とっつきにくく小難しいプログレをポップに昇華!エイジア(Asia)が1980年代にもたらした意識改革とは??
2016年9月8日 更新

とっつきにくく小難しいプログレをポップに昇華!エイジア(Asia)が1980年代にもたらした意識改革とは??

1970年代に一時代を築いたイギリスのプログレッシブ・ロック。 その重鎮バンドであった、イエスやキングクリムゾン、ELPなどのメンバーであった面々が集まって結成当初から「スーパーバンド」として、1982年に音楽シーンに颯爽と現れたのがエイジア(Asia)です。 今もまだ活動を続ける彼らですが、その1980年代当時の活躍を振り返り、彼らが後の音楽シーンに与えた影響や意義などを考察していきたいと思います。

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エイジア(Asia)の成り立ち

エイジア(Asia)は、1970年代にプログレッシブ・ロックの一大ムーヴメントを巻き起こした中心グループであったイエスが諸事情により、空中分解状態となった時に、イエスのメンバーでギターのスティーヴ・ハウとキーボードのジェフ・ダウンズを、元キングクリムゾンやUKでボーカルを務めたベース&ボーカルのジョン・ウェットンが、イエスのマネージャーによって引き合わされたことに端を発して結成されました。

Yes - Siberian Khatru

1970年代にイギリスを中心に巻き起こって世界中を席巻したプログレッシヴ・ロック。
その中心的存在だったイエスのスティーヴ・ハウ在籍時代の代表曲の一つ。
壮大なスケールで実験的な音楽で、今聴いても圧倒される迫力がありますね。
ハウのギターも、変態的で素敵です。
やがて、スティーヴ・ハウとジョン・ウェットンは、一緒に曲作りをするまで距離を縮め、後のデビューアルバムの大半の楽曲をこの時点で作り上げています。

そして、ドラム担当に、同じく1970年代のプログレムーヴメントの中心的存在であった元ELPのカール・パーマーが加入した時点で、スーパーバンド「エイジア」のピースは全て揃いました。

デビュー前のまだ世間にデビューアルバムやその楽曲が提供される前の段階から、プログレ界の物凄い面子が揃ったバンドということで、プレスやメディアはこぞって鳴り物入りのスーパーバンド扱いで、一体どんな小難しいアルバムを出してくるのやら?という様々な予想や憶測が繰り広げられたようです。

そんな折の1982年3月、満を持して、エイジアのファーストアルバムである『Asia』(邦題は、「詠時感〜時へのロマン」)がリリースされました。

エイジア(Asia)の錚々たるオリジナルメンバー

John Wetton

John Wetton

ジョン・ウェットン(ボーカル・ベース)
ジョン・ウェットンは、1949年ダービー生まれで、エイジアを結成する前は、キング・クリムゾンやロキシー・ミュージック、ユーライア・ヒープ、U.Kなど、ブリティッシュ・プログレッシヴロック、アートロックを代表する名だたるバンドを渡り歩いてきた実力者です。

エイジアにおいては、特に初期は、ギターのスティーヴ・ハウとともに、「エイジアの核」とも呼べる中心メンバーです。
Steve Howe

Steve Howe

スティーヴ・ハウ(ギター)
スティーヴ・ハウは、1947年ロンドン生まれで、ご存知イエスのギタリストとしてすでに超有名でした。
イエス時代は、1970年代のバリバリのプログレッシヴ・ロック全盛時代のイエスの代表作であ『Fragile』、『Close to the Edge』、『Relayer』などの収録楽曲のギターはすべてスティーヴ・ハウによるものです。

様々なジャンルの奏法を取り入れて独自に編み出した奏法は、まさにプログレッシヴ・ロックの申し子ともいえる存在のギタリストです。
Carl Palmer

Carl Palmer

カール・パーマー(ドラム)
出典 amass.jp
カール・パーマーは、1950年バーミンガム生まれで、言わずと知れたプログレ界の重鎮の一つであった、エマーソン・レイク・アンド・パーマー(EL&P)のドラマーがエイジア加入前のキャリアです。

EL&P時代から、迫力と躍動感に富んだドラムのプレイスタイルです。
Geoffrey Downes

Geoffrey Downes

ジェフ・ダウンズ(キーボード)
ジェフ・ダウンズは、1952年ストックボート生まれで、エイジア加入以前は、ギターのハウとともに、イエスで活躍していました。
イエス加入前は、後にイエスのプロデューサーとしてビッグネームになるトレヴァー・ホーンとともにバグルスの主要メンバーでした。
有名な大ヒット曲である『Video Killed The Radio Star』のキーボードは彼の演奏に依るものです。

Asia(『詠時感〜時へのロマン』)

