【『Cobalt』小説雑誌の誕生秘話】
2018年5月15日 更新

【『Cobalt』小説雑誌の誕生秘話】

2016年5月号をもって休刊となった雑誌『Cobalt』。たくさんの少女を胸キュンさせた!エンターテイメントの第一線を走り抜けた『Cobalt』のその誕生とは。氷室・正本・久美・田中さんらを筆頭に、いっしょに懐かしんでみませんか?

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『雑居時代』が重版を重ねることで職業作家としての道が確立し1982年(昭和57年)に札幌に戻ったが、長距離電話代の請求額にショックを受けて1983年(昭和58年)に上京。これと平行して隔月雑誌『小説コバルト』に『ざ・ちぇんじ!』『シンデレラ迷宮』などを発表。『なんて素敵にジャパネスク』シリーズで一躍集英社コバルト文庫の看板作家としての地位を確立し、少女小説ブームの立役者として活躍した。
また、久美沙織「水曜日の夢はとても綺麗な悪夢だった」、田中雅美「夏の断章」でデビューを果たす。

この新人作家、彼女たちは後の“コバルト四天王”と呼ばれる。

そして他誌ではあるが、
「あたしの中の……」

「あたしの中の……」

も登場し、少女のおしゃべりを再現したかのような文体、そして本の最後に「あとがき」をつけて読者にフレンドリーに語りかけるなど、読者にとって身近に感じられる新しい世代のスター作家として大人気となる。
立教大学文学部ドイツ文学科に在籍しながら作家活動を続け、1981年に『グリーン・レクイエム』で第12回星雲賞日本短編部門を受賞、1982年、『ネプチューン』で第13回星雲賞日本短編部門を受賞した。1999年には『チグリスとユーフラテス』で第20回日本SF大賞を受賞している。

1970年に植えられた種

ピョコン!!

ピョコン!!

かくして、1977年から79年にかけてのちにコバルト四天王とも呼ばれる氷室・正本・久美・田中が新人賞経由でデビューし、この四人に加えて新井素子が読者たちの間で人気を集めつつあった。かつてのジュニア小説家たちのように読者にとっての「教師」ではなく、読者と年齢が近いいわばお姉さん世代の作家として、同じ感覚を共有しつつ女の子のための小説を次々手掛けていった。
70年代の終わりに登場した若手作家たちの存在は、『小説ジュニア』という雑誌を変えていくことになる。少女たちの日常的な感覚を表現できる若手作家陣によって、少女向けの読み物は一大転換期を迎える。

1982年8月号にリニューアルされた『Cobalt』。その誌面メンバーは!?

若手作家たちのデビュー以降の『小説ジュニア』は、富島健夫や佐伯千秋をはじめとする大御所ジュニア小説家たちによる青春小説、女子高生の性を扇情的に描いたルポルタージュや読者の告白体験記などのセックス記事を中心とした誌面構成がなされていた。こうした状況を鑑みて、ようやく誌面の改革に乗り出していく。
Cobalt創刊号(1982年夏号)
巻頭を飾った落合恵子の「シングルガール」、赤川次郎のミステリー、眉村卓のSFなどもあり、若手女性作家では新井素子のおたよりエッセイ、久美沙織と正本ノンが小説を寄稿した。
作家は、かつてのジュニア小説家のような「教師」ではなく、読者は「氷室冴子サマ」や「新井素子おねーさま」「久美さま」と親しみを込めて作家に呼びかけている。彼女たちは楽しい小説を手掛ける憧れの作家であると同時に、親しみや共感を感じる「お姉さん」的な存在であった。

若手作家たちの活躍ぶり!

氷室冴子

氷室冴子の出世作となった『クララ白書』は、それまでの文体とはがらり変わり、はつらつとした口語一人称ベースの青春コメディに仕上げられている。好評を受けて『クララ白書ぱーとⅡ』、『アグネス白書』、『アグネス白書ぱーとⅡ』とシリーズ化された!

新井素子

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