『ガンプラり歩き旅』その10 ~1/550モビルアーマー商品第二次展開!グラブロとエルメス!~
2021年6月22日 更新

『ガンプラり歩き旅』その10 ~1/550モビルアーマー商品第二次展開!グラブロとエルメス!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする新企画連載の第10回は、、ジオンの2大モビル・アーマーシリーズの第2弾!

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というわけで、今回は珍しく、キットの成型色がボディ色ではなく、腕の色だったので、メインボディをMrカラー29 艦底色で塗装。
あと、クチバシはガンダムカラー UG15 ファントムグレーで、ジェットノズル(?)やミサイル発射口等を、Mrカラー72 ミディアムブルーで塗って、モノアイはピンク、モノアイレールは艶消し黒と、定番の塗装で仕上げた。

一応、カギヅメは開閉選択接着式なので、せめてコントラストをと、片手を開、もう片手を閉で組み立て。

完成したグラブロを何度見ても、結局「そのアホ毛はなんだ?」「その鼻の穴はなんだ?」しか出てこないという、そんな水中用モビルアーマーの解説でした。

エルメス(ララァ・スン専用モビルアーマー) 1/550 1981年10月 300円

どうでもいいが、エルメスのボディに沿った「ララァ・スン...

どうでもいいが、エルメスのボディに沿った「ララァ・スン専用モビルアーマー」の文字の流れが、ちょっと昭和のスーパーマーケットのチラシの文字並びみたいで面白い(笑)

ガンプラの流れとしては、ビグロ、ビグ・ザムからの、間を挟んでグラブロと同時発売の、1/550モビルアーマーシリーズの第4弾。
デザイン的には、劇中に登場した、後に永野護氏デザインのモビルスーツ・キュベレイにも受け継がれる、曲面主体のチューリップ型の、富野ラフそのままのシルエットを上手く立体に落とし込んでおり、ゆえに現代においても、ガンプラでは正式なリファインはなされていない。
劇中では連邦軍から「とんがり帽子」「チューリップ」と呼...

劇中では連邦軍から「とんがり帽子」「チューリップ」と呼ばれる独特の形状の正面

バンダイの、というよりも模型業界全体が「曲面構成のアニメメカ」の三次元再現を苦手とするという定説は、ガンプラブーム中盤時期に、他ならぬバンダイ自身が『聖戦士ダンバイン』(1983年)のロボットメカプラモデル群で証明してしまうのであるが、しかし、ことこの1981年時期までを見渡してみても、『機動戦士ガンダム』(1979年)のビグ・ザムやエルメスやブラウ・ブロ、アオシマの『伝説巨神イデオン』(1980年)のガンガ・ルブやアディゴやザンザ・ルブ等々、曲面構成のみのメカでも、劇中や設定どおりのクオリティに達しているプラモデルは少なくない(まぁ、あくまでも“当時水準”ではあるが)。
ボディを横から。女性らしい有機的なデザインが映える

ボディを横から。女性らしい有機的なデザインが映える

エルメスの場合、人型ではない、基本無可動モデルというのも有利に働いた要因なのかもしれないが、この名作キットを語るときに外せない話題は、むしろキットのクオリティではなく、発売開始後すぐに初期ロットでその商品名が「エルメス」から「ララァ・スン専用モビルアーマー」に換えられた、有名なエピソードだろう。
原因は、ガンダムを知らない人でも予測できる、某国際的巨大ブランドとの問題なのだが、だからといって、バンダイ万歳マークで箱に「エルメス」と書かれただけの、中身自体は再販であれば現代でも数百円で全く同じ物が買える代物が、なぜお宝グッズ店やヤフオクでは、数万円を超える値段で取引されているのか。同じような疑問は、怪獣ソフビの世界を10年ほどうろつき続けても分からなかった価値観なのだが、ここでもやはり謎は深まるばかりである。
“あくまでも理屈だけ”なら、そりゃレア物お宝ですもんねぇと、頷けはしても、仮に筆者の手元にそれだけの金が余っていたとしても、多分「エルメス」には手を出さず、その金で何か代わりに、昔のドラマのDVD-BOXでも買っちゃうんだろうなぁと思う程度には、やはり筆者にはコレクターの資質がないのであろう。
機体を後部から。こちらから見るとメカメカしい

