昭和を背負ってリングを去った、ミスタープロレス天龍源一郎
2016年11月25日 更新

昭和を背負ってリングを去った、ミスタープロレス天龍源一郎

昭和のプロレス界を代表するプロレスラー天龍源一郎。 ミスタープロレスとまで評された名勝負(ベストバウト)の数々をまとめました。

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ミスタープロレス天龍源一郎

天龍源一郎

天龍源一郎

本名:嶋田 源一郎
生年月日:1950年2月2日
出身地:福井県 勝山市

身長:189cm
体重:120kg

相撲界初土俵:1964年1月場所
相撲界引退:1976年9月場所

プロレスデビュー:1976年11月13日
プロレス引退:2015年11月15日

ミスタープロレスの原点となる大相撲時代

 (1527494)

農家の長男として生まれた天龍は、幼少期から米をたくさん食べて育ち、中学2年時の身体測定で身長182cm体重82kgを記録していた。

その後、天龍の父親が床屋で髪を切っている時、後に入門する二所ノ関部屋後援者と出会うことがきっかけであの大鵬が天龍の元へやってきて大相撲へ勧誘し、1963年12月二所ノ関部屋に入門。

巡業中に兄弟子の申しつけを忘れ、かわいがりに遭い、竹刀や青竹、さらには角材で殴られたエピソードがあるほど厳しい下積み時代を過ごしながら、1964年1月場所で初土俵を飾る。

その後9年の歳月を経て、1973年1月場所で新入幕を果たし、それから幕内に16場所在位し、前頭筆頭まで上り詰めた。

1975年、師匠の死去に端を発する後継問題(押尾川事件)に巻き込まる。
天龍は押尾川親方(大麒麟)の興じた押尾川部屋に入りたかったが、金剛が二所ノ関を襲名して継承した二所ノ関部屋に戻されることとなる。(後に天龍の著書で金剛とはそりが合わなかったことを語っている)

1976年秋場所に勝ち越したものの、同場所を最後に廃業。
同年10月、全日本プロレス入団。

大相撲時代の主な戦績と改名歴

【戦績】
通算戦績:393勝355敗(77場所)
幕内戦績:108勝132敗(16場所)
十両戦績:94勝71敗(11場所)
優勝:幕下1回(1970年9月場所)、十両1回(1975年1月場所)

【改名歴】
島田 源一郎(しまだ げんいちろう) 1964年1月場所-1970年9月場所
嶋田 源一郎(しまだ げんいちろう) 1970年11月場所-1971年5月場所
島田 源一郎(しまだ げんいちろう) 1971年7月場所
天龍 源一郎(てんりゅう げんいちろう) 1971年9月場所-1976年9月場所

プロレス時代の主な獲得タイトル

【全日本プロレス】
三冠ヘビー級王座:3回(第29代時に最年長戴冠記録を樹立)
世界タッグ王座:5回(w / 阿修羅・原、スタン・ハンセン×3、安生洋二)
アジアタッグ王座:1回(w / 渕正信)
PWFヘビー級王座:1回
UNヘビー級王座:2回(第26代の途中からPWFヘビー級王座との2冠王座となる)
インターナショナル・タッグ王座:2回(w / ジャンボ鶴田)
PWF世界タッグ王座:1回(w / 阿修羅・原)

【新日本プロレス】
IWGPヘビー級王座:1回
IWGPタッグ王座:1回(w / 越中詩郎)

【WAR】
日本J1選手権:1回
WAR世界6人タッグ王座:2回(w / アニマル浜口&北原光騎、荒谷信孝&ウルティモ・ドラゴン)

【ハッスル】
ハッスル・スーパータッグ王座:1回(w / 安田忠夫)

【WJ】
WMGタッグ

【天龍プロジェクト】
天龍プロジェクト認定世界6人タッグ王座:1回(w / 嵐&石井智宏)

