永山則夫は死刑が確定する以前より、自らの犯した罪を振り返るために、手紙や手記そして小説などの作品を獄中で執筆し続けてきました。その多くが書籍という形で出版され、その印税は被害者遺族へ支払う資金として使われています。ここでは、彼が世に送り出した作品の一部をご紹介したいと思います。
無知の涙(1971年)
1971年に刊行された獄中手記「無知の涙」。永山はこの手記のために字を学び、自らの犯した罪を徹底的に、そして客観的に問い詰めていきました。また、学問の卒業時点は「マルクス経済学への理解」であるとしています。
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人民をわすれたカナリアたち(1971年)
前作「無知の涙」の続編として刊行された手記「人民をわすれたカナリアたち」。永山は本書で自身を客観視しようと試み、そしてその試みは「死刑からの逃避、そして死刑に対する潜在的な恐怖」であると結論付けています。
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木橋(1983年)
1983年に刊行された小説「木橋(きはし)」。東北の四季の中での幼い生の苦しみを描いた「木橋」に加え、「土堤」「なぜか、アバシリ」が収録されており、第19回新日本文学賞を受賞した作品です。
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異水(1990年)
1990年に刊行された小説「異水」。同年、永山は秋山駿と加賀乙彦の推薦を受けた上で日本文藝家協会に入会を申し込んだものの、死刑囚であることから入会拒否に。それに抗議する形で、中上健次、筒井康隆らが日本文藝家協会を脱会するという騒動も発生しました。
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永山則夫を題材とした作品も!
永山則夫が執筆活動で数々の作品を世に送り出す一方で、永山自身も映画などの作品の題材となりました。1969年にはドキュメンタリー映画「略称・連続射殺魔」、翌1970年には事件をベースにした映画「裸の十九才」が相次いで公開されています。
映画「裸の十九才」(1970年)
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永山を題材とした作品は映画だけに留まらず、舞台「tatsuya -最愛なる者の側へ-」、土曜ワイド劇場「死刑囚永山則夫と母」、そして漫画「アンラッキーヤングメン」などに、永山もしくは彼をモチーフにしたキャラクターが登場しています。
漫画「アンラッキーヤングメン」(2004年~2006年)
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