機体を後部から。こちらから見るとメカメカしい

さて。
このエルメス。キットの出来には何も口を出すレベルの問題はない。単色成型なのも、300円サイズキットはどれも単色だし、エルメス自体がほぼ単色の機体なので、部分塗装だけすれば充分に見られる完成品にはなる。
むしろ、塗装で苦労するのは10個あるビットの方。
塗り分けは細かいわ、サイズは小さいわ、出来の方は小さいパーツながらにクオリティの高い仕上がりを見せている。
この頃の1/550シリーズの付加価値として、同じサイズのガンダムやドムなどがオマケで付いてきたというのがある。後のザクレロには、Gアーマーのキットでは再現できない“GメカBパーツを穿いたガンダム”が、匠の技で作られていて、このエルメスにはシャア専用ゲルググが1/550で付属していて、お世話様にも、あえて右腕をクラッシュ状態に切り飛ばすことで、第40話『エルメスのララァ』ラスト、右腕をガンダムに破壊されたシャアのゲルググが、エルメスの角(?)につかまり曳航されて飛ぶシーンが再現できるプレイバリューが用意されている。
付属のビット。このサイズでは塗装派筆者の腕ではこれが限界……

付属のビット。このサイズでは塗装派筆者の腕ではこれが限界……

2門あるビーム砲は、可動基部がプラなので、現代の再販版では、金型の劣化でもう任意の角度を保てなくなっているのと、エルメスのメイン武装はビットなので、ビーム砲は見栄え優先で固定接着で完成。
こうしてみると、ガンプラは黎明期からブーム期までで既に、非人型の艦船やモビルアーマー等に関しては、デザインをリファインしたりせず、アニメ登場状態のままを望むのであれば、いきなり最終完成形に辿り着いていたと言い切れるのである。
ソロモンで、シャアのゲルググをナイトにつけて、連邦軍を...

ソロモンで、シャアのゲルググをナイトにつけて、連邦軍を恐怖に陥れるララァのエルメス!

塗装は、成型色のグリーンはそのままに、ピンクとイエローで部分塗装。メカ部は統一ルールのミディアムブルー一択。
今回は、大河さん個人の趣味性で、艶消しをせずにそのまま仕上げた。
ビットの方の塗装はパーツが小さすぎて軽く地獄(笑)
アニメでUPになった画面をよく見て、先端部分から後部へ向かって、ガンダムカラーUG06 MSグリーン、Mrカラーキャラクターレッド、ガンダムカラーUG08 MSパープル、Mrカラー艶消し黒、Mrカラーキャラクターイエローを、面相筆で塗り分けて完成した。

劇中で、ホワイトベース側の隠語として(戦争時に、敵軍の新兵器の正式名称が分からないので、対峙する側は「木馬」など、隠語を使うしかないというリアリズムも、『機動戦士ガンダム』が最初にアニメに持ち込んだ)「チューリップ」「とんがり帽子」と呼ばれた、その優雅な雰囲気が充分に伝わってくる出来栄えである。
ララァのニュータイプ能力に呼応して、サイコミュが稲妻の...

ララァのニュータイプ能力に呼応して、サイコミュが稲妻のように走りビットを操る!

しかし、この出来栄えと、作中での重要性とインパクトを以てしても、出荷数は129万個と、1/550モビル・アーマーシリーズ最多でありながらも、同じ価格帯の1/144シリーズで比較すると、ゾックとコア・ブースターにかろうじて勝っている程度。
これはアレかなぁ。やっぱり70年代までは、超合金のゴレンジャーシリーズでも、モモレンジャーが最後まで余っていたり、アフロダイAが超合金化されなかったりと一緒で、「男児向けバトルジャンルで、女性キャラは弱い」を、そのまま地で行ったのかねぇ……。
実際のエルメスとビットの大きさの比較

実際のエルメスとビットの大きさの比較

でも、それまで、足とか手とか顔だけでかくするしか能がなかったモビル・アーマーのデザインを、ここへきて抽象的なシルエットにすることで、ニュータイプという概念を、メカ面からもビジュアル化させてみた功績は称えられるべきかと。
いやいや、名作キットです。
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