寝ぐせが印象的な羽生善治。将棋を知らない人でも知っている彼。一体どの位強いの?
2016年5月13日 更新

寝ぐせが印象的な羽生善治。将棋を知らない人でも知っている彼。一体どの位強いの?

1996年に史上初の七冠を達成した棋士・羽生善治。彼の七冠獲得までの戦歴やプロとしての勝率を特集!

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史上初の七冠を達成した 羽生善治

将棋棋士。埼玉県生まれ。都立富士森高校中退。

小学1年で将棋を始め、小学6年のとき小学生名人戦に優勝。
1982年(昭和57)二上達也九段門下となり、奨励会に入会、1985年四段、加藤一二三九段、谷川浩司九段につぐ将棋界3人目の中学生プロ棋士となった。
10代の頃から活躍した羽生善治!

10代の頃から活躍した羽生善治!

1996年2月14日、将棋界で初の7タイトル独占を達成。

全7タイトルのうち竜王を除く6つでの永世称号(永世名人(十九世名人)・永世王位・名誉王座・永世棋王・永世棋聖・永世王将)の資格を保持(いわゆる「永世六冠」)。
さらに名誉NHK杯選手権者の称号を保持しており、7つの永世称号の保持は史上初。
羽生の七冠獲得を伝える新聞

羽生の七冠獲得を伝える新聞

通算優勝回数148回、公式戦優勝回数138回、タイトル獲得94期、タイトル戦登場125回、同一タイトル戦25回連続登場(王座)、同一タイトル獲得通算23期(王座)は歴代単独1位、一般棋戦優勝回数44回は大山康晴と並んで歴代1位タイの記録である。

また、非タイトル戦優勝回数54回、非公式戦優勝回数10回、最優秀棋士賞21回、獲得賞金・対局料ランキング首位21回も歴代1位である。詳細は主な成績を参照。

1991年に初タイトルの棋王を獲得して以降、いずれかのタイトルを25年に渡って維持しており、一冠までに追い込まれたのは2004年のわずか89日間(王座)のみである。
その前後も年度複数冠は達成しているため、年度複数冠継続の記録は2016年現在も更新中である。

羽生とほぼ同じ年齢にトップクラスの実力者が集中しており、彼らは「羽生世代」と呼ばれる。
羽生世代の衝撃 ―対局日誌傑作選―

羽生世代の衝撃 ―対局日誌傑作選―

出版社 マイナビ
発売 2014/8/26

小学生の頃から強かった!!

小1から将棋にのめり込んだ

小学校1年生のとき、近所に住む同級生から将棋の駒の動かし方を教わった。

2年生(1978年)の夏、将棋に熱中している我が子の姿を見ていた母が将棋道場「八王子将棋クラブ」の「第1回夏休み小中学生将棋大会」に出場を申し込み、大会デビュー(1勝の後2連敗で失格)。
それがきっかけで、同年10月28日から毎週末に同道場に通うようになった。
小6の羽生少年

小6の羽生少年

対局を重ねるごとに様々な戦法を吸収し、メキメキと実力をつける。

6年生で小学生名人を獲り、そのタイトルを引っさげて奨励会入会。1985年、中学3年生で四段昇段を決めてプロデビューを果たす(加藤一二三・谷川浩司に次いで史上3人目)。
その4年後、当時の最年少記録の19歳で、初のタイトル・竜王位を獲得。

大人になっても強かった!!