【海外マット】
NWAミッドアトランティック・タッグ王座:1回(w / ミスター・フジ)
NWA世界6人タッグ王座:1回(w / ロード・ウォリアーズ)

全日本プロレス全盛期を支えたベストバウト

1988年4月15日 大阪府立体育会館 インターナショナル&PWF&UNヘビー級選手権試合60分1本勝負

[インター王者]ブルーザー・ブロディ vs [PWF&UN王者]天龍源一郎
(30分両者リングアウト)

全日本プロレスで史上初めて行われた三冠統一戦。
ブロディのトップロープからのキングコング・ニードロップにも耐えた天龍ですが三冠統一は成らず、しかしながら歴史的にも意義のあるベストバウト。

1988年7月27日 長野市民体育館 PWF&UN両ヘビー級選手権試合60分1本勝負

[PWF&UN王者]天龍源一郎 vs [挑戦者]スタン・ハンセン
(14分33秒リングアウト、挑戦者スタン・ハンセンの勝ち)

天龍が大流血しながらも大奮闘した試合。
最後はエプロンからコーナーポストへ上がりかけたところでハンセンのウェスタン・ラリアットを喰らって場外憤死、負けた試合ですが間違いなく天龍のベストバウトの一つ。

1989年6月5日 日本武道館 三冠統一ヘビー級選手権試合60分1本勝負

[王者]ジャンボ鶴田 vs [挑戦者]天龍源一郎
(24分5秒エビ固め、挑戦者天龍源一郎の勝ち)

同年4月20日の三冠戦で鶴田のパワーボムで失神、首を負傷した天龍が再度鶴田に挑戦した雪辱戦。
一進一退の攻防から最後は天龍がパワーボムを放ちますが鶴田が返し、天龍が再度渾身のパワーボムを決めてピンフォールを奪ったこれぞ全日本と呼べる至極のベストバウト。

敗戦からのリベンジ!Uとの遭遇、高田延彦戦

1996年12月13日 両国国技館 両国REVENGE 時間無制限1本勝負

天龍源一郎(WAR) vs 高田延彦(UWFインター)
(19分27秒エビ固め、天龍源一郎の勝ち)

同年9月11日、東京・神宮球場での敗戦のリベンジマッチ。
天龍のカラッと激しいプロレスがUとかみ合うはずがないと言われていましたが、実にすべらない攻防を展開した二人。
試合は一気にエスカレートし、高田のハイキックと天龍のグーパンチが応戦し、最後は必殺のパワーボムで天龍の勝利。
この年の年末におけるプロレス最後の試合は壮絶な名試合となりました。

革命終焉、最後まで“らしさ”を魅せてくれたオカダ・カズチカ戦

2015年11月15日 両国国技館 天龍源一郎引退試合60分1本勝負

天龍源一郎(天龍プロジェクト) vs オカダ・カズチカ(新日本プロレス、IWGPヘビー級王者)
(17分27秒片エビ固め、オカダ・カズチカの勝利)

天龍が最後まで“らしい”姿を魅せてくれた。
引退試合の相手に指名したのは、これからのプロレス界を背負って立つ男であろう、新日本プロレスの若きIWGP王者オカダ・カズチカ。
いつまでも負けず嫌いな天龍らしい対戦相手。
全盛期と同じ黒のショートタイツ姿でオカダと向き合った天龍。
放たれるグーパンチ、逆水平チョップに昭和を背負ってきた重みを感じた。
限界の身体を必死に気持ちで奮い立たせ、闘う勇姿を魅せ、最後はオカダの必殺技・レインメーカーに沈んだが、天龍源一郎らしい負けん気あふれるベストバウトでした。
力士として13年間、プロレスラーとして39年間。
本当にご苦労様でした。
最後まで風雲昇り龍、ミスタープロレスの名に恥じない闘いでした。
たくさんの感動と熱いプロレスをありがとうございました。

天龍源一郎、あっぱれ!
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