【デビルマン】マンガ版はホラー、アニメ版はヒーローとして描かれた異色の作品。同一の基本設定で描かれた2つの作品ともいうべき世界観。
2016年5月20日 更新

【デビルマン】マンガ版はホラー、アニメ版はヒーローとして描かれた異色の作品。同一の基本設定で描かれた2つの作品ともいうべき世界観。

「デビルマン」あなたはマンガとアニメどちらで見ましたか。漫画版はホラーの色彩が強く、アニメ版はヒーローものとして描かれたこの作品。同一の基本設定で描かれた、2つの作品ともいうべき世界観でした。

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最終決戦・ハルマゲドン

最終決戦・ハルマゲドン

20年ののち、人類は滅亡し、デビルマン軍団とデーモン軍団との最終決戦・ハルマゲドンが始まる。やがて戦いは終わり、半身を失った明に、サタンは語る。かつて地球を支配していたデーモンは創造主たる神に滅ぼされようとしたが、それに反発したサタンがデーモン側について戦い、勝ち、次の神との戦いのために永い眠りについたこと。

目覚めたとき、人類が地球を荒らしていたので許せず、それを滅ぼそうと決めたこと。しかしそれは、神が行おうとした愚考と同じことでしかなかったこと。サタンは明に謝罪する。そのとき、まさに「天使の軍団」がそこに迫りきていたが、サタンはただ明の死に静かに涙する。

アニメ版とマンガ版の比較

ともに永井豪作品の特色は充分に生かれていた

ともに永井豪作品の特色は充分に生かれていた

「人類滅亡をもくろむデーモン族の妖獣に、デーモン族の裏切り者デビルマンが人間を守るために戦う」という基本線は、漫画版と共通している。

しかし、作者の個性によって設定が拡大し終末テーマの大作SFへと発展していった漫画版に対して、TVシリーズ版は一話完結でデビルマンが妖獣と戦うという基本線を守り続け、ヒーローものとしてのスタンダードな展開は最後まで全うされた。

しかし、ほとんどのエピソードの脚本を担当した辻真先が永井豪作品のファンであり、そのテイストを意識してストーリーを展開したため、「勧善懲悪に終わらない毒のあるストーリー」「ギャグやブラックユーモアも交えた展開」など、永井作品の特色は充分に生かされていた。

「戦中族」を自認する辻真先によると本作は「中国大陸で脱走した日本兵が、娘を守って日本軍をやっつける話」とのこと。脱走した日本兵はいずれ処刑される運命であり、漫画版に劣らない悲惨な最期である事が示唆されている。

また、漫画版とは逆にデビルマン(悪魔)の意識が不動明を取り込んだ形になっているため、「愛に目覚めて人間の側に立った悪魔」という部分は漫画版よりも強調されている。物語はデーモン族との決着を見ないまま39話で終了し、約4か月後に公開された映画『マジンガーZ対デビルマン』においてその後もデーモン族と戦い続ける姿が描かれている。

後世の作家への影響

強烈な世界観は後世のマンガ家に影響を与えた

強烈な世界観は後世のマンガ家に影響を与えた

この強烈なストーリーは当時の読者のみならず、後世の作家にも影響を与えている。例えば『新世紀エヴァンゲリオン』での庵野秀明はデビルマンからの影響をインタビューで語っており、『甦るデビルマン』では大槻ケンヂらがデビルマンから受けた影響を語っている。

永井自身も『デビルマン』の印象は非常に強かったようであり、その後の作品群にはデビルマンが直接・間接に影響しているものが多々見受けられる。『デビルマン』執筆終了直後、に連載を開始した『バイオレンスジャック』がその長大な物語のラストにて永井自身も含め誰も思いもしない「実は『デビルマン』の続編であった」ことに帰着された。

さらに『デビルマンレディー』(以降『レディー』と表記)が執筆された。こちらも当初は続編とは言明されてはいなかったが、物語の中盤からデビルマン不動明が登場している。作中にて、正編の後日談であり、デビルマン軍団とデーモン軍団の最終戦争後、神々によって再生された世界であることが明かされている。

その後、永井豪原作の『AMON デビルマン黙示録』(マガジンZ:講談社)が、衣谷遊の作画で発表され、ビデオアニメ化されている。

また、『デビルマン』に対するトリビュートコミックとして、多くの漫画家による『ネオデビルマン』も発表された。(1996年 - 1999年、コミックガンマ:竹書房?モーニング新マグナム増刊:講談社)

ハリウッドを中心として海外からも、『デビルマン』を実写化したい、とオファーは過去に何度も寄せられたようだが、いずれも「デビルマン=悪魔、敵」というコンセプトであったことやその他の契約上の理由などで、作者本人はOKしなかった、というエピソードがある。

デビルマン最新作は009との闘い!!

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