが話題を呼びましたが、そのパフォーマンスを子供が真似たために、火災事件が発生してしまいました。

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冒頭、西城秀樹さんの訃報に心よりご冥福をお祈りいたします。

沢田研二と人気を二分するアクション歌謡歌手だった西城秀樹

70年代に流行したアクション歌謡。山本リンダの『どうにも止まらない』(1972年)や沢田研二の『カサブランカ・ダンディ』『サムライ』など、歌に合わせて展開される思考を凝らしたステージパフォーマンスは、当時、多くの子供が真似したものです。

西城秀樹は、沢田研二と人気を二分したアクション歌謡の歌い手でした。1972年3月25日にシングル『恋する季節』でデビューした彼が、はじめてチャレンジしたアクション歌謡は、同年11月25日にリリースした『チャンスは一度』です。
チャンスは一度(西城秀樹)

チャンスは一度(西城秀樹)

他の新御三家メンバーと差別化を図るために、情熱的でセクシーな路線で売り出した

当時、「新御三家」のメンバーで、郷ひろみは可愛い美少年、野口五郎は歌唱力抜群と、それぞれキャラ立ちしていたために、ヒデキはどう売り出すべきかと思案されました。そこで提案されたのが、ワイルドな風貌を活かし、情熱的かつセクシーな路線で売っていくというもの。これが採用され、ヒデキは胸のはだけた衣装に身を包み、色っぽい声で絶叫するスタイルを確立させていったのです。
ヒデキといえばこのスタイル

ヒデキといえばこのスタイル

この愛のときめき 1975年2月発売

カラーテレビの普及が、アクション歌謡ブームの追い風に

情熱を演出するには、歌唱と衣装だけでは物足りません。時に激しく、時に悩ましい動きで、身体全身をつかって表現していく必要があります。

ということで、ヒデキの楽曲はサードシングルの『チャンスは一度』より振りが付くようになります。ちょうどこの曲がリリースされた1972年というのは、カラーテレビが白黒テレビの契約数を上回った年。そんな時代背景もあって、派手な衣装でダイナミックに動く、ヒデキのアクション歌謡は爆発的人気を博していくこととなるのです。
1960年 カラーテレビ誕生

1960年 カラーテレビ誕生

60年代半ばに「3C」(カラーテレビ・クーラー・カー)と呼ばれて重宝がられたカラーテレビも、70年代からは、持っているのが当たり前になっていった

『薔薇の鎖』でのマイクスタンドアクションが話題を呼ぶ

『チャンスは一度』以降、ヒデキは、『情熱の嵐』(1973年)、『ちぎれた愛』(1973年)、『薔薇の鎖』(1974年)、『激しい恋』(1974年)、『傷だらけのローラ』(1974年)、『ブーメランストリート』(1977年)など、アクション歌謡の名曲を次々とリリースしていきます。
特に評判を呼んだうちの一曲は、『薔薇の鎖』。ロッド・スチュワートとジェームス・ブラウンからヒントを得て案出されたステージパフォーマンスは、軽量型マイクスタンドを、左右に振りながら歌うというもの。シンプルかつ当時、多くの小学生が掃除の時間にホウキを使って真似したものです。

薔薇の鎖 西城秀樹 (1974)

1974年2月25日リリース

ヒデキが『ザ・ベストテン』で初の1位を獲得した『ブーツを脱いで朝食を』

『ブーツを脱いで朝食を』がリリースされたのは、1978年1月1日のこと。当時22歳。アイドルとして成熟期に入っていたヒデキが表現したのは、大人の色気。ブーツを脱いで朝食…つまり、ブーツを脱いで、ベッドで一夜を過ごしたあと、朝に食事を共にするという大人の恋、それも、「帰らなきゃいけないと それがあなたの口ぐせ」という歌詞からかんがみて、不倫を歌っていると思しき同曲は、ヒデキのセクシーな歌声と相まって熱烈に支持され、彼自身初の『ザ・ベストテン』(TBS系)第1位を獲得しました。
ブーツを脱いで朝食を(西城秀樹)

ブーツを脱いで朝食を(西城秀樹)

1978年1月1日リリース

インパクト絶大だった、ライターアクション

ヒデキは、この『ブーツを脱いで朝食を』の歌唱中、小道具として「ライター」を使用します。
イントロ開始と共に、赤黒い照明で染まるスタジオ。ヒデキは左手でライターを持ち、右頬あたりにかざして着火。揺らめく炎が、道ならぬ恋に墜ちた男の、妖しくも険しい表情を照らしています。中腰姿勢になり、火のついたライターを左から右へゆっくりと移動させるヒデキ。そして、イントロ終了と共に、何かを振りほどくかの如く、勢いよく火を振り消して歌い始めるのです。
話題を呼んだ「ライターアクション」

話題を呼んだ「ライターアクション」

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