映画「機動戦士ガンダムIII・めぐりあい宇宙編」 富野喜幸 1982年(テレビシリーズ第31話後半 - 第43話を再編集した劇場版第3作)
機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編 (1982) - 劇場予告編 - YouTube
ドズル中将『やらせはせん、やらせはせん、やらせはせんぞ!!』
指揮官としての統率力・指揮能力も十分にあり、部下の信望も篤い。また愛妻家としても知られており、家族に深い愛情を注いでいた。『THE ORIGIN』では、妻ゼナに向かって権力の増大とともに人間味を失っていく肉親たちを嘆いている。彼女との出会いは暁の蜂起事件に加わったゼナに個人的相談を持ちかけられ、その実拘束されたことによる。事件後、引責辞任で校長職を失った後に求婚している。妻のゼナとの間に娘ミネバがおり、ザビ家の直系として一年戦争後も彼の血脈だけは続いた。
当初はモビルスーツを軽視していたものの、一週間戦争の戦果によりそれを認めるようになった。『THE ORIGIN』ではこの通説と異なり、開戦前からモビルスーツの開発を主導したことになっている。以後は司令官としてだけに留まらず、ザクIIF型(S型説もある)を改修した専用機を操り前線に出向くこともあった。これはポーズに過ぎないが、前線兵士の士気高揚に大きな効果を上げたという。小説版では、ルウム戦役で戦場視察を名目に実戦に飛び出したことが描かれた。この時には幕僚が慌てて三戦隊を差し向けたというが、戦果は記録されていない。
母ナルスの面影を強く残す弟ガルマを溺愛しており、彼の能力を高く評価して、ドズル自身をも使いこなすような将軍になれと言う程その成長を楽しみにしていた。そのため、ガルマの戦死後には彼を守りきれなかったとしてシャアを左遷した。
彼自身はシャアの処刑を主張していたが、デギンの裁定で左遷となった経緯がある。またガルマの仇討ち部隊としてランバ・ラル隊を地球に派遣している。また、左遷の後キシリアに登用されたシャアを牽制するために、サイド6に寄港したホワイトベースに対してコンスコン少将指揮下の機動部隊を派遣している。
地球連邦軍のチェンバロ作戦(ソロモン攻略戦)が開始される前にギレンへ援軍を要請するが、ソロモンに送られてきたのは試作モビルアーマー「ビグ・ザム」1機のみだった。通信での会議の席でビグ・ザム1機で2~3個師団にも相当するはずと豪語するギレンに対し、ドズルは思わず「戦いは数だよ」と不満をぶつけている。
宇宙世紀0079年12月24日、ついにティアンム提督指揮下の連邦軍によるソロモン攻略戦が始まる。突撃艇パブリクによるビーム撹乱幕によって要塞据え付けのビーム砲を封じられるも冷静に対処、拮抗を保ち連邦主力艦隊を警戒する余力もあったが、量産MSジムやボールによる熾烈な攻撃に加え新兵器ソーラ・システムにより甚大な被害を受け、劣勢に追い込まれる。
もはやソロモンを支えきれないと判断したドズルは、妻子を脱出させた後にソロモンの放棄を命令し、自らはビグ・ザムに搭乗して出撃。残存兵力が撤退する時間を稼ぐため、連邦艦隊の中心部へ特攻をかけた。このとき、ドズルは一般兵用のノーマルスーツで出撃したが、安彦はドズル用ノーマルスーツの案を持っていたものの、テレビ版制作当時、過労で入院していたため実現しなかった。なお『THE ORIGIN』では、ドズルはスパイクのついた肩が特徴的な専用ノーマルスーツを着用。
ドズルの操るビグ・ザムは強力な磁界(後のIフィールド)を張り巡らせて長距離ビーム砲を無効化し、大型メガ粒子砲でティアンム提督の旗艦「タイタン」を撃沈、さらに拡散ビーム砲の斉射によって連邦軍のサラミス級巡洋艦やモビルスーツを多数撃破した。この圧倒的戦果に自信を得たドズルの「ビグ・ザムが量産化できれば連邦に勝てる」という意味のセリフは印象的であり、現在でも引用されることが多い。
しかし、Iフィールドジェネレーターによるバリアシステムの弱点を見抜いたスレッガー・ロウは、自らが操縦するGファイター(劇場版ではコア・ブースター)とアムロ・レイの操縦するガンダムを合体させ、攻撃が有効となるギリギリの距離まで接近しての攻撃をかける。この捨て身の攻撃でスレッガーは戦死したが、ビグ・ザムはガンダムのビームサーベルで撃破され、ドズルは戦死した。
その直前、ドズルは断末魔にも似た執念の言葉を叫びながら単身ノーマルスーツ姿で無反動ライフルをガンダムに向けて発砲しているが、アムロはドズルの背後に立ち昇る悪鬼のような人間の情念を目の当たりにして戦慄している(劇場版ではもっと抽象的な黒い霧のような存在に描き直されている)。小説版では「こんなのがいるから戦争が終わらないんだ」と吐き捨てられた。