僕は一人っ子で、G.I.ジョーなどいろんなフィギュアを集めて一人遊びをするのが好きでした。そのうちストーリーを作るようになり、照明や音楽もつけて母の日に人形劇をプレゼントしたり、8ミリカメラでコマ取りの人形劇を作ったりしていました。
そして何より、NHKの人形劇の大ファンでした。特に、小学生のときに観た「新・八犬伝」には多大な影響を受けました。ですから、絶対にやりたい、他の誰かにやらせたくないと思ったんです。
人形劇をやるなら、「新・八犬伝」のように、「次はどうなるんだろう」と毎回期待感を持たせつつ、一つの長いうねりのある物語にしていきたい。そう考え、「三銃士」を題材に選びました。ダルタニアンの成長を長いスタンスで見守る大河ドラマですし、ルイ王朝時代のコスチューム・プレイを人形で見てみたいという思いもありました。
物語のテーマは、“One for all. All for one.(一人は皆のために。皆は一人のために)”。ダルタニアンと仲間たちの「友情」を軸に描いていきます。
「新・八犬伝」は、仲間を集めていくお話で、エンディングテーマはナレーションを担当した坂本九さんが歌ってらっしゃいました。僕は、物語とその詞の内容から、「自分には仲間がいる。まだ出会っていないだけ」ということを学んだんです。
仲間が集まったところから物語が始まる『新・三銃士』は、「新・八犬伝」のいわばアンサー。「友達とはすでに出会っている。あなたの横にいるのが友達なんだよ」。そんなメッセージを、物語全体にも、平井堅さんが歌うエンディングテーマ「一人じゃない」の詞にも込めています。
NHKからは、「教育テレビなので、生きていくうえでの教訓を、毎回一つは入れてほしい」と言われています。子ども向けに作っている意識はありませんが、「モテる秘訣は選り好みをしないこと」とか、「ここだけの話だよと言って秘密を打ち明ける人を信じちゃいけない」とか、僕が人生で体験してきたことを、ちょっとずつまぶしています。
脚本は、俳優ありきが僕のパターンで、今回は人形ありきでした。キャラクター・デザインの井上文太さんには、「もう少し鼻を丸く、高く」といった具体的なことから、「踵を返した姿をカッコ良く」「遠くにいてもシルエットだけで彼とわかるように」といった抽象的なことまで、思いつくことはすべてお伝えし、背丈、髪の色、目の色、顔つき、すべての造形にかかわりました。俳優を作るところから始めたというのは新しい経験で、これまでの作品のなかでも、一番思い通りのキャスティングとなりました。
シャーロックホームズ 2014年3月25日から
脚本家三谷幸喜が、舞台を寄宿学校に、登場人物を生徒と学校関係者に設定し、シリーズの作品を学校内の事件として脚色している。初回は2014年3月25日から27日までの3日間、NHK総合テレビで先行放送され、同年8月にはやはりNHK総合テレビで別の3話が先行放送された。
そして10月12日から2015年2月15日までの毎週日曜日午後5時30分から、NHK Eテレで、改めて第1話から全18回が放送された。また、10月5日にはスペシャル番組が放送され、放送された日曜日の4日後の木曜深夜に、同じ回が再放送された。
2015年2月22日から3月15日まで、第1話から第4話が本放送と同じ時間帯に再放送された。本放送終了後、番組公式サイト及び「シャーロック学園」のサイトには、小さな事件の紹介という表現で、新作をほのめかす文章が掲載され、3月15日には「シャーロック学園」アカウントのツイートで、2015年夏の新作放送が発表された。2015年3月22日には、第37回日本シャーロック・ホームズ大賞を受賞した。
2015年6月1日、同年7月から10週間連続で関連番組、そして2014-15年放送分からの特撰番組が放送されることが明らかになった。
ジョン・H・ワトソン
声 - 高木渉、操演 - 友松正人
献身的で正義感のある少年で、ホームズと同い年である。医師である父親がロンドンで開業することになり、オーストラリアからやってくる。前の学校ではラグビーをやっており、ポジションはフォワードでフッカーだったが、左膝の負傷をきっかけに一線から退き、ホームズと組んで学校内の事件解決に当たる。ホームズが解決した事件を、イラストと共にワトソンメモに残し、学校新聞に寄稿する。文章を書くのが得意で、前の学校では賞をもらったこともある。苦手なものはバナナ。このお話のナレーション、次回予告も彼が担当している。
ロンドン郊外の全寮制名門校、ビートン校にオーストラリアから転校して来た、孤独な正義感が強く優しい少年のジョン・H・ワトソンは、ベイカー寮221B号室でシャーロック・ホームズという一風変わった少年と同室になる。
ホームズは問題児と言われており、とっつきにくい印象があったが、初対面のワトソンの経歴を言い当てるなど、観察眼に優れ、ものごとを鋭く見抜く力があった。やがて2人は、教師や生徒から依頼を受け、学校内の様々な事件に関わって行くことになる。
ハドソン夫人
声 - 堀内敬子、操演 - 佐久間おさむ、がこさく
ベイカー寮の世話好きな寮母。ホームズを特に気に入っており、学校内で唯一彼のことを「シャーロック」とファーストネームで呼ぶ。生徒たちにしょっちゅう手作りのクッキーを配っているが、ホームズによると「悪い人ではないが、野良猫と遊んだ後に手を洗わないため猫の毛が入っていることが多々ある」という。ワトソンが寄稿する新聞記事では、「ターナー夫人」の名前で登場する。
声 - 山寺宏一、操演 - 川口英子
学校では風変わりな問題児扱いされているが、観察力と洞察力に優れたナイーブで繊細な15歳の少年。ベイカー寮の221Bで暮らしている。授業中はほとんど寝ており、学業成績は振るわず、特に文学、哲学、天文学の成績は下の下。また、美術が苦手で自作のカバの石膏像をワトソンにピーナッツと間違えられるシーンもある。クラブ活動はしていない。探偵としての実力は抜群でワトソンと一緒に学校内での事件を次々と解決していく。パイプをくゆらせる代わりにピロピロを吹いている。