幕末時代の江戸・東海道の宿場町『品川宿』で問屋を営む「夢屋」の主人・雲(くも)は、妻・かめ、11歳の長男・新之助(しんのすけ)、8歳の長女・お花(おはな)の4人暮らし。雲は仕事そっちのけでいつも遊んでばかりで、無類の酒好き女好きである。
動乱の世ではあるが、ささやかな庶民の家族や人間模様をコミカルかつシリアスに描いた作品。
浮浪雲
石原プロはこの後、西部警察シリーズ(1979年10月~1984年10月)の製作に取り掛かり、渡哲也はご存じ「大門圭介」として角刈りにサングラスと言うキャラクターを確立することになります。
渡哲也とえばクールで熱い、そして優しいといったイメージかと思います。それは大門の印象が強いわけですが、プライベートでは温厚な方だったらしいので、案外「浮浪雲」は素に近かったのかもしれませんね。
ゴリラ・警視庁捜査第8班
この作品は、生前の石原裕次郎が関わった最後の石原プロ制作のテレビドラマです。そして渡哲也は石原プロの二代目社長に就任。
かなりのプレッシャーがあったのではないかと思われますが、渡哲也が社長に就任後初の石原プロ制作のテレビドラマが「ゴリラ・警視庁捜査第8班」で、1989年3月より放送開始されたのでした。
多用化・凶悪化し通常の警察力では対処困難な犯罪に対処するため、警視庁上層部が極秘裏に創設した警視庁捜査第8班、通称ゴリラの活躍を描く。
しかも、渡哲也、舘ひろし、神田正輝と石原プロの看板俳優総出です。
失敗は絶対に許されん!という腹の底からの決意がこの作品からもまたビンビンに伝わってくるのですよ。
ゴリラ 警視庁捜査第8班
時代はバブルですからねぇ。迷彩服を着たむさくるしい男たちは受け入れられなかったようです。
しかも、渡哲也は撮影中に「腓腹筋断裂」という大けがを負ってしまいます。更に1991年には直腸癌を患い長期療養を余儀なくされてしまったのでした。
渡哲也の復帰作品となるのは石原プロ製作で1992年7月16日に放映された単発のテレビドラマ「生命燃ゆ」でした。
昭和電工の大分石油コンビナートでエチレンプラントの建設に尽力し、志半ばで病に倒れこの世を去ったひとりのエンジニアの壮絶な生き様を描く。
渡哲也の復帰作品であるにもかかわらず、ドラマ冒頭には「私たちの心の中に生きている石原裕次郎さんにこの作品を捧げます」という献辞があります。そんなところにまたグッとくるんですよね。
テーマもタイトルも重いですが、女性に観てもらいたい作品です。
それにしても、渡哲也の出演作品には女性受けしそうなタイトルがついたものが少ないような気がします。が、考えてみると、いえ、考えるまでもなく、私が心配しなくとも渡哲也には多くの女性ファンが付いているわけですから、全く問題はない!ですね。
プロデューサー:小林正彦、石野憲助 他
原作:ジョージ秋山
脚本:倉本聰、金子成人
演出:近藤久也、河野和平
出演者:渡哲也、桃井かおり 他
オープニング:宮前ユキ「GIVE UP」
放送期間:1978年4月2日 - 9月10日
話数:全20話