雨漏りを茶碗で受けた日本最古の事例はナント仁徳天皇!?
2018年12月14日 更新

雨漏りを茶碗で受けた日本最古の事例はナント仁徳天皇!?

今回は民のための善政を行った「聖の帝(ひじりのみかど)」仁徳天皇にまつわる美しいお話です。「国民のために自分も貧乏を耐えた」・・・人間かくありたいと思わずにはおれません。

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宮内庁と大阪府・堺市は2018年10月15日、堺市にある日本最大の前方後円墳「大山古墳(だいせんこふん。「仁徳天皇陵(にんとくてんのうりょう)」とも)」の共同発掘調査を発表しました(堺市のサイトより)。

コレ自体は古墳保存のための基礎調査ということですが、実は天皇家に関わるお墓の調査に外部機関が入るのは初めてということで当時話題になったのを記憶しております。

さらに、翌11月22日には、毎日新聞に続報がでております。
大山古墳いや「仁徳天皇陵」とは何か。

全長約486m/後円部径約249m/高さ約35.8m/前方部幅約307m/高さ約33.9mの日本最大規模の前方後円墳にして世界最大級のお墓です。その周囲には約3キロの周遊路もあり、一周するには1時間ほどはかかるそうです。

私が小学生の頃は「仁徳天皇陵」と教わった気がしますが、近年では大山古墳あるいは大仙陵古墳(だいせんりょうこふん)と言うようです。というのも埋葬者が誰なのかがハッキリしていないから・・・とのこと。

とはいえ、です。『古事記』では、大雀命(オオサザキノミコト。第16代仁徳天皇のこと)は83歳で崩御したといい、毛受之耳原(もずのみみはら)に陵墓があると記しております。『日本書紀』にも仁徳天皇は87年(399年)正月に崩御し、同年10月に百舌鳥野陵(もずののみささぎ)に葬られたとあり、場所的には大山古墳に該当します。宮内庁としても仁徳天皇の陵墓として管理をしております。

このあたりを質問したメディア「HuffPostJapan」に対し、宮内庁は
元禄年間に朝廷が仁徳天皇の墓と指定しました。宮内庁もこの見解を支持しています。考古学者の間で諸説出ていることは認識していますが、墓碑銘などの100%確実な"仁徳天皇陵ではない"という証拠が出てこない限りは、指定を変える予定はありません。
と回答しております。

史上初の外部機関との調査がどのような結果になるにしろ、結果が楽しみですが、ここは民俗コネタコラム。斜め目線で仁徳天皇のコネタをご紹介します。

民のための善政を行った「聖の帝(ひじりのみかど)」仁徳天皇

『古事記』下つ巻に仁徳天皇とその奥様についての記録が記されておりまして、仁徳天皇は民のための善政を行った「聖の帝(ひじりのみかど)」と称えられております。ついでに書くと奥様は非常に、非常に、非常――に、嫉妬深い性格と記されております。

それはさておきおおよそ3~4世紀ごろの日本を治めたと推測していただけたらと思いますが、この善政の記述が今回のコラムのポイント。

3年間のあいだ税を免除!

大雑把に書きますと、即位した仁徳天皇は治水・灌漑設備を整え、耕地開拓を進めます。そんなある日、山に登って四方を眺めてみたところ、民家から炊飯の煙がでていませんでした。この風景を見て、『自分が進めた工事諸々に国民が狩り出されているせいで、国民は貧しい生活になっているんだ!』と、国民の事実に気が付きます。

そこで3年間のあいだ税を免除!今の日本で考えてみたら、この思いつきは凄いこと。3年間国費が無い・・・みたいなものです。当然、仁徳天皇は貧乏暮らしになります。

しかしその3年後、再び山から見下ろしたその景色には炊飯の煙が家々からモクモク立ち上がっていました。民の生活は豊かになっていたので。そんな仁徳天皇の徳の高さを称えて「聖の帝の世」と古事記は記しております。とても良い話ですね。そしてこの貧乏暮らしの3年間の記述に日本最古の雨漏り対応の記述があります。これが今回のコネタ。

古事記を読むと、3年間の貧乏暮らしの中、仁徳天皇が過ごされる御宮もボロボロになっております。「大殿破れ壊れ」て「雨漏れ」し始めたけど修理するお金もない情況に陥りっております。

しかし、天皇は修繕をせず「器(うつはもの)をもちてその漏る雨を受けて、漏らざる処に遷り避けましき」という行動に出ました。要は国のトップたる天皇自ら、天井からポチンポチンと滴る雨のしずくが落ちるところに器を置いて受け皿にしてやり過ごした、ということです。現代社会で言うとこの画像のようなイメージかなと。
 (2070807)

現代社会でも雨漏りがあればバケツなどで応急措置をしますが、おそらく、この行動の文献上の初出は仁徳天皇です。その理由も素敵じゃないですか。「国民のために自分も貧乏を耐えた」・・・自分も周りのためにそうありたいと思わずにはおれません。

史上初の外部調査も楽しみですが、できたら、仁徳天皇が雨漏りを器で耐えた事も忘れたくない自分です。
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