卒業式シーズンには「はなむけ」の言葉ですね、そう「鼻向け」の言葉…
2017年2月14日 更新

卒業式シーズンには「はなむけ」の言葉ですね、そう「鼻向け」の言葉…

2月といえば、バレンタインもあるけれども、学生さんには受験の時期。そしてその先にある「卒業式」。社会人さんも職場での異動や転職などで転機の時期かもしれません。今回は、そういう人生の節目や転機のときに、旅立ちをする相手に対して行う行為についての民俗コネタです。

1,288 view
2月といえば、バレンタインもあるけれども、学生さんには受験の時期。そしてその先にある「卒業式」。社会人さんも職場での異動や転職などで転機の時期かもしれません。

今回は、そういう人生の節目や転機のときに、旅立ちをする相手に対して行う行為についての民俗コネタです。

「はなむけの言葉」

別れと旅立ちのとき「卒業式」

別れと旅立ちのとき「卒業式」

送る方も送られる方も。。。
「はなむけの言葉」。
これ、聞いたことありませんか?あるいは、言ったことありませんか?
『卒業生に贈る在校生からのはなむけの言葉』とか『卒業生に贈る保護者からのはなむけの言葉』などです。

「卒業式のはなむけの言葉」

ネットで「卒業式のはなむけの言葉」の事例を検索すると、ワチャッと出てくる出てくる!

例えば・・・
・ご卒業おめでとうございます。今日のような、春の日差しのようにあたたかく、春風のように優しい人に、なって下さい。
・卒業おめでとう。今日がゴールであると同時にスタートです。今までの思い出と友だちを大切にして、楽しい学校生活を送って下さい。
などなど。

さて、その「はなむけ」の語源が今回のお話。

「はなむけ」の語源

漢字で調べると「餞」「贐」など難しいのが出てくるので、これは見なかったことにしておいて、「ハナムケ」という音にご注目ください。
これ、「鼻向け」なんです。馬の。もとは「馬の鼻向け」だったのですが「馬の」部分がいつしか消えて「はなむけ」となりました。
「はなむけ」は「馬の鼻向け」??

「はなむけ」は「馬の鼻向け」??

「餞別」などにも使われる「餞」のイメージが強くて。。。
どういうこと?と思われる方もいらっしゃると思いますので、古代にさかのぼってみますね。

旅人が向かう方向に馬の鼻を向ける安全祈願だった「鼻向け」

古代、旅立ちに際し、その旅人が向かう方向に馬の鼻を向ける安全祈願の行為がありました。紀貫之さんが記した日記『土佐日記』(10世紀頃成立か)冒頭に「二十二日に、和泉の国までと、平らかに願立つ。藤原のときざね、船路なれど、馬のはなむけす」と書かれているのが有名な事例かもです。この『土佐日記』以外の平安時代の書物にもチラホラとこの単語が出てくるので、少なくとも平安時代には一般的だったのかな?と思います。

やがて「馬の鼻向け」から「お餞別」へ

元々は旅立ちのときに馬の鼻を向けて、「道中お気をつけて」的な挨拶をする・・・そんな行為だったのですが、江戸時代の書物『奥の細道』(松尾芭蕉・著)に「紺(こん)の染緒(そめお)つけたる草鞋(わらじ)二足(にそく)餞(はなむけ)す」と記してあったりするから、だんだん「馬」感が消えて、かわりに品を渡すようになっていたことが伺えます。

「旅=馬」から鉄道や自動車の時代へ

そして、近代になると旅に馬を使うことがなくなってまいります。鉄道が敷かれるようになったこと、自動車が出現したことなどから私たちの生活の中で馬が消えていきました。

そうやって馬から品に変化しようとも、馬そのものが生活から姿を消そうとも、「旅立ちに際して挨拶をする」ことは消えませんでした。ですので、現代でも、人生の旅立ちの節目節目で「はなむけの挨拶」をするのかな?と思います。

モノより心からの挨拶のほうが大事ですよね♪

今回は旅立ちの挨拶のルーツについてのコネタでした~。
16 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

「鬼」という言葉の由来を辿りましょう。

「鬼」という言葉の由来を辿りましょう。

昨今の鬼ブームにあって、みなさんは「鬼」という言葉の由来を考えたことはありますか。前回に引き続き鬼の由来を辿っていきます。
山崎敬子 | 337 view
「鬼」という言葉の由来を考えたことはありますか。

「鬼」という言葉の由来を考えたことはありますか。

漫画「鬼滅の刃」が大ヒット。いまはまさに鬼ブームですが、みなさんは「鬼」という言葉の由来を考えたことはありますか。
山崎敬子 | 982 view
男性の象徴、その語源は中棒?珍宝??様々の呼び名の語源について。

男性の象徴、その語源は中棒?珍宝??様々の呼び名の語源について。

久しぶりの民俗コネタコラムです。ご無沙汰しております。私は日本の祭礼について大学などで講義をさせていただいておりますが、大人の皆様から一番多く質問されることは「夜這いってあるの?」「祭の日にフリーセックス的なことって本当にあるの?」などなど・・・人間味あふれる疑問についてです。
山崎敬子 | 2,928 view
令和と『万葉集』と浦ちゃんと。

令和と『万葉集』と浦ちゃんと。

日本は5月に入り令和元年となりました。令和の語源は日本最古の歌謡集『万葉集』。ということで、今回は万葉集にも登場し現在の私たちの誰もが知っている(であろう)伝説について。
山崎敬子 | 204 view
令和の和は「和らぎ(やわらぎ)」、古代から脈々と繋がる日本の心ですね。

令和の和は「和らぎ(やわらぎ)」、古代から脈々と繋がる日本の心ですね。

新元号「令和」発表は国中が注目した出来事でした。この和は「やわらぎ」を表します。古代日本で「和」といえば17条憲法の「和を以て貴しとなす」ですが、17条憲法の全17条、ご存知ですか?
山崎敬子 | 910 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト