みんな欲しかったゲーム&ウオッチ!!
1980年、画期的アイテムがオモチャ屋に登場します。携帯型ゲーム機『ゲーム&ウオッチ』です。当時、70億円もの借金を抱えていた任天堂が、負債を全額完済し、しかも40億円の黒字に転換したという起死回生のヒット商品であり、国内で1287万個、全世界で4340万個も売れたといいます。
定価5,800円~7,800円と、そこそこいい値段で売られていた
この『ゲーム&ウオッチ』は、もともと「サラリーマンが外出先で遊べるものを」というコンセプトで、当時任天堂の社員だった横井軍平が発案したもの。その意図とは裏腹に子供たちの間で社会現象ともいえる大ブームを巻き起こしたのですが、最初期のシリーズで定価5,800円。後発の「ワイドスクリーン」が定価6,000円、カラー液晶表示が実現した「カラースクリーン テーブルトップ」で定価7,800円と、玩具にしてはけっこうな高額商品なのです。
それでも、貯金やお年玉を叩いて手に入れたり、親におねだりして買ってもらったりする子供たちが大勢いたものの、中には、逡巡した子もいたことでしょう。そんな『ゲーム&ウオッチ』購入に二の足を踏むキッズたちの入門編(?)として機能したのが、このテクノボーイでした。
それでも、貯金やお年玉を叩いて手に入れたり、親におねだりして買ってもらったりする子供たちが大勢いたものの、中には、逡巡した子もいたことでしょう。そんな『ゲーム&ウオッチ』購入に二の足を踏むキッズたちの入門編(?)として機能したのが、このテクノボーイでした。
時代を感じさせる「テクノ」というネーミング
テクノボーイ…。なんとも時代を感じさせるネーミングではないでしょうか。トミーからこの新機種が発売された80年代前半といえば、YMOブームが起こっていたタイミング。YMOに続く「テクノ御三家」として、P-MODEL、ヒカシュー、プラスチックスが登場するなど、「テクノ」という響きに真新しさがあり、ピコピコと鳴る電子音のイメージも手伝って、そこはかとない近未来感があったのです。
via www.amazon.co.jp
ゲームとしては破格の1,500円で発売されたテクノボーイ
そんなナウいワード「テクノ」を冠するテクノボーイのお値段は、なんと驚きの1,500円!ゲーム&ウオッチのスタンダードモデルと比べて、約1/4程度という破格値なのです。ご存じの通り、ゲーム&ウオッチは「1ハード1ソフト式」。次世代ハードウェアにあたる『ゲームボーイ』のようにカートリッジを交換して、さまざまな種類のゲームを遊ぶということはできず、あくまでも一つのゲームをひたすらプレイし続けるしかないのです。
それゆえ、飽きたら次のやつが欲しいとなるわけであり、しかし、高価なゲーム&ウオッチを次々と購入するというわけにはいきません。こうした悩める子供たちの前に現れたのが、この『テクノボーイ』でした。お小遣いをためれば購入できるほどの安価だったこともあり、ちょっと奮発して入手に踏み切った少年たちは多かったことでしょう。
それゆえ、飽きたら次のやつが欲しいとなるわけであり、しかし、高価なゲーム&ウオッチを次々と購入するというわけにはいきません。こうした悩める子供たちの前に現れたのが、この『テクノボーイ』でした。お小遣いをためれば購入できるほどの安価だったこともあり、ちょっと奮発して入手に踏み切った少年たちは多かったことでしょう。
ぜんまいを巻いてプレイしなければならなかった
しかし、テクノボーイには、決定的かつ大きな難点がありました。それは、動力源がゲーム&ウオッチのようにボタン型電池ではなく、「ぜんまい」だったということ。電子ゲームの魅力といえば、スイッチ一つで電源が付き、いくつかのボタンを押せばさまざまな操作ができるところです。
しかし、テクノボーイは、その近未来的なネーミングとは裏腹に、1プレイするたびにぜんまいを既定値に達するまでグルグルと巻かなければなりません。しかも、パッケージ表面に「ぜんまい式」なんて一言も書いてないのも、あきらかにゲーム&ウオッチの類似品として買わせようという意図が見え隠れしていて、ちょっと悪質です(一応、乾電池不要とは書いていますが)。
おそらく、電子ゲームと勘違いしてこの商品を購入した子供たちは、世の中、そんなうまい話なんてないことをいたいほど学習したはずです。
しかし、テクノボーイは、その近未来的なネーミングとは裏腹に、1プレイするたびにぜんまいを既定値に達するまでグルグルと巻かなければなりません。しかも、パッケージ表面に「ぜんまい式」なんて一言も書いてないのも、あきらかにゲーム&ウオッチの類似品として買わせようという意図が見え隠れしていて、ちょっと悪質です(一応、乾電池不要とは書いていますが)。
おそらく、電子ゲームと勘違いしてこの商品を購入した子供たちは、世の中、そんなうまい話なんてないことをいたいほど学習したはずです。
『パックマン』や『スペースインベーダー』をパクったテクノボーイも…
…と、ここまでマイナス面ばかり書きましたが、このテクノボーイ、当時、ゲーム開発事業で頭角を表していたトミーが手掛けた製品だけあって、なかなかの高品質。ぜんまい式のキャラの動きは細やかで、また、ゲーム性にも富んでいました。
さらに、さまざまな種類のものが販売されていたのも特徴の一つ。上から落ちてくる金貨を拾うゲーム『おもらいくん』、サファリパーク内で動物にあたらないように車を運転する『サファリドライブ』、消火士ポンプマンが爆弾魔ダイナマンの仕掛けた爆弾を放水によって無力化していく『ボンブマン』、あとは『パックマン』や『スペースインベーダー』のパクリゲーなど、どれもなかなか趣向をこらしたつくりになっていて、1,500円という値段を考えれば、そこそこコスパが良いのです。まぁ、いずれにせよ、こんな微笑ましいB級ゲームが市場に出回っていたのも、家庭用ゲーム黎明期ならではの出来事といえるでしょう。
(こじへい)
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