【プロ野球】振り逃げでサヨナラ!?三振の少ないイチローのオリックス時代の珍記録
2023年7月18日 更新

【プロ野球】振り逃げでサヨナラ!?三振の少ないイチローのオリックス時代の珍記録

サヨナラゲームと言えば、サヨナラホームラン、サヨナラヒット、サヨナラ犠牲フライ、サヨナラ押し出しなどはよくありますが、"サヨナラ振り逃げ"は聞いたことがありません。しかし、長い日本のプロ野球史上、2回だけ記録があるようです。そのうち史上初めての記録が、なんと三振の少ないことで有名なイチロー選手。当時の珍記録を振り返ります。

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「振り逃げ」とは

まずは「振り逃げ」についておさらいします。

バッターは、ストライクを3つ取られると「三振」となりますが、キャッチャーが正規の捕球ができなかった時に限り、一塁への進塁を試みることができます。

進塁に成功すれば、三振でもアウトになりません

このプレイを俗に「振り逃げ」と呼んでいます。

振り逃げが可能な条件は、次の通りです。

1. バッターが3つストライクを取られて、三振となった。
2. 第3ストライクで、キャッチャーが正規の捕球ができなかった。
(ボールを落としてしまった場合や、ワンバウンドのボールをキャッチした場合など。)
3. 2アウトである。あるいは、0アウトまたは1アウトで、1塁にランナーがいない。

ただし、バッターがベンチに下がってしまえば、振り逃げの権利を放棄したことになります。

さて、そもそも三振が少ないことで知られているイチロー選手。サヨナラ振り逃げを記録したのは、1994年6月のことです。どのようにして、記録が成立したのでしょうか。

1994年のイチロー

1994年のオリックス・ブルーウェーブは、仰木彬監督が就任。イチローを大抜擢すると、イチローはその期待に応え、開幕からレギュラーで大活躍します。登録名を、本名の鈴木一朗からイチローに変えたのもこの年です。

まずは、この年のイチローの記録を振り返ります。主な成績、タイトル・表彰は次の通りです。

成績
130試合 546打数 210安打 13本塁打 54打点 111得点 29盗塁 51四球 10死球 53三振
打率.385 出塁率.445 長打率.549 OPS.994


タイトル・表彰
首位打者 .385
最高出塁率 .445
最多安打 210
最優秀選手
ベストナイン
ゴールデングラブ賞
月間MVP 2回


打率.385は、パ・リーグ新記録210安打は、NPB史上初めて200安打を超えたということで、なんとこの年から「最多安打」がタイトルとして制定されました。

因みに、月間MVPを獲得した1994年6月は、正にサヨナラ振り逃げを記録した月。記録の前日までには、1番打者としてレギュラーに定着し、打率は.380とリーグトップでした。

1994年6月の月間MVPとなったイチロー

イチロー .460 (87打数40安打) 初の月間MVP 1994年6月

史上初!サヨナラ振り逃げ!

サヨナラ振り逃げを記録したのは1994年6月12日、本拠地グリーンスタジアム神戸で行われた試合、オリックス・ブルーウェーブ対千葉ロッテマリーンズの12回戦のことです。

試合は、ロッテが2回表に3点を先制すると、オリックスはその裏に1点、7回裏に2点を挙げ、3対3のまま延長戦に入ります。オリックス先発は星野伸之で、10回表まで4安打3失点に抑える好投。一方、打線は9回までに12安打を放つもわずか3得点で、チャンスをモノにできない苦しい試合展開でした。

迎えた10回裏、オリックスの攻撃。下位打線で2アウト満塁とし、最高のお膳立てで一番バッター・イチローという絶好のチャンスを迎えました。しかし、イチローは、ロッテの守護神・成本年秀のフォークに空振りの三振。イチローといえば三振が少ないことで有名ですが、この年記録した53三振の一つがこの時です。

ところが、延長11回を迎えるかと思いきや、キャッチャーの定詰雅彦がボールを後逸。1塁にランナーはいましたが、2アウトなので振り逃げが成立する場面です。その間に、3塁ランナーの本西厚博がホームイン!オリックスが得点し、史上初、振り逃げでのサヨナラゲームとなりました。

この幸運が契機となったかはわかりませんが、その後のイチローは絶好調で、6月を終わって打率はなんと.407!史上初4割打者誕生の夢を抱かせるような凄まじい活躍ぶりでした。
三振を喫したにもかかわらず、結果的に勝利の立役者になったイチローは「ラッキーとしか言いようがない。まあ、勝ったからいいじゃないですか」とニッコリ。

NPB史上2回だけの記録

イチローのサヨナラ振り逃げから20年後の2014年5月6日北海道日本ハムファイターズ対福岡ソフトバンク・ホークス戦で、史上二度目のサヨナラ振り逃げが成立します。

9回裏、1アウト1-3塁で、バッターは松田宣浩。1塁ランナーが盗塁し、1アウト2-3塁で振り逃げが可能な場面となります。松田は空振り三振となるも、キャッチャーがボールを後逸。3塁ランナーがホームインし、史上二度目、20年ぶりに、振り逃げでのサヨナラゲームが成立しました。

2023年6月現在、"サヨナラ振り逃げ"の記録は、日本のプロ野球史上、この2回だけです。

NPB史上二度目のサヨナラ振り逃げ

珍決着!松田のサヨナラ振り逃げ 2014.05.06 H-F
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