七冠を独占するまでの道のり

1992年度、第40期王座戦で福崎文吾から奪取して、初めて複数冠(王座・棋王)となる。ここから長い王座戦連覇が始まり、後に、大山が持つ同一タイトル連覇記録を塗り替えることとなる。

同年、第5期竜王戦で谷川竜王(三冠)との三冠対二冠の天王山対決を制し、「タイトル保有の図式が逆転」した。

1993年度、谷川から棋聖を、郷田真隆から王位を奪取して五冠王(大山、中原に次いで3人目)となる。羽生はこのときに「初めて七冠を意識した」。しかし、竜王戦で佐藤康光に敗れ四冠に後退する。

一方、順位戦では、1991年度(第50期)のB級2組から2期連続昇級でA級に昇格。そして迎えた第52期(1993年度)A級順位戦では、谷川と並んで7勝2敗で1位タイの成績で終え、プレーオフで谷川に勝ち、A級初参加にして名人挑戦権を得る。この第52期(1994年度)名人戦七番勝負の相手は、前年から初めて名人位に就いていた50歳の米長邦雄名人であった。羽生は3連勝・2連敗の後の第6局で勝ち、奪取。
1993年、郷田真隆王位との王位戦

1993年、郷田真隆王位との王位戦

同年度、さらに竜王位を佐藤から奪還して史上初の六冠王となる。残るタイトルは、谷川が保持する王将位ただ一つとなった。

王将リーグでは郷田と5勝1敗同士で並びプレーオフとなったが、これに勝利して王将挑戦権を獲得。ついに、1995年1月からの王将戦七番勝負で、全冠制覇をかけて谷川王将に挑むことになる。

この第44期王将戦七番勝負はフルセットの戦いとなり、その間、同時進行していた棋王戦五番勝負では森下卓に対し3-0で早々と防衛をしていた。

そして最後の第7局(1995年3月23 - 24日)は、青森県・奥入瀬で行われた。相矢倉の戦形となったが、2日目に千日手が成立。
先手・後手を入れ替えての指し直し局は同日中に行われたが、40手目まで千日手局と同じ手順で進行。つまり、相手の手を真似し合ったような格好であった。
41手目に先手の谷川が手を変え、以降、矢倉の本格的な戦いとなったが、最後は谷川の111手目を見て羽生が投了。

阪神淡路大震災で被災したばかりの谷川によって、七冠制覇を目前で阻止された。羽生がタイトルに挑戦して敗れたのは、これが初めてである。

この第7局の2日目当日、対局場のホテルには、将棋界の取材としては異例の数の報道陣が大挙して詰めかけていた(約150名)。
敗れた羽生は、「もう2、3年は、(七冠の)チャンスは巡ってこないだろう」と思った。
1996年2月、谷川浩司王将(左)と七冠を賭けて再戦!

1996年2月、谷川浩司王将(左)と七冠を賭けて再戦!

この時、羽生は風邪を引いて高熱での対局!
ところが、それから1年間、羽生は王将戦第7局の前に既に防衛していた棋王戦(対・森下卓)を含め、名人戦(対・森下卓)、棋聖戦(対・三浦弘行)、王位戦(対・郷田真隆)、王座戦(対・森雞二)、竜王戦(対・佐藤康光)と六冠の防衛に全て成功する。

そのかたわら、第45期王将リーグは対・中原戦で1敗を喫したものの、村山聖、森内俊之、丸山忠久、郷田真隆、有吉道夫に勝って5勝1敗の1位となり、2期連続で谷川王将への挑戦権を勝ち取る。

第45期王将戦七番勝負の決着は、前年とは異なりあっさりとやって来た。
羽生は開幕から3連勝し、山口県のマリンピアくろいでの第4局(1996年2月13日-2月14日)を迎える。

報道陣の数は1日目から170名を超え、2日目には250名近くに達した。

羽生の後手番で戦形は横歩取りの激しい将棋となり、82手で羽生の勝利。
4-0のストレートで王将位を奪取し、ついに七冠独占を達成した。

横歩取りは、谷川が低段の頃に愛用しており、それに影響を受けた小学生時代の羽生少年が好んで指していた戦法であったため、その戦形で七冠を達成できたことは、感慨深かったという。

対決 羽生善治 VS 谷川浩司 - YouTube

「第45期王将戦」のドキュメント映像
息を呑む攻防の様子が伝わる。
若い二人の明るい未来を予感させる映像となっている。
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