そのせいか、作中で披露される初恋エピソードもやや過激。グレッグなる少年とのファーストキスまで描かれているのだから、ファンにとっては大きな衝撃であったに違いない。
両親の離婚によって幼くして海外へ渡り、14歳にして単身来日し、芸能界デビューという過酷な経歴を持っているが、その苦労を感じさせないのは彼女の魅力ゆえだろうか。それとも漫画のクオリティーのせいだろうか……。
それはともかく、紅白初出場の様子を描いたラストシーンは必見。珠玉の名曲「夏色のナンシー」を聞きながら、読んでいただきたい。
番外編・実録まんが 長州力
その中で、とくにお薦めしたいのが、『実録まんが 長州力』だ。アマレスエリートでありながら、藤波辰巳の影に隠れ、挫折を味わう日々……。己の運命を切り拓いた「かませ犬発言」のシーンも収録。革命戦士の魂を刻んだ一冊だ。
アイドル黄金世代が総出演! アイドルスターコミックス「歌って! ナナちゃん」
物語には、松田聖子、近藤真彦、田原俊彦、シブガキ隊ら実在のアイドルが登場し、ナナちゃんを支えてくれる。「ナナちゃんにチャンス到来→他社の妨害やアクシデントでピンチ→スターたちが助けてくれる→大成功!」という水戸黄門以上にベタな展開を楽しめる。
なお、実在するアイドルたちだけ妙にリアルに描かれており、絶妙な気持ち悪さを感じる仕上がりになっている。
総括
アイドルも人間であり、女。そこに我々が甘ったるい「願望」を抱いていただけだ。
実際、今も神格視されている存在は皆無である。芳恵ちゃんは脱いでしまったし、センチメンタル・ジャーニーの終着駅はヒロミだった。けれど、それでいいじゃないか。
少なくとも漫画の中では彼女たちは女神のままなのである。
発売日: 1985/04