とっつきにくく小難しいプログレをポップに昇華!エイジア(Asia)が1980年代にもたらした意識改革とは??
2016年9月8日 更新

とっつきにくく小難しいプログレをポップに昇華!エイジア(Asia)が1980年代にもたらした意識改革とは??

1970年代に一時代を築いたイギリスのプログレッシブ・ロック。 その重鎮バンドであった、イエスやキングクリムゾン、ELPなどのメンバーであった面々が集まって結成当初から「スーパーバンド」として、1982年に音楽シーンに颯爽と現れたのがエイジア(Asia)です。 今もまだ活動を続ける彼らですが、その1980年代当時の活躍を振り返り、彼らが後の音楽シーンに与えた影響や意義などを考察していきたいと思います。

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Yes - Owner Of A Lonely Heart (Official Music Video)

一旦空中分解して、解散していたイエスが再結成して世に放った復活アルバム『90125』からシングルカットされた大ヒットシングル曲。
それ以前の時代のイエスとは一線を画すほど、ポップで万人受けする楽曲となったのはやはりエイジアの存在が大きいでしょう。

Genesis - That's All

1970年代にプログレロックバンドだった面影はなく、ポップな良曲の数々をこの後量産することになるジェネシスの発端となった1983年の大ヒット曲。
ボーカル/ドラムのフィル・コリンズはこの後、ヒットチャートの常連のポップスター・ポップメーカーとなります。

ALPHA

Alpha

Alpha

アルバムチャート:全米6位 全英5位
デビューアルバムがいきなり全米アルバムチャートで9週連続1位をはじめ世界中で商業的大成功を収めたエイジアは、次なる2ndアルバム『ALPHA』を1983年に世に放ちました。
しかし、1stでは積極的に楽曲作りに参加していた中心メンバーのギタリストであるスティーヴ・ハウの楽曲はこのセカンドアルバムにはなく、ほとんどの曲は、ジョン・ウェットンとジェフ・ダウンズによって作られたものとなりました。

結論から言えば、この『ALPHA』は、あまりにポップさとキャッチーさを追求しすぎたきらいがあり、そのために、デビューアルバムではプラスの方向に働いていた意外性もなく、とっつきやすく良曲だが、なにもエイジアがわざわざやることないじゃん!と一般のリスナーに言われるほど「軽薄な」アルバムという世評になってしまいました。
やはり、ギターのハウが楽曲を作っていないという要因も大きかったと思われます。

セールスの方は、一応全米をはじめ世界中で売れたものの、売上面でも前作の1stアルバムの5分の1程度に留まり、非常に中途半端な結果だけを残しました。

【収録曲】
Don't Cry
The Smile Has Left Your Eyes
Never In A Million Years
My Own Time
The Heat Goes On
Eye To Eye
The Last To Know
True Colors
Midnight Sun
Open Your Eyes

Asia - Don't Cry [HQ]

2ndアルバム『ALPHA』からシングルカットされたこのアルバムの主導的なナンバー。
全米シングルチャート10位、全英のロックチャートでは1位を記録し、シングル曲としてはエイジア最大のヒット曲となりました。

エイジアが果たした1980年代の役割

このセカンドアルバム『ALPHA』のヒットを最後に、その後のエイジアは第一線のヒットチャートに登場する存在ではなくなります。

この直後に、ボーカルのジョン・ウェットンが脱退(解雇)したり、ウェットンがバンドに復帰すると、今度はギターのスティーヴ・ハウが脱退したりして、すったもんだを繰り返し、音楽性も定まらず迷走が止まらなくなったからです。

それ以降も、エイジアはメンバーをその時代ごとにクルクル変え、辞めたり戻ったりを繰り返しながら、今でも活動しているバンドではあります。

しかし、往年のナツメロファンはともかく、一般的な音楽シーンでは、既に一定の役目は終えたバンドであるという認識が一般的でしょう。

ですが…。

エイジアが1980年代において、特に1982年のデビューアルバムで、それ以降の音楽界、特にプログレ界隈のミュージシャンたちに及ぼした影響は無視できないほどのインパクトがあったことは確かな事実なのです。
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