聴いてみると心地よいことこの上ない。90年代以降に再評価されているアコースティック・スウィング。
2017年5月16日 更新

聴いてみると心地よいことこの上ない。90年代以降に再評価されているアコースティック・スウィング。

スウィングといってもジャズではありません。とはいえ、ジャズの要素も含んではいます。ノスタルジックなヴォーカルやアコースティック楽器でまったりとスウィングする“アコースティック・スウィング”。懐かしいだけではなく、再評価されカフェなどオシャレな場所でもかかっていますよ。

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ジョンミラー they can't take that away from me

Ry Cooder

アメリカだけに留まらず、世界各国のルーツミュージックの探求者であるライ・クーダーの1978年発表のアルバム・タイトルはズバリ「ジャズ」。

ただし、「ジャズ」とは言うものの、それだけでなく、ブルースやゴスペル、ラグタイムにフォーク、カントリー、ブルーグラスからメキシカンやハワイアンと、これが何とも心地よいグッド・オールド・ミュージックの連続攻撃。まさにアコースティック・スウィングしているのです。
ジャズ

ジャズ

【収録曲】
1 Big Bad Bill Is Sweet William Now
2 Face To Face That I Shall Meet Him  
3 The Pearls / Tia Juana
4 The Dream
5 Happy Meeting in Glory
6 In A Mist
7 Flashes
8 Davenport Blues
9 Shine
10 Nobody
11 We Shall Be Happy
いわゆるスライド・ギタリストとしてのライ・クーダーよりも、音楽の探求者、優れた音楽のシェフとしての才能が存分に発揮された名作です。

Ry Cooder "Big Bad Bill (is Sweet William Now)"

Asleep at the Wheel

アスリープ・アット・ザ・ホイールは、日本での知名度はそれほど高いとは言えませんがアメリカのカントリー・ミュージック・バンドです。
「The Letter That Johnny Walker Read」という代表曲を持つ彼らは、なんと2011年の時点でグラミー賞を7回も受賞している実力派なんですよ。
Wheelin' And Dealin'

Wheelin' And Dealin'

A1 Route 66
A2 Miles And Miles Of Texas
A3 The Trouble With Loving Today
A4 Shout Wa Hey
A5 Blues For Dixie
B1 The Cajun Stripper
B2 If I Can't Love You
B3 Lost Mind
B4 They Raided The Place
B5 We've Gone As Far As We Can Go
彼らのアルバムを手に入れることは現在では大変難しいのですが、どの曲もとても楽しげにやっています。ちなみに、本作の1曲目にやっている「ルート66」と言う曲は、1946年にボビー・トゥループが作った曲でジャズのスタンダードとして名高いのですが、 チャック・ベリーをはじめローリング・ストーンズ、ゼム、ドクター・フィールグッドなどがカバーしておりロック・バンドのカバー曲としても定番となっています。

Asleep At The Wheel - "Route 66"

Fairground Attraction

70年代後半には、ご紹介したもの以外にもアコースティック・スウィングと呼ばれる素晴らしいアルバムが多数発表されていますが、それから10年後にも宝石のようなアルバムがイギリスから生まれました。

エリオット・アーウィットによる印象的な写真がジャケットに使われている、1988年に発表されたフェアーグラウンド・アトラクションのファースト・アルバムにして事実上のラスト・アルバムでもある「ファースト・キッス」です。グラスゴー生まれの女性ボーカル、エディ・リーダーの歌声を聴くことは至福のひと時です。幸せに包まれますよ。
ファースト・キッス

ファースト・キッス

【収録曲】
  1. 愛の微笑み
  2. パーフェクト
  3. ムーン・オン・ザ・レイン
  4. ファインド・マイ・ラヴ
  5. フェアーグランド・アトラクション
  6. 風が知ってる私の名前
  7. クレアー
  8. コメディ・ワルツ
  9. ムーン・イズ・マイン
  10. 駅前通りの子
  11. ウィスパーズ
  12. ハレルヤ
  13. フォーリング・バックワーズ
  14. ミソロジー
ノスタルジックな香りが漂うアコースティック・サウンドは、独特の世界観を持ち多くのファンを魅了、1980年代を代表する名盤となった。

Fairground Attraction - Perfect

本作、およびデビュー・シングルの「パーフェクト」が共に全英1位となる大ヒットを記録していただけに、次作を出すことなく解散してしまったのは非常に残念です。

しかし、こうしたアコースティックな曲というのは、流行はあってもスタイルや呼び名を変えながらいつの時代にも存在しているものなんですよね。
アコースティック・スウィングを聴いて、一人でも多くの人が楽しい気持ちになってくれると幸いです。
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東龍太郎 | 4,572 view

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