稀代の歌姫・中森明菜の楽曲に徹底フォーカスした音楽クロニクル!『中森明菜の音楽 1982-1991』が好評発売中!!
辰巳出版より、稀代の歌姫・中森明菜の楽曲に徹底フォーカスした書籍『中森明菜の音楽 1982-1991』が現在好評発売中となっています。価格は1650円(税込)。
80年代日本の音楽界に偉大なる金字塔を打ち立て、かつ象徴的存在として君臨した中森明菜。アイドルという立ち位置からスタートし、破格の商業的成功を成し遂げました。本書では、単なる歌謡曲でもニューミュージックでもロックでもない独創的な音楽を創り出し、歌い演じ、プロデュースし続けた、稀代の歌姫の音楽の軌跡を辿ります。音楽家としての中森明菜の真価を、改めてあぶり出すための書に仕上がりました!
「はじめに」より(抜粋)
「中森明菜を書いてみませんか?」
物書きにとって、原稿依頼はうれしいものである。こちらから企画を出して通る場合もうれしいが、特に見知らぬ編集者や版元から依頼されるということは、私のこれまでの仕事を、純粋に認めてくれていることの証なので、とてもうれしい。
しかし、その反面、今回の依頼には緊張感を抱いたのだ。なぜか。早めに白状してしまうが(私のこれまでの著作に触れた方なら、白状せずともお分かりだろうが)、私はそれまで、中森明菜を深く聴き込まずに生きてきたからである。
この本が主に取り上げる年代は、私の学生時代であり、その後半は大学生。大阪から 上京して、熱心にラジオを聴いて、中古レコードを漁る日々だったが、中森明菜より松田聖子、中島みゆきより松任谷由実、それよりも、はっぴいえんど、レッド・ツェッペリン、さらには何といってもビートルズという感じの日々だった。
なので、依頼に対して、聴き込んでいないという懸念を正直に伝えた上で、十分に考えさせていただき、こう決断した。
「そんな私にしか書けない中森明菜を書こう」
via www.amazon.co.jp
決断には理由があった。2022年、突如中森明菜の復活が噂され、メディア界は一種の「中森明菜ブーム」のような様相となった。私も多少はブームに加担した格好になりつつも、違和感を抱いたのは、ブームの中における彼女の語られ方である。
まずは過剰な神格化。「最高の歌姫」「抜群の才能」「令和の音楽シーンに失われたものが、すべてそこにはある!」
音楽性を吟味しない乱暴な神格化は、結局、価値の矮小化につながってしまう。それ良くないんじゃないか、いや、もったいないんじゃないかと思ったのだ。
選曲の幅の狭さとパターン化も気になったことのひとつだ。まずは『少女A』。デビュー曲ということで『スローモーション』を経由、「実はこんな曲も」と『飾りじゃないのよ涙は』を挟み、そして「2年連続のレコード大賞という快挙!」という文脈で『ミ・アモー レ』『DESIRE - 情熱- 』、あとはたまに『難破船』という感じ。
『SOLITUDE』や『Fin』『LIAR』などは、なぜいつも無視されるんだろうと、疑問に思っ ていたのだ。先述の通り、深くは聴き込んでいなかったものの、それらの曲にも、中森明菜の本領が十分発揮されていると直感していたから。
あと、いつも、89年のあの「事件」とセットで語られることにも――。もっと純粋かつシンプルに、音楽そのもので語られるべきではないのか。
「音楽の話だけに絞り切ってよければ、喜んで書かせていただきます」
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以上のような経緯で、本書執筆が走り出した。私の場合、ほとんどがそうなのだが、今回もタイトルはいちばん先に決まった。
――という本なので、「はじめに」でこういうことを書く著者も珍しいと思うが、「中森明菜マニア」の方々には、少々歯ごたえがない本かもしれない。
逆に、これから中森明菜を聴いてみよう、もしくは、当時聴いていたものの、音楽的に再確認したいという方には、バランスの取れたリスナーズ・ガイドになるはずだ。特に、昨今の「中森明菜ブーム」の中でほとんど顧みられない、『SOLITUDE』を皮切りとした「アー バン歌謡」(本文参照)については、他の同様の書物や記事にはない視点だと自負したい。
よくしたもので、取り上げたシングル、アルバムの収録曲はすべて、サブスクリプショ ン・サービスに収まっている。スマホ片手に読んでいただくのもおすすめだ。
82年のデビューから、 年までの全シングルと全スタジオ・アルバムを、今年(2023年)に入って、一気に聴き続けた。中森明菜の活動の「情報量」(本文参照)にクラクラし続けるディープでタフな9か月間だった。なぜクラクラしたのか、どうディープでタフだったかは、読んでいただければすぐに分かるはず。
デビューからの10年間にリリースされた 全シングル&オリジナルアルバムを収録!
< single >
スローモーション/少女A /セカンド・ラブ/ 1/2 の神話/トワイライト - 夕暮れ便り - /禁区/北ウイング/サザン・ウインド/ 十戒 (1984) /飾りじゃないのよ涙は/ミ・アモーレ/ SAND BEIGE - 砂漠へ - / SOLITUDE / DESIRE - 情熱 - /ジプシー・クイーン/ Fin /ノンフィクションエクスタシー/ TANGO NOIR / BLONDE /難破船/ AL-MAUJ / TATTOO / I MISSED "THE SHOCK" / LIAR / Dear Friend /水に挿した花/二人静 -「天河伝説殺人事件」より/忘れて…
< album >
プロローグ〈序幕〉 /バリエーション〈変奏曲〉 /ファンタジー〈幻想曲〉 / NEW AKINA エトランゼ/ ANNIVERSARY / POSSIBILITY / SILENT LOVE / BITTER AND SWEET / D404ME / MY BEST THANKS /不思議/ CRIMSON / Cross My Palm / Stock / Wonder / Femme Fatale / CRUISE
スローモーション/少女A /セカンド・ラブ/ 1/2 の神話/トワイライト - 夕暮れ便り - /禁区/北ウイング/サザン・ウインド/ 十戒 (1984) /飾りじゃないのよ涙は/ミ・アモーレ/ SAND BEIGE - 砂漠へ - / SOLITUDE / DESIRE - 情熱 - /ジプシー・クイーン/ Fin /ノンフィクションエクスタシー/ TANGO NOIR / BLONDE /難破船/ AL-MAUJ / TATTOO / I MISSED "THE SHOCK" / LIAR / Dear Friend /水に挿した花/二人静 -「天河伝説殺人事件」より/忘れて…
< album >
プロローグ〈序幕〉 /バリエーション〈変奏曲〉 /ファンタジー〈幻想曲〉 / NEW AKINA エトランゼ/ ANNIVERSARY / POSSIBILITY / SILENT LOVE / BITTER AND SWEET / D404ME / MY BEST THANKS /不思議/ CRIMSON / Cross My Palm / Stock / Wonder / Femme Fatale / CRUISE
CONTENTS
はじめに
第一期 <出現> 1982-1983
第二期 <飛翔> 1984-1986
第三期 <爛熟> 1986-1987
第四期 <到達> 1988-1989
第五期 <総括> 1990-1991
終章 「中森明菜の音楽」とは何だったのか
おわりに
第一期 <出現> 1982-1983
第二期 <飛翔> 1984-1986
第三期 <爛熟> 1986-1987
第四期 <到達> 1988-1989
第五期 <総括> 1990-1991
終章 「中森明菜の音楽」とは何だったのか
おわりに