ロバート・デ・ニーロ主演の『ディア・ハンター』はただのベトナム戦争の映画ではないのだ!
2017年1月24日 更新

ロバート・デ・ニーロ主演の『ディア・ハンター』はただのベトナム戦争の映画ではないのだ!

若者の心の在り様を丁寧に描き、その友情と苦悩を描き切ったロバート・デ・ニーロ主演の『ディア・ハンター』。ベトナム戦争をテーマにした映画としてひとくくりにされることもあるが、それだけではない。想像もつかないことが起きてしまう今の時代。そんな、無力さに心折れる時にこそ、何が大切かを教えてくれる映画なのだ。

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<受賞&ノミネート>

第51回アカデミー賞
受賞・・・作品賞/監督賞/助演男優賞/音響賞/編集賞
ノミネート・・・主演男優賞/助演女優賞/脚本賞/撮影賞
第33回英国アカデミー賞
受賞・・・撮影賞/編集賞
ノミネート・・・作品賞/監督賞/脚本賞/主演男優賞/助演男優賞/助演女優賞
第36回ゴールデングローブ賞 監督賞
第44回ニューヨーク映画批評家協会賞 作品賞/助演男優賞
第13回全米映画批評家協会賞 助演女優賞
第4回ロサンゼルス映画批評家協会賞 監督賞
第53回キネマ旬報ベスト・テン 委員選出外国語映画部門第3位/読者選出外国語映画部門第1位
第22回ブルーリボン賞 外国作品賞
第3回日本アカデミー賞 最優秀外国作品賞

あまりにも心に響くテーマ曲「CAVATINA 」

 このテーマ曲について、言葉でどう表現していいのかわからない。どうしても言葉でと言われても、「切ない」という陳腐な言葉を探し当てることしかできない。でも、実際にこの曲が流れるシーンは、そんな言葉ではとても表現しきれないものだったように思う。
 ベトナムからアメリカに帰国し、地元クレアトンに凱旋したマイケルは、タクシーの中から歓迎の垂れ幕を見て、家に戻れなくなる。そして、一人モーテルで頭を抱える。そのシーンで「CAVATINA 」が流れる。こんなふうに言葉で説明することがバカらしいのはわかってはいる。よもや見逃してしまうことはありえないと思うのだが、いちおう書いておきたい。
 なお、作曲を音楽を手掛けたスタンリー・マイヤーズ、ギターはジョン・ウィリアムズ。

不幸か自業自得か、それでも惜しいマイケル・チミノ監督の才能

 不幸な監督といわざるおえないか。それとも自業自得か。
 マイケル・チミノは、『ディア・ハンター』で、アカデミー賞作品賞や監督賞を含む5部門を受賞するなどの大成功を収める。
 しかし、続いて監督したジョンソン群戦争を描いた『天国の門』では、製作費が4400万ドルにまでなったにもかかわらず、興行収入が350万ドルに満たない惨敗。マスコミからも「大失敗作」と袋叩きに合い、結果、莫大な赤字を出してしまう。そして、撮影日数の超過やセットの組み直し、作中では重要ではない機関車の調達などによる製作費の高騰が原因で、制作会社のユナイテッド・アーティスツを倒産させることになる。
 このあと、マイケル・チミノはハリウッドでのメジャー制作ができなくなったのだ(独立プロ作品での監督作はあるが)
 ベトナム戦争、ジョンソン群戦争、チャイニーズ・マフィアなど、アメリカ社会の隠された暗部を描き、男同士の友情を主題としたマイケル・チミノ。もっと ‟機会" が与えられてもよかったとも思う。ハリウッドやアメリカ資本社会がただ喜ぶだけの作品を作らないことこそが映画芸術のある意味、本懐でもあると考えれば、チミノの存在価値は一度の失敗で貶められるものではなかったはずだ。
 短編の名手でもあり、村上春樹も敬愛するレイモンド・カーヴァーと親しく、その短編の映画化を望んでいたというが、2016年7月、77歳で亡くなっている。レイモンド・カーヴァーの短編を、マイケル・チミノが監督するなんて観たいと思いませんか。
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『天国の門』デジタル修復完全版の予告編。

ロバート・デ・ニーロ、もっとアカデミー賞を獲得しててもいいと思うのだが…

 言わずと知れたアメリカ最高の俳優の一人。もはや説明する必要がないと思う。
 この映画では、冷静な兄貴分のマイケルを好演し、アカデミー賞主演男優賞にノミネートもされている。もちろん、その演技にケチをつけるようなところはない。デ・ニーロの演技に心揺さぶられるシーンは何度もあった。ちなみに、この年の主演男優賞は、『帰郷』のジョン・ヴォイト。デ・ニーロは、1975年に『ゴッドファーザー PART II』で助演男優賞、1981年に『レイジング・ブル』で主演男優賞を獲得しているが、ノミネート5回も含め、もっと獲ってもいいと思う。
 なお、ロバート・デ・ニーロの詳細を知りたい方は下からどうぞ。
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写真で見るロバート・デ・ニーロ、七変化

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『ゴッドファーザー PARTⅡ』
出典 ciatr.jp
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『タクシードライバー』
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『レイジング・ブル』
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『ケープ・フィアー』
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『ヒート』
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『マラヴィータ』
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