2021年6月22日 更新
『ガンプラり歩き旅』その58 ~イデオン編・6 現代に蘇った1/600 伝説の巨神2つ! 瞳こらせよ、復活の時!~
ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をしてきた『ガンプラり歩き旅』。
今回は全8回で、ガンプラブームと共にロボットプラモブームを牽引した、『機動戦士ガンダム』(1979年)の日本サンライズ・富野由悠季監督の次作品『伝説巨神イデオン』(1980年)のアオシマ製プラモデル群から、現代に至るまでのイデオンフィギュアを、追いかけてみたいと思います!
21世紀の1/600 イデオン、2つ見参!
私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、
『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、
古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『伝説巨神イデオン』の作品紹介をするので、その『イデオン』に登場した、主人公ロボットイデオンの様々な立体を中心に、敵役の重機動メカ等も含めてイデオンの立体物歴史を俯瞰していきたいと思います。
前回までの、80年代イデプラ全盛期のアオシマから、ガラッと四半世紀の時を経て、現代に新たに生まれ落ちた「1/600 イデオン」を、今回は2つ紹介します。
やまと EXTRA Story Image Mechanics! 伝説巨神イデオン 2005年3月発売 6090円
やまとESI版イデオンのパッケージ。ブリスターの幅が前後に深いので、箱のボリュームはかなりのもの
まず紹介するのは、フィギュアメーカーのやまとが、2005年に「EXTRA Story Image Mechanics!」という完成品ロボットアクションフィギュアシリーズからリリースしたイデオン。
早逝した天才佐藤"ロボ師"拓氏造形による究極造形のイデオン!
同シリーズからは『冥王計画 ゼオライマー』(1988年)のゼオライマーなども発売していたことからも分かるように多彩な商品枠で、このイデオンの原型制作は、ロボットフィギュア原型界に、その人ありと呼ばれた故・佐藤"ロボ師"拓氏。
残念ながら佐藤氏は早逝されてしまったが、氏の芸術的な作品は商品として今もこうして我々が手にできるというのは僥倖だなぁと、富野台詞で感慨深く思ってみたり。
ESI版イデオンのリアビュー
実際の現代版1/600 イデオンフィギュアの出来の方は、写真を見てもらえば分かるとおりに、アニメ版としては完璧な出来栄えと言える、さすが佐藤氏。
ESI版イデオンのサイドビュー
フィギュアの素材がPVCだったり、変形も合体も出来ない上に、オプションは両手の平手のみと、仕様としては寂しくも感じるが、その仕様が逆に、このフィギュアのコンセプトを浮き彫りにさせている。
ブリスターに入った状態。オプションパーツは平手のみ
つまり、変形や合体というギミックに揺らぐことなく、このフィギュアは、全身の関節を駆使して、如何に「あのアニメ版『イデオン』でイデオンが様々な名シーンで構えてたポーズを再現できるか」。そこだけをストイックに追求したフィギュアなのだ。
故・佐藤"ロボ師"拓氏造形による、独自のアレンジが趣深いイデオンの顔
時代的には、ロボットフィギュアはこの時期、一方でバンダイの「超合金魂」シリーズが、「ロボットの、アニメ中の全てのギミックとオプションと可動」を網羅しようという豪華商品で邁進し、その一方で海洋堂のリボルテックシリーズが、サイズは小ぶりながら、全身のポージングアクションに絞り込んで商品化を展開していた中。
やまとと佐藤氏は、イデオンの商品化に当たり、超合金魂でも、リボルテックでもない「かつてのアオシマ版と同じスケールで挑むイデオンのでかさ」と「アニメ作画版への忠実さ」と「劇中のアクションの再現」の三要素に絞り込んで、見事に一体のフィギュアに魂を注ぎ込んだのだ。
ESI版イデオンの上半身の自然なポーズ。全関節が計算されつくして配置されている
さらに時代を進めば、翌年、2007年にはバンダイから、超合金魂でもイデオンは発売されたが、その変形ギミックと完成度の兼ね合いは、完全変形とも完全再現とも言い切れず、重厚さとギミックの多さだけは大迫力で伝わってきたものの、究極とは言い難い「あれもこれも」な半端な出来に終始してしまっただけに、今でもこの、やまとESI版イデオンの価値は色あせてはいない。
合体ギミックを排除したため、上半身も、胸、腹部、腰で、三段階で自在に可動できる
ESI版イデオンは、多少顔つき(ゴーグルの形)にアレンジは見られるが、少しでも手を抜くと、ただの四角い箱の積み重ねにしかならないイデオンのデザインを、見事に二次元から抽出した立体構造で構成し、あまつさえ微妙な湖川友謙ラインをも再現している。イマドキの完成品フィギュアだからすごいのではない、佐藤氏原型だからすごいのだ!
イデオンパンチ! 全身に仮想筋肉と骨格があるのでポージングが自然になっている
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Bンダイ(仮) 2021/6/12 00:51
>Bメカのイデゲージだけは、ゲージと囲うグレーのプレートの切れ込みの円の直系が合っていない
ゲージが上下逆だからです
正しい向きにすればぴったりはまります
間違った向きにはめるとずれるように設計しているんです