「女性が土俵で相撲をしてきた」ことについて、女相撲の歴史と現存する祭礼をご紹介。
2018年4月10日 更新

「女性が土俵で相撲をしてきた」ことについて、女相撲の歴史と現存する祭礼をご紹介。

最近、相撲の土俵に女性が入っていいのか・否かという議論がメディアで盛んに取り上げられました。土俵は女人禁制・・・というしきたりが女性蔑視に該当するのかどうか、ここでは敢えてその議論ではなく民俗コネタ目線で、土俵に女性が上がる話とずれますが、「女性が土俵で相撲をしてきた」ことについて。

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最近、相撲の土俵に女性が入っていいのか・否かという議論がメディアで盛んに取り上げられました。
きっかけとなったのは、4月4日の大相撲春巡業での出来事。

日本経済新聞の報道を引用しますと
 4日午後2時すぎ、京都府舞鶴市の舞鶴文化公園体育館で行われた大相撲の春巡業の土俵上で、あいさつをしていた多々見良三舞鶴市長(67)が突然倒れ、市内の病院に搬送された。
 会場に居合わせた日本相撲協会関係者や現場を訪れていた地元関係者によると、多々見市長が倒れた直後に、警察官やスタッフらが土俵に上がり、心臓マッサージなどの救命処置を施していた。その中に観客とみられる複数の女性が含まれており、協会側は場内放送で「女性の方は土俵から下りてください」と数回促したという。土俵から下りた女性は医療関係者との情報もある。
 日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」と協会を通じて謝罪のコメントを出した。(2018/4/5 0:13配信)
via 日本経済新聞(2018/4/5 0:13配信)
とあります。

土俵は女人禁制・・・というしきたりが女性蔑視に該当するのかどうか、それについては今後さらなる議論が交わされることと思います。ここでは敢えてその議論ではなく民俗コネタ目線で、土俵に女性が上がる話とずれますが、「女性が土俵で相撲をしてきた」ことについて。

女性が土俵で相撲をしてきた歴史

女性が土俵に上がってはいけないという認識がある程度認知されているかもしれない一方で、女性が土俵で相撲をしてきた歴史は現在まで伝わっております。古くは『日本書記』巻14、雄略天皇13年(469年)に登場するほか、近世の「女相撲」が有名かな?と思います。その後は、明治期そして昭和期に入っても女相撲は興行として成立しておりましたが、研究論文などを拝見すると、昭和26年(1951年)以降ゆるゆる姿を消すようです。

そう!女相撲についての書物や論文もあります。例えば日本体育大学紀要22巻2号に金子英子氏による「興行としての女相撲に関する研究」が発表されております(平成5年)。良かったらぜひ★

女性の相撲は今でもあるんです

昭和に入ってゆるゆる衰退・・・と先ほど書きましたが、それはあくまで「興行」の話。民俗コネタ的には、祭礼の中に伝わる女相撲をプッシュ。今も女性の相撲はあるからです。

それは福岡県糸島市にあります。同市二丈松の松末五郎稲荷神社の「ふいご大祭・目隠し女相撲」です。相撲を取るのは女性だけ、しかも七福神の顔を書いた頭巾をかぶり(=目隠し)、手探りで相撲をする、という独特な相撲でして、動画もありましたので、ぜひ。

松末稲荷五郎神社 目かくし女相撲

神社自体の歴史が昭和7年(1932年)から、そして祭礼も戦後からということですので、比較的歴史が浅いと感じるかたもいらっしゃると思います。しかし!大事なことはソコではありません。

現地の方々が女性の相撲を楽しんでいる、ということです。
なお、このふいご大祭・目隠し女相撲、平成30年度は、平成30年12月9日(日)に開催されるそうですので、よかったらぜひ♪

大相撲とは別な、祭礼の相撲。現地に愛される女性だけの相撲もあるんだよ、ということをお伝えしたくてコラムにさせていただきました。
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