村上春樹「風の歌を聴け」 の映画版!真行寺君枝も出演!原作には引っかけがありました!
2017年1月30日 更新

村上春樹「風の歌を聴け」 の映画版!真行寺君枝も出演!原作には引っかけがありました!

村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」。映画化するにあたり、起用された大森一樹の脚本も秀逸でした。独自の描写も加えられた本作。原作ファンとしても楽しめました!原作についても触れます。

6,916 view

真行寺君枝の代表作!

主演の真行寺君枝も「私の代表作」「大変な低バジェットでしたが、あれほどに楽しかった撮影は後にも先にもこの一本に尽きます」と語っている。
本作以降、一時は無一文になる等浮き沈みの大きい人生を送っている彼女。

ミステリアスな雰囲気と透明感を併せ持った適役だった本作。
彼女にとって良い時代に恵まれたハマり役だったと言えるのではないでしょうか。
 (1620783)

2013年頃の真行寺君枝
変わらず美しい!!

作品データ

原作 村上春樹
監督 大森一樹
脚本 大森一樹
俳優 小林薫、真行寺君枝等
公開 1981年(昭和56年)
配給 ATG
時間 100分

原作に登場する小説家の真相

「僕」が敬愛する作家として描かれた

デレク・ハートフィールドとは「僕」が文章について「殆んど全部」を学んだ作家で、1909年に生まれ1938年に死んだことになっている。
本書を読む限りでは実在の人物としか思えない。

いちいち「作品名」の後ろに出版年が添えられ、「あとがき」で、すなわち村上春樹名儀で「もしデレク・ハートフィールドという作家に出会わなければ小説なんて書かなかったろう」
と書かれ彼の墓参りの様子が描写され、その最後が
「最後になってしまったが、ハートフィールドの記事に関しては前述したマックリュア氏の労作、「不妊の星々の伝説」(Thomas McClure;The Legend of the Sterile Stars:1968)から幾つか引用させていただいた。感謝する」
と締め括られてまでいるのだ。

「架空」のプロフィール

1909年、オハイオ州の小さな町に生まれ、そこで育つ。
父親は無口な電信技士、母親は星占いとクッキーを焼くのがうまい小太りな女だった。

ハイスクール卒業後は郵便局に勤めるが長続きせず小説家を志す。
1930年、5作目の小説が初めて売れて稿料を手にする。

しかし、それから8年と2ヵ月後の1938年。彼の母が死んだ時、エンパイア・ステート・ビル?の屋上から飛び降りて蛙のようにペシャンコになって死んだ。

彼の小説は、「文章は読み辛く、ストーリーは出鱈目であり、テーマは稚拙だった」と評される。

言葉に「宇宙の複雑さに比べれば、この我々の世界などミミズの脳味噌のようなものだ」
 (1620831)

原作 「風の歌を聴け」

村上春樹のインタビュー

村上
でっちあげなんですよね、あれは。つまり架空の作家。

ぼくはヴォネガット好きだし、R・E・ハワードも、ラヴクラフトも好きだし、そういう好きな作家を混ぜあわせてひとつにしたものですね。

彼の本の註文がいって、某洋書店が迷惑したっていう話があるんです(笑)。出版社でも問題になりましてね。「あとがき」に書いたでしょ。

「あとがき」で嘘書いちゃいけないって(笑)すごく問題になりまして、難しいですよね。 

原作の言い回しも独特

完壁な文章などといったものは存在しない。完壁な絶望が存在しないようにね。
 (1620857)

裏表紙の文章
「青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作」
鼠の小説には優れた点が二つある。
まずセックス・シーンの無いことと、それから一人も人が死なないことだ。

放って置いても人は死ぬし、女と寝る。そういうものだ。
※映画版では、映画を制作していた鼠ですが、原作では小説を書いています
原作ファンからも支持を受けている映画版「風の歌を聴け」。
淡々とした世界観につい引き込まれてしまいます。

真行寺君枝の可憐さが際立っていて、彼女を見るだけでも十分楽しめました!!
39 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

ボクサー赤井英和の半生を映画化「どついたるねん」 テント上映から口コミが広がり、ブルーリボン賞まで獲得しました!

ボクサー赤井英和の半生を映画化「どついたるねん」 テント上映から口コミが広がり、ブルーリボン賞まで獲得しました!

1989年公開の阪本順治の初監督作品。ボクシングの魅力に取り憑かれた男の物語。舞台の大阪・新世界もまた良い味を出しています!
ひで語録 | 5,049 view
平成初の寅さん!ウィーンが舞台 「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」もまた良かったなぁ!

平成初の寅さん!ウィーンが舞台 「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」もまた良かったなぁ!

日本映画の大人気シリーズ「男はつらいよ」。寅さんは柴又を飛び出し、オーストリア・ウィーンへ!しかもあの腹巻スタイルで!本作も古き良き日本の情緒がふんだんに描かれています。
ひで語録 | 3,689 view
安部譲二 職歴は小説家、暴力団員、日本航空社員、地下ボクサーetc. 服役経験を綴った小説がベストセラーに!意外な著名人達とも関係があった彼の特集です!

安部譲二 職歴は小説家、暴力団員、日本航空社員、地下ボクサーetc. 服役経験を綴った小説がベストセラーに!意外な著名人達とも関係があった彼の特集です!

ベストセラー作家の安部譲二。極道や日本航空社員、飲食店オーナー等、異色の経歴を持つ彼の人生を、生い立ちから作家として成功するまで追いかけます!
ひで語録 | 34,093 view
コメディ映画「スーパーの女」 正直屋と安売り大魔王のスーパー対決!主役のおばさん花子があの手この手で落ち目のスーパーを盛り上げます!

コメディ映画「スーパーの女」 正直屋と安売り大魔王のスーパー対決!主役のおばさん花子があの手この手で落ち目のスーパーを盛り上げます!

1996年公開 「スーパーの女」。伊丹十三監督らしい庶民的な題材が、面白おかしく描かれています。後年に問題となる食品偽装に関しても言及している点など先見的な作品でもありました。
ひで語録 | 15,499 view
邦画興行成績の新記録!カンヌも獲った黒澤明の「影武者」 勝新太郎の降板劇やジョージ・ルーカスも参加し製作される等話題に事欠きませんでした!

邦画興行成績の新記録!カンヌも獲った黒澤明の「影武者」 勝新太郎の降板劇やジョージ・ルーカスも参加し製作される等話題に事欠きませんでした!

1980年(昭和55年)公開。黒澤明監督の映画。戦国の武将「武田信玄」が討たれ、その「影武者」が翻弄されていく様子を描いた時代劇。当時の邦画の興行成績(配給収入)1位を記録した大ヒット作でした。
ひで語録 | 4,736 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト