今回の番外編で紹介していくのは、シミルボンでもその流れで『伝説巨神イデオン』の作品紹介をするので、その『イデオン』に登場した、主人公ロボットイデオンの様々な立体を中心に、敵役の重機動メカ等も含めてイデオンの立体物歴史を俯瞰していきます。
「ガンプラ」の名称を冠しながらも、ガンダムではないイデオンのプラモデルやフィギュアを紹介してきたこの番外編も今回がクライマックス。
今回は、1981年にアオシマから発売された、1/600 合体版イデオンプラモデルと、2016年にバンダイから発売された、スーパーミニプラ版イデオンとの、合体、変形、各形態の徹底比較を検証してみて、最終的には、各メーカーからこの37年で出揃った、4つの「1/600 イデオン」を、イデオン・ガンと共に並べてみたいと思います!
今回まずはその中でも、アオシマとバンダイの、2つの合体版イデオンを並べて、新旧3種3段変形合体の再現を、細部に渡るまで比較してみることにした。
アオシマ 1/600 合体版イデオン VS バンダイ 1/600 スーパーミニプラ版イデオン
実はこの2つ、その基本コンセプトは同一なのだが、それを成立させるプライオリティとアプローチが、全く異なっているのだ。
一言で言えば、アオシマ版は「アニメの変形、合体のプロセスに従い、再現困難な部分を、換装や差し替えで再現する」なのに対して、バンダイ版は「3機3種の、個々の形態の再現をメインとし、個別のメカ同士の合体プロセスは、一部ギミックを除いて、完全に換装と差し替えで、メカ単位の再現に拘り尽くす」という詳細コンセプトで商品が成り立っている。
今回は、2つのイデオンの変形合体プロセスを細かく因数分解しながら、その違いを明確にしていきたいと思う。
まずAメカ。
Aメカの車両形態、ソル・アンバーは、デザイン段階では「自衛隊の戦車」がモチーフだった。
シンプルな構造なので、ここはアオシマ版もバンダイ版も、無難に立体化……といいたいところだが。
まず、車体全体のディテールや情報量はバンダイ版の方がリアルで緻密だが、大きな違いとして砲塔(イデオン時の前腕部)の細部がバンダイ版は違和感が多い。バンダイ版は出来る範囲で色分けどおりにパーツ分けしているが、袖口のスリット(イデオンソード発射口)が、設定とアオシマ版では8つあるべきなのに、バンダイ版では4辺に一つずつしか開けられていない。
また、アニメの合体変形時では謎の移動をする、袖の白いダクトパーツは、アオシマ版ではアニメ設定どおり、ソル・アンバーでは機体後部上部に乗せられているが(文章通り、本当に「乗せている」だけではあるが)、バンダイ版では袖口に固定になっている。そのため、そのパーツが干渉するので、バンダイ版は砲塔部を、ボディに密着させて折りたたむことができない。
また、キャタピラ部分はともに車体から左右に張り出しているが、アオシマ版がアニメどおりの引き出し式なのに対して、バンダイ版は差し替え式。しかもディテールはアオシマ版の方がアニメに準じている。
あと、個人的にはバンダイ版では、手首が接続されるスリット板が、別パーツで再現されているが、Aメカ時はひっくり返して、手首接続穴が見えないようにしている点は大いに評価できるアイディアなのだが、なぜかひっくり返した時も、肉抜き用のためなのか、無用な四角い穴が開いているのは野暮だと思った。
アオシマ版ではここは、手首の一枚装甲を丸ごと差し替えることで、シャッターがしっかり閉じた状態を再現しているところもポイントは高い。
アオシマ版は、この形態ではディテールも適度にパネルラインを再現していて、大きさは両者間で異なるものの、どちらが、より正しいソル・アンバーの設定画に近いかと問われるのであれば、この時点では確実にアオシマ版の方が正解に近い出来を誇っている。
さて、今度はAメカの、イデオ・デルタへの変形過程。
まずは、両方とも畳んでいた前腕を伸ばすところから始める。腕の畳み角度はアオシマ版、バンダイ版ともに180度近くは確保されていて、これがイデオン時の腕の可動範囲を兼ねることになる。
通りすがり 2020/10/13 20:26
>「腹部に当たるボディが、ソル・バニア時に左右にスライドして広がる」プロセスをオミットしている。
イデオノバ時に、ですよね。
あと、アオシマ版はオミットした、というより、この変形に気付いていなかった可能性が高いと思います。作中でもこの変形が明確に分かる描写があるかは微妙で、設定資料や、ノバの方が全長が短い事に着目しないと分からないでしょう。
超合金魂も、wikipediaに「全長が縮む」云々が記述される前の発売だったからこの変形について無考慮だったのはないかな、と。