「マカロニ・ウエスタン」がアメリカで通じなかったってご存知でしたか?!
2017年10月21日 更新

「マカロニ・ウエスタン」がアメリカで通じなかったってご存知でしたか?!

【1960年代】に映画で一世風靡した「マカロニ・ウエスタン」ですが、「マカロニ・ウエスタン」という言葉は実は、「バイク」や「ホッチキス」などと同様な”和製英語”だったのをご存知ですか?私も正直言って、米国留学するまで解りませんでした!!。そんな”和製英語”が付けられて大ヒットした「マカロニ・ウエスタン」について、思い出を煮詰めて見ました。

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まずは、「ウエスタン(西部劇)」の基礎知識から!!

映画『駅馬車』の一場面

映画『駅馬車』の一場面

「ウエスタン」の日本語訳は「西部劇」ですが、西部劇と言えば、騎兵隊に幌馬車が出る場面が定番だったんですよね!!
アメリカの南北戦争後、19世紀後半のアメリカ西部を舞台に、開拓者魂を持つ白人を主人公に無法者や先住民と対決するという物語が、白人がフロンティアを開拓したという開拓者精神と合致し、大きな人気を得て、20世紀前半のアメリカ映画やTVの興隆とともに1つのジャンルとして形成された。つまりアメリカの西部開拓期における人々の苦闘や,そこで起きた事件などを題材とした映画、テレビドラマなどを"西部劇”、又は、"ウェスタン”という。
西部劇は映画やTVとともに歴史を歩んできた。そして西部劇はハリウッドが築き上げた独自のジャンルであり、西部開拓の歴史を持つアメリカだからこそ生まれたとも言える。
厳しい自然の中で多くの困難と闘いながら逞しく生きてきた開拓者の物語は、アメリカ人の誇りであり、フロンティア精神と夢を含み、アメリカンドリームそのものであった。アメリカ西部の大自然を背景に開拓者魂(フロティア精神)を詩情豊かに描く西部劇は多くの人々を魅了し、西部開拓時代へのノスタルジーを掻き立てられるものだった。それは19世紀後半の西部開拓時代での開拓者精神を称え、アメリカを発展させたものとして賛美するものであった。
こうした西部劇の基本は強く勇敢なヒーローの存在であり、そのヒーローを演じる俳優は西部劇スターとなった。
当然のことではあるが、私などの世代は当時の映画やテレビの西部劇に夢中だったし、憧れの存在であった。

「ウエスタン(西部劇)の変質、そして衰退!!

映画『折れた矢』の一場面

映画『折れた矢』の一場面

ジェームズ・スチュワート主演の、インディアンと白人の懸け橋になる男の話で、インディアンと白人の問題を軸に、彼とインディアンの娘の恋も描かれている。
西部劇でありがちな、インディアンが白人を襲い、白人がインディアンをやっつける~という白人が善で、インディアンが悪という話ではなく、対等に扱われた珍しい西部劇だった。
1950年代に入る頃から、フロンティア精神を肯定してそこに主人公(ヒーロー)がいて無法者や先住民を倒す「西部劇」という一つの図式が崩れ始めていった。その代表格である1950年のデルマー・デイヴィス監督『折れた矢』では、先住民は他者で白人コミュニティを脅かす存在という図式ではなく、先住民の側から描き、戦いを好むのではなく平和を求める彼らの姿が描かれた。それは当時、黒人の地位向上を目指す公民権運動が次第に激しくなる時代に入り、人権意識が高まる中でインディアンや黒人の描き方が批判されるようになり、単なる勧善懲悪では有り得ない現実を浮かび上がらせ、それまでの西部劇が捨象してきた問題に対して向き合わざるを得なくなったことであった。単に勧善懲悪で、開拓者精神を肯定する強いヒーローがいて、悪を倒すそれまでの図式も崩れていった。それまでの西部劇映画にあった悪に立ち向かうヒーロー像はもはや存在せず、何が正しくて何が悪いか、明らかにしないままにただ主人公の人間らしさが主になって、そこではもはやヒーローが描きにくくなったのである。このような傾向は、従来からの西部劇ファンが離れていく結果を招いてしまう。そして製作費の高騰もあってイタリアなどの海外で作成された、いわゆる「マカロニ・ウェスタン」と呼ばれる多くの西部劇が作られ始めるきっかけになったのである。

「マカロニ・ウエスタン」とは??

