歴史の中に埋もれさせるには勿体ないバンドの筆頭、10cc
2016年9月12日 更新

歴史の中に埋もれさせるには勿体ないバンドの筆頭、10cc

日本では余り話題になることのない10ccですが、食わず嫌いならぬ聴かず嫌いをしている方が多いように思われます。10ccの全盛期は70年代ですが、リアルタイムでその時期を過ごされた方でもそのような方が少なくないようです。しかし、それは余りにも勿体ない!先ず彼らの「アイム・ノット・イン・ラヴ」を聴いてみてください。この1曲で10ccのファンになってしまうことを請け負います。

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「びっくり電話」は、1976年に発売され、全英5位、全米47位を記録しました。シングルヒットした「芸術こそ我が命(全英5位・全米83位)」、「アイム・マンディ(全英6位・全米60位)」の2曲を収録しています。

アルバムタイトル同様にびっくりしたのは、ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームがこのアルバムを最後に脱退してしまったことです。順調な活動が続いていただけに残念な出来事となりました。
尚、二人はこの後、ゴドレイ&クレームとして活躍することになります。
びっくり電話

びっくり電話

1976年リリース

【収録曲】
ハウ・デア・ユー HOW DARE YOU
2.レイジイ・ウェイ LAZY WAYS
3.世界征服 I WANNA RULE THE WORLD
4.アイム・マンディ I'M MANDY FLY ME
5.氷山 ICEBERG
6.芸術こそ我が命 ART FOR ARTS SAKE
7.ロックン・ロール・ララバイ ROCK'N'ROLL LALLABY
8.ヘッド・ルーム HEAD ROOM
9.電話を切らないで DON'T HANG UP
映画の一場面を思わせるアルバム・ジャケットを開くとびっくり!これでもか!というくらいの電話、電話、電話、、、。日本語題はなるほど「びっくり電話」。聴いてまたびっくり。最初の「ハウ・デア・ユー」はインストュルメンタルですが、この曲の完成度の高さには感服します。大人のためのポップス、の王道ですね。

Deceptive Bends

10 CC - Art For Art's Sake

芸術こそ我が命
エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの2人になって最初の作品ということで、どうなることかと当時は心配されたことでしょうが、大ヒットという最高の結果をだした1977年発売のアルバム「愛ゆえに」です。

オリジナルのアルバムタイトルを無視して付けた邦題からも分かるように、シングル「愛ゆえに」は世界的な大ヒットとなりました。
「愛ゆえに」のほか「グッド・モーニング・ジャッジ 」、「恋人たちのこと 」のシングル曲を収録しています。
愛ゆえに

愛ゆえに

1977年リリース

【収録曲】
1.グッド・モーニング・ジャッジ (Good Morning Judge)
2.愛ゆえに (The Things We Do for Love)
3.マリッジ・ビューロー・ランデブー (Marriage Bureau Rendezvous)
4.恋人たちのこと (People in Love)
5.モダン・マン・ブルース (Modern Man Blues)
6.ハネムーン・ウィズ・Bトゥループ (Honeymoon with B Troop)
7.フラット・ギター・テューター (I Bought a Flat Guitar Tutor)
8.ユーヴ・ガット・ア・コールド (You've Got a Cold)
9.フィール・ザ・ベネフィット (Feel the Benefit, Pt. 1–3)
曲作りにも、演奏にもかなり繊細な面を見せています。 少しシニカルなところもイギリスのグループならではのサウンド作りなのかも知れない。
それにしても何と美しいラブソングを書くのでしょうか? クリームとゴッドリーが脱退してしまった後の作品ですが、エリック ストゥアートとグラハム グールドマンが頑張っています。

10cc - The Things We Do For Love (official video)

愛ゆえに

Bloody Tourists

大まかに言えば、脱退したケヴィン・ゴドレイとロル・クレームは10ccのアヴァンギャルドな部分を担っており、エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンはメロディ・メーカーです。
1978年発売のアルバム「ブラディ・ツーリスト」にもエリック・スチュワートとグレアム・グールドマンの楽曲は美しく冴えています。と同時に以前の10ccを知っていると、何か物足りなさを覚えてしまいます。
とは言え本作はかなりの力作です。
全英1位のシングル「トロピカル・ラヴ」と「レッズ・イン・マイ・ベッド」、「フォー・ユー・アンド・アイ 」のシングル3曲を収録しています。
ブラディ・ツーリスト

ブラディ・ツーリスト

1978年リリース

【収録曲】
1.トロピカル・ラヴ (Dreadlock Holiday)
2.フォー・ユー・アンド・アイ (For You and I)
3.愛の鎖 (Take These Chains)
4.地下鉄でドッキリ (Shock on the Tube (Don't Want Love))
5.ラスト・ナイト (Last Night)
6.アルコール中毒 (The Anonymous Alcoholic)
7.レッズ・イン・マイ・ベッド (Reds in My Bed)
8.テレフォン・ラインはライフ・ライン (Life Line)
9.TOKYO (Tokyo)
10.オールド・ミスター・タイム (Old Mister Time)
11.ロッチデールからオチョ・リオスへ (From Rochdale to Ocho Rios)
12.君の知りたいこと (Everything You've Wanted to Know About!!! (Exclamation Marks))
分裂後の2作目ながら前作の「愛ゆえに」より、内容はさらに良いと思います。あいかわらずスチュアート&グールドマンのメロディは輝いているし、曲のバラエティも豊かで楽しめます!ジャケットもヒプノシスの最も良い時期の一枚といえるもので、音楽とジャケットが一体で作品世界を作り上げていた時代のものです。とかく分裂前との比較で、過小評価されているスチュアート&グールドマン10CCですが、この「ブラッディツーリスト」までの10CCは素晴らしいと言いたい!

10cc - Dreadlock Holiday

トロピカル・ラヴ
好調だった10ccですが、80年代に入ると状況は一転します。

1980年にフランス映画「ガールズ/恋の初体験」のサウンドトラックアルバム「ルック!ヒア!!」を発売しますが力作だったにもかかわらず思わしい結果を出すことが出来ませんでした。
1981年発売のアルバム「ミステリー・ホテル」と1983年発売のアルバム「都市探検」は、共にAOR路線を推し進めたものでしたが、これも商業的に失敗に終わります。
そして、英国ツアーも不調に終わったことから10ccは解散してしまいます。

1992年には再結成し、アルバム「ミーンホワイル」を、1995年にはアルバム「ミラー・ミラー」発売しますが往年のような成功には至りませんでした。

10ccという変わったバンド名は、所属レコード会社の社長、ジョナサン・キングが夢で見た「世界で最も偉大なバンド、10cc」という看板からとられたとのことです。

70年代の10ccは英国的で偉大なバンドであったことに間違いはありません。
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