Asia-詠時感〜時へのロマン-

Asia-詠時感〜時へのロマン-

アルバムチャート:全米1位(年間チャートでも1位) 全英11位
1982年3月にリリースされたエイジアの1stアルバム『Asia』は、当時の世界中のリスナーや音楽ファンの期待や予想を、良くも悪くも裏切る想定外のアルバムでした。

1970年代に英国で巻き起こったロックにクラシックやジャズなどの難解な音楽を融合させるプログレッシヴ・ロックを先導してきた錚々たる面子たちが作る音楽は、さぞや難解でマニアックなものだあろうと思われていたからです。

しかし、違いました。

エイジアの1tsアルバム『Asia』は、非常にポップでキャッチー、普通のポップミュージックばかり聴いているような音楽ファンでも、親しみの持てるポップロックチューンがびっしり詰まったアルバムだったのです。

楽曲も造りも壮大で長い組曲風のものはなく、どれもヒットチャートを意識したかのようなコンパクトで短い楽曲揃いにまとめられていて、いかにも80年代風に時代の風に合った佳作に仕上げられました。

しかし、往年のプログレファンや、音楽評論家の多くは、このエイジアのデビューアルバムの作風には、辛辣な酷評が多く、「産業ロック」と揶揄もされました。

ですが、一般的な世界中の音楽ファンには大歓迎され、ポップでキャッチーで良質なメロディと腕は確かなレベルの高い演奏力とで、アルバムは世界中で大ヒット、全米ビルボードアルバムチャートでも、9週連続に渡って1位を獲得(全米だけでも400万枚を超えるセールスを記録)して、商業的にはデビューアルバムから、大成功を収め、まさに「スーパーバンド」の貫禄の発進となりました。

【収録曲】
Heat Of The Moment
Only Time Will Tell
Sole Survivor
One Step Closer
Time Again
Wildest Dreams
Without You
Cutting It Fine
Here Comes The Feeling

19 Asia Heat Of The Moment

エイジアのデビューアルバム『Asia』から、最初にシングルカットされた名刺代わりのシングル楽曲がコレ。
そのポップでキャッチーなロックサウンドに、世界中の音楽ファンが色んな意味で度肝を抜かれました。
この曲はシングルとしても世界中でスマッシュヒットを飛ばしました。

Asia Only time will tell

1stアルバム『Asia』からシングルカットされ、世界中で大ヒットした楽曲。
当時のプログレファンからは批判を浴びましたが、普通にメロディアスで美しい旋律の名曲です。

エイジアの1stアルバム『Asia』の商業的大成功が音楽シーンに引き起こした化学反応

このように、世界中で賛否両論の嵐を巻き起こしながらも、商業的には大成功を収めたエイジアのデビューアルバム『Asia』はその後の音楽シーン、とりわけ、プログレッシヴ・ロック界隈のミュージシャン達に、一角ならぬ波紋を投げかけたのです。

1970代のプログレバンドは、クラシックやジャズなどの難解な音楽とロックを如何に融合させて新しい音楽を作れるか?といった実験的な音楽を制作して披露するのがお約束となっていました。
そのため、この手の音楽のファンたちも小難しい音楽理論の好きな薀蓄屋さんが多い傾向にありました。

しかし、そのプログレシーンにおいても主導的、中心的な立ち位置にいたはずの大物たちの作った新バンド・エイジアは、ポップでキャッチーな、「良質なポップロック」を1980年代のソリューションとして提示してきたのです。

プログレ界隈は、これを機にかなりザワつき始めます。

まず、ギタリストのハウの在籍していた古巣のイエスは、空中分解時代を経て、再結成。
そして、1983年11月にリリースしたアルバム『90125』は、全米1位をはじめ世界中でメガヒットシングルとなった「ロンリー・ハート」をはじめ、それまでのイエスとは打って変わったポップでキャッチーな楽曲群に様変わりしていました。
このイエスの再結成アルバムは、世界中で売れまくり大成功を収めました。

この路線の大転換は、かつてイエスのメンバー経験もある鬼才プロデューサーのトレヴァー・ホーンの手腕に依るところも大きいのですが、その前年に商業的に大成功を収めたエイジアのデビューアルバムの衝撃が大きかったと見られています。

更に、同じく1970年代には、ピーター・ゲイブリエルを擁して、コッテコテのプログレ路線のバンドだったジェネシスも、フィル・コリンズのポップセンスも大きいのですが、この後に、ポップな楽曲を連発して、全米はじめ世界中のヒットチャートの1位を連発するような常連のポップバンドに転化していったのも、やはり、発端となったのはエイジアの商業的成功だったと思えるのです。
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