「マカロニ・ウエスタン」の典型である映画『夕陽のガンマン(FOR A FEW DOLLARS MORE)』の一場面

クリント・イーストウッドは、アメリカ人の俳優ですが、売れない若い頃にいわゆる「マカロニ・ウエスタン」に出演し、一躍人気に火が付いた人です。
「マカロニ・ウェスタン」とは、1960年代から1970年代前半に作られたイタリア製西部劇を表す和製英語。大半のものはユーゴスラビア(当時)やスペインで撮影された。
イギリス・アメリカ合衆国・イタリアなどでは、これらの西部劇を「スパゲッティ・ウェスタン (Spaghetti Western) 」と呼んでいるが、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』が日本に輸入された際に、映画評論家の淀川長治が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」ということで「マカロニ」と呼び変えた。日本人による造語であるため、マカロニ・ウェスタンという言葉は他国では通用しない。「スパゲッティ・ウェスタン」という名称はやや蔑称的なのでドイツでは 「イタロ・ウェスタン」という呼称が正式である。俳優などイタリア人以外が多く関与しているものは「ユーロ・ウェスタン」と呼ばれることもある。
どうりで米国で「マカロニ・ウエスタン」が通じない訳だ!!

実は、マカロニ・ブームが巻き起こる数年前から、ジャガイモ(ドイツ)製の西部劇があった!!

映画「Der Schatz im Silbersee」...

映画「Der Schatz im Silbersee」の一場面

ドイツで1962年に公開された西部劇映画 Der Schatz im Silbersee。これはドイツの19世紀の小説家、カール・マイが書いたものの映画化です。日本では「シルバーレークの待伏せ」という題で1964年に公開された。主人公はインディアンと白人のコンビ。二人は襲われた駅馬車を発見、隠し財宝を狙う無法者たちの争いに巻き込まれる・・・というストーリー。

さしずめ、「ポテト・ウエスタン」かな??
マカロニ・ウェスタン発生の先駆となったのは、一つに「カール・マイ西部劇」とよばれる一連の西ドイツ映画があげられる。カール・マイは19世紀の作家で冒険小説を数多く書いた有名作家で、その作品の中にはアメリカ・インディアンを主人公とした小説もあり、ドイツではさかんに映画化されていた。ロケ地はユーゴスラビア(当時)で、マカロニ・ウェスタン登場以降も引き続いてドイツでも西部劇が作られていった。マカロニ・ウェスタンには制作や俳優の面で西ドイツ映画界が相当関与しているが、それはそういう歴史的背景があるからだ。例えば『荒野の用心棒』はドイツでは「イタリア映画」とは言わずに「伊・西独・西合作」と定義されている。

イタリアの「サンダル映画」の衰退も強く影響!!

「サンダル映画」の代表作の一例

「サンダル映画」の代表作の一例

「サンダル映画」とは、イタリアで製作された史劇映画のことを指す。ローマ時代、庶民から貴族に至るまで、履物はサンダル型のものを履いていたからだ。
古代イタリア=ローマ帝国では、乾燥した気候の良い地中海を中心に広がったことから、足元を完全に覆う「靴」の必要性が余りなかったのだろう。
つまりこの場合、史劇とはローマ帝国文化圏を描いたもの、ということなのだろう。
1960年代中盤以降、イタリア映画産業が斜陽の道に向かい始め、経営危機に陥り、活路を見いだすために「西部劇」が製作され始めたのである。

マカロニは、中身がないという暗喩も含まれるという説もある!!

一般的なマカロニの一例

一般的なマカロニの一例

サラダやグラタンなどに使われ、非常においしいのですが・・・?!
実は、マカロニにしろ、スパゲティにしろ、「蔑称」の側面があり、「駄作」の烙印を押し付けられたマカロニがマイナージャンルとして、米国の劇場から干されてしまう歴史があった。
「マカロニ・ウエスタン」が米国へと渡った際、大歓迎されると思いきや、痛烈な批判とバッシングを受け、銀幕から干されるという憂い目にあってしまったのだ。

映画『キル・ビル』は「ハンバーガー・チャンバラ」かな?!

映画『キル・ビル』の殺陣場面

映画『キル・ビル』の殺陣場面

何か変だよ「ハンバーガー・チャンバラ」!!

私は以前、アメリカ映画で「キル・ビル」を見たが、具体的に何がおかしいと言いずらいのですが、何か変な感じがしたのだが、アメリカ人が「マカロニ・ウエスタン」を見ると、同様な感情が沸くそうである。
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