2017年7月8日 更新
中森明菜の名曲『少女A』の便乗商法!『熟女B』と『教師C』!
1982年に大ヒットした中森明菜のセカンドシングル『少女A』。この名曲にインスパイアされて誕生した、2つの“迷曲”が存在するのをご存知でしょうか?本稿では、そんな『少女A』の2匹目のどじょうを狙ったと思われる、五月みどりの「熟女B」といんぐりもんぐりの『教師C』について紹介していきます。
1982年にデビューした中森明菜
「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」のキャッチフレーズで、1982年にデビューした中森明菜。ぶりっ子キャラでいかにもアイドル然とした松田聖子とは対照的に、色気のある憂いを帯びた表情で人気を博しました。
そんな彼女のデビューシングル『スローモーション』は、運命の人と出逢った瞬間、時がコマ送りで流れていくかのような錯覚を歌い上げたミディアムバラード。同曲における明菜の声は、初々しくてとてもクリアであり、当時はまだ、処女性をウリにしようとしていたことがうかがえます。
中森明菜『スローモーション』(1982年)
ロックなセカンドシングル『少女A』が、世間に衝撃を与える
しかしその処女性は、セカンドシングル『少女A』で、突如として打ち砕かれることに。イントロで鳴り響く、ディスト―ションのかかったロックテイスト全開のギター音からして、既に、前作とは180度違います。歌詞はというと、「早熟なのは しかたないけど」「似たようなこと 誰でもしているのよ」など、ドキッとするフレーズがもりだくさん。腹が据わった表情で、前作よりもいっそう憂いを漂わせながら歌唱する明菜の姿は、「背伸びして不良ぶってる」的楽曲世界の中を生きる主人公の少女A、そのものでした。
中森明菜『少女A』(1982年)
従来のアイドル歌謡とは、明らかに毛色の異なる『少女A』は、明菜の名唱もあって、瞬く間に話題となります。オリコン週間シングルチャートは、1982年8月9日付で初登場40位だったものの、ジワジワと順位を上げていき、1982年10月18日付では、最高順位となる第5位にランクイン。最終的には40万枚の売り上げを記録しました。
五月みどりが歌った『熟女B』とは?
そんな『少女A』の人気にあやかろうと(?)、リリースされたのが、五月みどりのシングル『熟女B』です。以下に、一番の歌詞を記載したので、実際に見ていきましょう。
バナナの皮をむくように 私の服を脱がせたら♪
しばらく灯りをつけたまま 見おろしていてほしい♪
あなたの目に犯されて あたしは落ちてゆく♪
ラララ ウウウ 燃えやすいとしごろ♪
私だけがすごいんじゃないわ みんな本当はこうなのよ♪
左の乳房に貞操を 右の乳房に欲望を♪
つつんで生きている女 あたし熟女B♪
なんとも凄艶な歌詞ではありませんか。楽曲制作において出だしのフレーズとは、リスナーの気持ちを掴むかどうかを左右する、もっとも重視すべき個所の一つだといいます。で、あるならば、「バナナの皮をむくように 私の服を脱がせたら」という一節は、ただならぬ展開を予感させる、掴みバッチリの出だしといえるでしょう。
続いてBメロの歌詞。「あなたの目に犯されて あたしは落ちてゆく」にご注目ください。これは『少女A』で歌われている「上目使いに 盗んで見ている」「きっかけぐらいは こっちでつくってあげる」という歌詞とは真逆。
第二の性に目覚めたばかりで、「女」という武器を果敢に使ってアプローチする少女Aのみずみずしさとは対照的に、そんな時代もとうに過ぎ去り、男のなすがままにされていく、熟女Bの黄昏が、2曲を比べてみるとより際立ちます。
70年代から80年代にかけて、五月みどりは、日活ロマンポルノなどに出演するポルノ女優として活躍していました。実際この『熟女B』も、同名のポルノ映画における主題歌として制作されています。
サビのラスト「左の乳房に貞操を 右の乳房に欲望を」「つつんで生きている女 あたし熟女B」のパート、いや、というよりもこの曲自体が、30代後半に至ってもなお、持ち前の豊満な肢体を武器に、スクリーン狭しと痴態を演じ続けるみどり姐さんそのものを歌っているようです。
架空の人物を歌っているようで、実は歌い手自身のことを歌っているという仕掛けは、『少女A』と一緒。しかし、「A」は「明菜」とかかっているのに、「B」はいったい、五月みどりの何とかかっているのか…というのは言わぬが華ということで。
『教師C』を歌ったロックバンド『いんぐりもんぐり』とは?
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