『ミノタウロスの皿』とは?
1969年に小学館『ビッグコミック』に大人向けの短編漫画として掲載され、1977年には、ゴールデンコミックス『異色短編集』の第1巻として、単行本にも収録されました。
1990年には、オリジナルビデオ作品としてアニメ化も実現しています。
OVA版『ミノタウロスの皿』の本編動画・ストーリー
SF短編 ミノタウロスの皿 1/3
SF短編 ミノタウロスの皿 2/3
SF短編 ミノタウロスの皿 3/3
その惑星では、人間はウシに似た種族に家畜として飼われており、地球でのウシと人間の関係とは真逆であることに驚きを隠せない立花。命の恩人である少女ミノアは美しいうえに気立ても良く、立花はそんな彼女に惹かれていきます。
しかし、ミノアは食用種としてウシたちに飼われており、最高級の食材に与えられるといわれる称号”ミノタウロスの皿”に選ばれ、近々行なわれる祭典で民衆に食べられる運命にあったのです。それを知った立花は一連の行事を阻止しようと奔走するのですが、当の本人であるミノアは喜んで食べられようとしており、支配者であるウシたちも立花の主張を聞き入れようとはしませんでした。
文化が異なる惑星に緊急着陸した立花や、高級食材としてウシたちに食べられようとしているミノアが迎える結末とは…!?
OVA版『ミノタウロスの皿』の魅力とは?
ミノタウロスの皿、初めて読んだ時の衝撃は忘れられない。あらゆる描写が見事だけど、中でも個人的に好きな恐怖の表現はこれ。地味だけど怖い。自分の生活の中でも時々起こる。 pic.twitter.com/crylHydpaZ
— タナカリオン (@tanakarion) January 4, 2021
当時、連載作品が次々に終了して落ち込んでいた藤子・F・不二雄のもとに、『ビッグコミック』から執筆依頼が来た。「子供向け漫画ばかり描いてきたから」と断ったが、当時の同誌編集長・小西湧之助の熱意ある説得に応じて引き受けた。こうした経緯から描かれた本作について、藤子は小西編集長が話してくれた、残酷な展開を持つ民話から着想を得たと書いている。大人向けコミック誌である『ビッグコミック』に執筆することに対し「自分の絵は子供向きでダメ」と難色を示す藤子に、小西は「かわいい絵だからかえって怖い」と執筆を薦めており、実際に仕上がった本作の原稿の感想を「背筋に寒気が走るほど興奮した」「怖かった」と語っている。この作品の好評をきっかけに、藤子は『ビッグコミック』と『S-Fマガジン』を中心に大人向け漫画を長きに渡り、多数発表するようになった。
主人公・立花の声を演じている古川登志夫さんの仕事ぶりも素晴らしいです。古川登志夫さんといえば、
ピッコロ /『ドラゴンボール』シリーズ
OVA版『ミノタウロスの皿』の立花は喧嘩っ早いところがあり、『ドラゴンボール』に登場するピッコロに似たイメージといえるでしょうか。そんな古川登志夫さんの仕事ぶりにも注目してみてくださいね。
「ミノタウロスの皿」
— 東菊花 モ子ちゃん40周年(´・ω・`) 2021秋ワンフェス参戦! (@Azuma_Kikka) November 15, 2019
1969年ビッグコミック掲載。
手塚先生と同位の「神様」にも不遇の時代はあり、ドラえもん連載開始の前年には安孫子先生とはまた違うダークな方向の執筆を強いられるところまで来ていた。
有名な本作だが、仮に次年のドラえもんが存在しなかったら…
(続く)#藤子・F・不二雄 pic.twitter.com/EfQHXX2GS2
グロテスクな描写はありませんが、私たちの常識では家畜であるウシの立場に人間を当てはめていることで、妙なリアリティーや狂気を感じさせる内容に仕上げられています。
人によっては食欲がなくなるような内容だと思いますので、食事しながらのご視聴はおすすめしません。食事の意義や意味について、私たち人間は動物の命を食べることで生きていられるのだと痛感させられることでしょう。
(※当時は藤子不二雄名義)
出版:小学館
掲載:ビッグコミック
→1969年発表