軽なのに速いホットハッチ、スズキ・アルトワークス
2017年9月2日 更新

軽なのに速いホットハッチ、スズキ・アルトワークス

1980年代に人気を集めたホットハッチ。輸入車ではVWゴルフGTIやプジョー205、国産ではスターレットやシャレードなどが人気でした。そして、軽自動車にも現れました。スズキのアルトワークスです。

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奥様のアルトがホットハッチに

スズキ・アルトといえば、1979年に全国統一プライス47万円で発売されて人気を集めた軽自動車です。どちらかといえば女性向けや営業マン向けのクルマで、軽ボンバン(軽ボンネットバン)という新ジャンルを確立しました。

1984年にフルモデルチェンジをして2代目になりました。その後、4WDやターボエンジンが追加されて、ラインナップが拡充。1986年にマイナーチェンジが実施されました。

そして1987年2月、突如追加されたスポーツモデルが「アルトワークス」でした。エンジンは3気筒4バルブDOHCインタークーラーターボエンジンの550cc。出力は規制ギリギリの64馬力でしたが、実は当初は78馬力で発売する予定で設計されたのが、アルトワークスがきっかけで軽自動車に出力規制が設けられた、といわれています。
2代目アルトに追加されたワークス

2代目アルトに追加されたワークス

ボクシーなボディに、エアロバンパーやサイドシルがよく似合った。
今でも軽自動車は64馬力が規制値なので、たった64馬力と思うことでしょう。しかし、当時の標準のアルトは30馬力、ターボモデルでさえ48馬力でしたから、一般の軽自動車の倍もあり、インパクトは十分でした。

外観はバンパーやサイドシルなどがエアロパーツで固められ、ボクシーな印象の2代目アルトだけに、軽なのにしっかり感のあるデザインが特徴でした。私も子ども心に「カッコイイ」と思ったものです。内装は黒を基調にピンクをアクセントにあしらったスポーティなデザインでした。

グレードは、FFのRS-S、RS-Xのほか、ビスカスカップリング式フルタイム4WDを搭載したRS-Rの3タイプが設定されました。車両重量はFFのRS-Xが610kg、4WDのRS-Rが650kgと軽かったので、パワーウェイトレシオ(出力重量比)は10kg/PS前後。高性能を安価に楽しめる軽スポーツカーとして人気を集めました。
1980年代は性能を示すステッカーが流行ったが、ワーク...

1980年代は性能を示すステッカーが流行ったが、ワークスにもこれでもか、というほどのメカニズムが記された。

2代目アルトワークスのテレビCM

丸目でスポーティ感をアップ

1988年にアルトは3代目にフルモデルチェンジ。クラス最長のホイールベースが特徴でした。引き続きワークスも設定され、初代のヒットに自信をもったのか、専用の丸型ヘッドライトを採用し、通常モデルとの差別化が図られました。

1990年3月に軽自動車の新規格が適用され、排気量が660ccに拡大。アルトはマイナーチェンジを受け、エンジンも660ccになり、車体もバンパーなどが拡大されました。ワークスは4ナンバーから5ナンバーになり、3気筒4バルブDOHCインタークーラーターボエンジンの660ccエンジンとなりましたが、出力は規制により64馬力のままでした。
大きなキャビンと窓ガラスが特徴の3代目アルト

大きなキャビンと窓ガラスが特徴の3代目アルト

ワークスモデルは丸型ヘッドライトが与えられ、スポーティ感が増した。写真は660ccエンジンになった後期型。
同年7月には、エンジンをSOHCインタークーラーターボに変更したワークス ターボi.e.が特別仕様車として追加されました。

1992年6月にラリー仕様のワークスRが追加されました。4WDのみの設定で、MTのクロース化、内装の軽量化、装備の簡略化が行われたスパルタンな仕様となり、久々の4ナンバー車(商用車登録)となりました。

この3代目アルトは、スライドドア車や荷室を大きくしたハッスルの設定、初めて5ナンバー化される(それまで5ナンバーはフロンテの車名だった)など、非常に意欲的で、販売台数も多いモデルでした。ワークスにとっても、最も成功した世代でした。
3代目アルトワークスのリアデザイン

3代目アルトワークスのリアデザイン

ハッチの中ほどには、リアスポイラーが設けられた。

CM / SUZUKI ALTO WORKS '89

3代目アルトワークスのテレビCM。乗っているのはポパイ&オリーブ。

軽自動車市場の変化が始まる

1994年11月に、アルトは4代目にフルモデルチェンジ。ワークスのエンジンは、新開発のオールアルミ製3気筒DOHC12バルブインタークーラーターボのK6A型660ccが搭載されました。しかし、最高出力は規制により64psに抑えられていました。

デザインはキープコンセプトで、引き続き丸型ヘッドライトを採用。ラリー仕様のワークスRは5ナンバーで設定されました。
4代目アルトはキープコンセプトとなったため、ワークスも...

4代目アルトはキープコンセプトとなったため、ワークスも3代目のデザインによく似ている。

それなりに売れましたが、キープコンセプトだったこともあり、3代目アルトのワークスほどのインパクトはありませんでした。それに加えて、ちょうどこの世代になると、1993年に発売されたワゴンRやダイハツ・ムーブのようなハイトワゴンに軽自動車市場がシフトしはじめ、軽ボンバン市場は縮小していった影響も大きいです。

スズキ アルトワークス CM

超高性能になるがモデル途中で廃止に

1998年10月のフルモデルチェンジでアルトは5代目になりました。キャビンの広さを強調した3・4代目から一変し、5代目では普通の乗用車っぽいデザインになりました。

ワークスのフロントデザインは、ヘッドライトが丸型から異形に変更されました。エンジンは可変バルブ機構やドライブ・バイ・ワイヤを採用し、軽自動車らしからぬ高性能化なスペックを誇りました。
第1世代最後のアルトワークス

第1世代最後のアルトワークス

ヘッドライトは丸形ベースの異形となった。
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