この指輪は"悪魔の指輪"です。この指輪をつけられるのは、悪魔か、悪魔に魅入られた者だけ。この指輪をつけた生者は必ず死ぬことになります。
ボブと父親のへリーランドは、同一人物
父親に殺されたローラ、天使に救われたローラ
ロネットとローラはリーランドに捕まり、廃貨車に連れ込まれました。このとき、ロネットは天に祈りをささげ、天使がロネットの元に現れています。一方、いよいよ、父(ボブ)に殺されそうになったローラは指輪をはめました。
指輪をはめるということは、悪魔、すなわち片腕の男"マイク"と契約をしたことになります。ローラの死後、ボブに契約を履行させた片腕の男"マイク"はクリーム・コーンを食べることができていますから、ローラの魂は一度、悪魔にさらわれてしまいました。
このとき、天使に祈りをささげたロネットは後で保護され、命を取り留めています(この部分はツインピークスのドラマ版冒頭から)。天使は殺される寸前に祈りをささげたロネットを救い、そうしなかったローラは命を落としました。このあたりは「信じる者は救われる」というキリスト教の価値観に沿っています。
しかし、赤い部屋に座るローラを迎えにやってきたのは天使でした。天使はこれまでのローラに降りかかった不幸を全部見ていたのでしょう。天使は一度、悪魔の手に堕ちたローラを救ってくれたのです。
赤い部屋の謎
赤い部屋は何のために存在するのでしょうか。それを解明するためには、「ツイン・ピークス」の世界観を整理する必要があります。
「ツイン・ピークス」には3つの世界が存在しています。ひとつは人間たちの住む世界、そして、もう一つは悪の世界。そして、もう一つは善の世界です。
人間は夢を通して赤い部屋にアクセスするということになっています。ローラが絵画のドアを通り抜けて赤い部屋に行ったのも、夢の中でしたし、クーパー捜査官も夢の話を上司のゴードンにしています。防犯カメラにクーパー捜査官の残像が映ったままになったのは、そのときに近づいてきていたジェフリーズ捜査官の影響でしょう。
ジェフリーズ捜査官はすでに赤い部屋の向こう側の世界に囚われてしまった人です。「何かを見つけたんだ」と主張した彼は「僕らは夢の中で生きている」とも言い残していきます。
夢を見ている人間というのは最も、あの世に近づいているといわれます。それに、何といっても、"赤い部屋"は天使と悪魔が交差する場所です。"赤い部屋"は死後の世界に近い場所なのでしょう。赤いカーテンの中は死者と生者が入り混じる、死と生の中間の場所なのです。
謎が多い映画なので、何度見ても面白いです。是非ご覧下さい。