そして、この件が公になると犯人から「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」という、事実上の終結宣言が送りつけられました。その理由として、自殺した滋賀県警本部長への「香典代わり」だと書かれていたと言います。そして、これ以降完全に犯人の動きがなくなり「キツネ目の男」も闇に消えていったのです。
浮かんでは消える、様々な犯人像!
80年代半ばの日本社会を震撼させたグリコ・森永事件ですが、様々な犯人像が浮かんでは消えていきました。主な説としては、グリコへの怨恨が犯行の原点にあるという「元グリコ関係者説」、ターゲットの会社の株価を操作することで利益を得るためという「株価操作説」、その他反社会的組織による犯罪という説などですが、どれも決定的な証拠に欠け、犯人を突き止めるには至りませんでした。
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事件が社会に与えた影響!
この事件により、言うまでもなくターゲットとなった会社は大打撃を受けました。特にグリコと森永のダメージは大きく、商品の撤去や広告の自粛などの対応に追われ、森永は当時「キン肉マン」のスポンサーだったのですが、降板せざるを得なくなりました。
高画質 キン肉マン OP 炎のキン肉マン
森永がスポンサー降板を余儀なくされた「キン肉マン」。
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商品の包装が不可逆に。
万が一毒物を混入させられても容易にわかるようにするため、食品業界全体でシュリンク包装などの「一度開封すると元に戻せない包装」が導入され、この事件以降、食品の安全性が向上しました。
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「グリコ法」が成立。
この事件は、当初警察は殺人未遂事件として捜査していました。しかし、毒入り食品に「どくいり きけん たべたら しぬで」という紙が貼られていたため殺人未遂罪には当たらず、偽計業務妨害罪に留まるのではないかとの指摘が。そういった法の不備を補うため、「流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法(通称:グリコ法)」が制定されることとなりました。
警察無線がデジタル方式へ。
80年代半ば、警察無線は一般人でも容易に傍受が可能なFM(アナログ)方式が主流だったのですが、犯行グループに警察無線が傍受されていたことを受け、傍受が困難なデジタル方式への全面移行が進められました。
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青酸カリ入り脅迫文も!平成の世にも発生する類似事件!
2000年にすべての事件の公訴時効が成立し、警察庁広域重要指定事件として初めて未解決事件となったグリコ・森永事件。実は、平成が終わりに向かう今でも類似の事件は起こっています。例えば、2019年1月には製薬会社やマスコミなど計18社に青酸カリの入った脅迫文が送りつけられる事件が発生。警察は毒物の成分分析を行い、入手経路を捜査しています。新たな元号の下では、このような凶悪事件が起こらない世の中になって欲しいものです。
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