不思議な青春コメディ 「の・ようなもの」
『の・ようなもの』は、1981年の日本映画。落語の世界を題材にして、コメディの要素を取り入れた青春群像映画。
監督・脚本:森田芳光。出演:秋吉久美子、伊藤克信、尾藤イサオ、でんでん、小林まさひろ、大野貴保、麻生えりかほか。森田芳光の初監督作。
あらすじ
古典落語の修業に励む二ツ目の落語家、志ん魚は23歳の誕生日、初めてソープランドに行く。
そこで出会ったソープ嬢エリザベスと惹かれあい、デートを重ねるようになる。
そんなある日、志ん魚は女子高の落研からコーチの依頼を受けた。
そして部員の一人、由美とのデートにこぎつけたが、由美の父親の前で一席噺をしたところ、ちっとも面白くないと言われ、大いに傷ついてしまう。
その頃、先輩の落語家志ん米の真打ち昇進が決まる。
先輩の昇進を喜ぶと同時に取り残されたような気持ちの志ん魚は、その夜仲間と将来の夢を語り合うのであった・・・。
尾藤イサオの歌声が絶妙な予告映像
【予告】の・ようなもの - YouTube
「ボタンダウンの似合うスタッフが新しい笑いとニュアンスの映画を作りました。」
※予告内より抜粋
※予告内より抜粋
via www.youtube.com
鑑賞者レビュー
淡々とした日常が描かれた作品
衝撃的な事件も情熱的なロマンスもなく、若手落語家の日常を淡々と描くだけなんですが、主演の伊藤克信さんをはじめとするキャラクターがみな魅力的で、何度も観たくなります。
via ameblo.jp
絶妙な会話の間
なんだこれは?と思ったのが会話の奇妙さ。テクノ少年らしい志ん菜とその姉(狙いすましたような美女)がデザートやサラダを食べながら会話していると、きまって志ん菜が姉の首すじに「キスマークがついてるよ」と指摘するのだ。
べつにただこれだけのシーンが妙にヘンテコに感じる、面白いことを言っているわけではないのに妙に可笑しい。おそらく会話の間やセリフの唐突さが新しかったのだろう
タイトル「の・ようなもの」の意図
不思議な映画で、特になにも言っていない。日常会話にちょっと捻りを効かせた程度のシナリオ。
でもそれが狙いだったことは明白。タイトルから主語を外しているのは、そこに明確な形を持たないものを入れる為だと思う。
たとえば本作の製作年度。「1981年の・ようなもの」と言われ、当時を思い浮かべると、なんとなく頷ける。
あるいは「青春の・ようなもの」とか。高度成長が終わりを告げ、80年代に入った初頭の空気感の・ようなものは伝えていると思う。
森田芳光監督は、本作で監督を務めるまで8mmフィルムで自主制作を撮っていました。
ぴあフィルムフェスティバル入選作品「ライブイン茅ヶ崎」では、ごく普通の若者たちを、ごく普通に描いた特に大きな事件も起こらない不思議な映画を制作しています。
本作での何気ない台詞も、若者の「普段使い」の言葉なので、よりリアリティを感じます。
独特な人間模様が描かれた本作。
その原点はそうした過去の作品制作によって培われたのかも知れませんね!
ぴあフィルムフェスティバル入選作品「ライブイン茅ヶ崎」では、ごく普通の若者たちを、ごく普通に描いた特に大きな事件も起こらない不思議な映画を制作しています。
本作での何気ない台詞も、若者の「普段使い」の言葉なので、よりリアリティを感じます。
独特な人間模様が描かれた本作。
その原点はそうした過去の作品制作によって培われたのかも知れませんね!
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