ドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』主題歌を歌ったSister Mとは
2016年5月18日 更新

ドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』主題歌を歌ったSister Mとは

ストーカー役を演じた渡部篤郎の怪演が話題になったドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』。その主題歌「The Other Side of Love」も大ヒット、坂本龍一 featuring Sister Mの「Sister M」は誰なのかと話題になった。明かされた正体と曲にまつわるエピソードを紹介。

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1997年に放送されたドラマ『ストーカー 逃げきれぬ愛』

ドラマ「ストーカー逃げ切れぬ愛」

ドラマ「ストーカー逃げ切れぬ愛」

1997年1月より日本テレビ系で放映されたドラマ。
田所雅彦(神田正輝)と不倫関係にある岸本海(高岡早紀)は、クリスマスイヴの夜ひとりで街を歩いたとき、三枝辰也(渡部篤郎)と出会う。これが海にとって恐怖の始まりでだった。
ストーカーにつきまとわれ、不安に怯える日々を送るヒロインの姿をスリリングに描いたサスペンス。
ストーカー役を不気味に演じた渡部篤郎が注目され、その後連続ドラマに数多く出演するきっかけとなった。

幻想的でミステリアスな曲と歌声でドラマを盛り上げた主題歌『The Other Side of Love』

【動画】坂本龍一 featuring Sister M 『The Other Side of Love』

1997年1月29日リリース
オリコン最高位:6位
売上:約72万枚
全編英語詞の邦楽曲としては異例の大ヒットとなった。

歌っている「Sister Mは誰なのか?」と話題に。

当初、「Sister M」の正体は明かされおらず、CDのジャケットやミュージックビデオにおいても歌手は一切写っていない。
そのため、「M」のイニシャルや坂本龍一の所属レコード会社などから、中谷美紀か今井美樹ではないかと噂になった。
なかでも声の雰囲気から中谷美紀が最有力とされていた。

坂本龍一から明かされた人物は、娘・坂本美雨だった。

坂本龍一がJ-WAVEのラジオ番組『PAZZ&JOPS』で公表した「Sister M」の正体はまだ当時16歳の娘・坂本美雨であった。

この『The Other Side of Love』は本来、中谷美紀の為に書いた曲だが、素人っぽい謎めいたアーティストを探していた際にニューヨークの自宅でたまたま美雨に歌わせてみたところ、「イメージとピッタリ合ったので起用した」と語っている。
坂本龍一はそれまで娘の歌声は聞いたことがなかったと言う。

歌手デビューもしていない16歳の女の子とは思えない、深みを感じさせる坂本美雨の歌唱力も凄いが、ストーカーと不倫がテーマのドラマ主題歌を娘に歌わせデビューさせてしまう坂本龍一も凄い。
坂本美雨(さかもと みう)

坂本美雨(さかもと みう)

父親は坂本龍一、母親は矢野顕子という、日本音楽界のサラブレッド。
9歳だった1990年(平成2年)には家族でアメリカ・ニューヨーク州に移住し、高校卒業まで同地で過ごしたため、英語と日本語のバイリンガル。
名前の「美雨」は、突然変異を意味する英語、「ミュータント(mutant)」に由来し、父が名付けた。

本来のシンガー候補であった中谷美紀も日本語版としてリリース

1997年3月21日。『The Other Side of Love』から遅れること約2ヶ月。
本来のシンガー候補であった中谷美紀による日本語版『砂の果実』もリリースされている。

【動画】砂の果実(中谷美紀)

オリコン最高位:10位

『The Other Side of Love』と『砂の果実』の違い

『The Other Side of Love』の作詞は坂本龍一。
『愛の別の形』とも、『愛の向こう側』とも訳せるタイトル。
ストーカーを意識させるような歌詞ではなく、最後も「私たちは一つになる」と結ばれる内容になっている。

日本語版である『砂の果実』は、中森明菜「少女A」、郷ひろみ「2億4千万の瞳」など数多くのヒット曲を手がけてきた作詞家・売野雅勇が作詞。
『The Other Side of Love』とは、描かれている内容が全く異なる。

「生まれて来なければ本当はよかったのに…」という衝撃的なフレーズが含まれており、全編を通して悲観的・絶望的な世界観を表現している。
今の時代なら「この曲を聞いて自殺する人が出たらどうするんだ!」とクレームが来て販売中止に追い込まれそうな気がしてしまう。

同じメロディを使いながら、歌詞に描かれている世界が全く違う二つの歌。
坂本龍一がどのような意図でこうしたのか、大きな謎とされている。
『The Other Side of Love』と『砂...

『The Other Side of Love』と『砂の果実』のCDジャケット

坂本美雨は『Sister M』後、本名で活動。

1998年11月に本名・坂本美雨としてミニアルバム『aquascape』でデビュー。
1999年、 映画「鉄道員」の主題歌、「鉄道員(TETSUDOIN)」をリリース。
1999年6月、現地の高校を卒業。
1999年9月、フルアルバム「Dawn Pink」で本格的に音楽活動を開始。

2007年3月、YEBISUビールのTVCM出演、話題となる。

音楽活動に留まらず、2003年より自らデザイン・製作するアクセアリー『aquadrops』をスタート、詩画集『aqua』、初めて和訳に挑戦したネコの絵本、矢野さんと共同で和訳した絵本「せかいでいちばんあたまのいいいぬ」等を出版するなど、作詞、翻訳、ナレーション、俳優などマルチな分野で活躍している。
坂本美雨と、父・坂本龍一

坂本美雨と、父・坂本龍一

坂本美雨は2014年3月1日、ブックディレクター兼編集者の男性と結婚。
2015年7月27日、帝王切開にて第1子女児を出産。
(父・坂本龍一にとっては初孫)
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