村上春樹「風の歌を聴け」 の映画版!真行寺君枝も出演!原作には引っかけがありました!
2017年1月30日 更新

村上春樹「風の歌を聴け」 の映画版!真行寺君枝も出演!原作には引っかけがありました!

村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」。映画化するにあたり、起用された大森一樹の脚本も秀逸でした。独自の描写も加えられた本作。原作ファンとしても楽しめました!原作についても触れます。

7,122 view

村上春樹の小説を映画化!「風の歌を聴け」

村上春樹のデビュー小説。1979年、第22回群像新人賞を受賞し、同年刊行。応募時のタイトルは「Happy Birthday and White Christmas」。
「僕」と友人の「鼠」を主な登場人物とする、いわゆる初期三部作の第1作。
※他の2作は「1973年のピンボール」と「羊をめぐる冒険」
 (1620628)

映画のポスター
夏休みに、生まれ故郷の海辺の街に帰省した主人公の大学生と、馴染みのバーでの旧友との再会や、女の子との出会いを描く。
七十九年度『群像』新人文学賞を受賞した村上春樹の同名の小説の映画化で脚本・監督は「ヒポクラテスたち」の大森一樹、撮影は渡辺健治がそれぞれ担当。

あらすじ

冒頭、ハートフィールドの小説「火星の井戸」が字幕で紹介されます。

「僕」は、神戸行ドリーム号のチケットを買おうとしますが、すでにドリーム号はないと断られます。ある意味、後の「ノルウェイの森」と同じ切り口が使われています。そして、「僕」は、9年前の「僕」を追体験します・・・・。

当時大学生であった「僕」は東京から帰省のため、ドリーム号に乗り込みます。ぼくが先ず行ったのが、中国人のジェイ(坂田明さん)が経営する「ジェイズ・バー」でした。「鼠」と再会します。彼は、短篇映画を撮っていました。
ビールを飲んで再会を祝う二人。僕と鼠の出会いは、二人が鼠の運転する車に乗っていて横転したときだ。怪我一ツなかったツキを大切にしようと二人はコンビを組んだ。鼠の家は大金持ちで、彼は今、大学を退学している。
 (1620696)

ジェイズバーでの三人
左から僕(小林薫)とジェイ(坂田明)と鼠(巻上公一)
僕は数日後にジェイズ・バーを訪れ、飲んだくれの女に出会う。
彼女を家まで送って行き、朝を迎える。

「意識を無くした女の子と寝るような奴、最低よ」と女に言われ、「でも何もしてないよ」と僕は言い返す。しかし、信じてくれない。

仕事があるという女を車で送っていく僕。
車を降り、雑踏に消えていく女。
 (1620484)


女の子(真行寺君枝)
僕に放送局から電話が入った。DJが言うには“ビーチ・ボーイズ”の「カリフォルニア・ガールズ」を僕にプレゼントのリクエストした女の子がいると言う。

高校時代、クラスメイトにそのレコードを借りて返していないことを思い出した僕はレコード店に入った。その店にあの女がいた。女と僕は次第に打ちとけていく。

僕はかつて三人の女と寝たことがあり、その場面を思い出した。女には小指がなく、それが双子の姉と唯一の区別になっていると言う。

父を憎み、金持ちを嫌う鼠は、8ミリ映画を作っている。
 (1620736)

レコード店での様子
夏休み終盤。
ジェイが言う。
「皆帰る所があるけど鼠には、そんな場所がないんだ」

青春の終わりと夏の終わりが重なる僕。
秋になり、8mmフィルムが送られてきた。鼠からだった。
土を堀り続ける主人公の映画。

10年後のシーン。
ジェイズバーを訪れるが、そこは廃墟となっていた。

映画の世界観が分かる予告

Hear the Wind Sing 「風の歌を聴け」 (1981) Trailer 予告編 - YouTube

原作との違い

大森は「自分の映画の一要素として原作を扱った」と語っており、原作のストーリーをなぞりつつも、「小指のない女の子」の双子の姉妹や鼠の女を明示的に登場させたり、10年後の荒廃した「ジェイズ・バー」など独自のエピソードを加えている。

また原作で鼠は小説を書いていたが、映画では8ミリ映画製作に替わっている。なお、原作に忠実なシーンとしては鼠と「僕」の出会いのシーンなどが挙げられる。
ほか、『1973年のピンボール』のストーリーを意識したと思われる場面も登場する。

また、原作の時代設定は1970年の8月8日から8月26日であるが、同年にはまだ存在していない神戸行き高速バスが登場するなど、原作より数年後に時代が置換されていると考えられている。

ヒロインは真行寺君枝でした!

(しんぎょうじ きみえ、1959年9月24日 - )は、日本の女優。本名同じ。
生島企画室所属。東京都大田区出身。血液型AB型。東京都立大崎高等学校卒業。

ミュージシャンの大口広司は元夫。長男、大口弦人も同じくミュージシャン。

1976年に資生堂秋のキャンペーン「ゆれる、まなざし」で本格デビュー。
 (1620764)

キャッチコピーも印象的
39 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

ボクサー赤井英和の半生を映画化「どついたるねん」 テント上映から口コミが広がり、ブルーリボン賞まで獲得しました!

ボクサー赤井英和の半生を映画化「どついたるねん」 テント上映から口コミが広がり、ブルーリボン賞まで獲得しました!

1989年公開の阪本順治の初監督作品。ボクシングの魅力に取り憑かれた男の物語。舞台の大阪・新世界もまた良い味を出しています!
ひで語録 | 5,181 view
平成初の寅さん!ウィーンが舞台 「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」もまた良かったなぁ!

平成初の寅さん!ウィーンが舞台 「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」もまた良かったなぁ!

日本映画の大人気シリーズ「男はつらいよ」。寅さんは柴又を飛び出し、オーストリア・ウィーンへ!しかもあの腹巻スタイルで!本作も古き良き日本の情緒がふんだんに描かれています。
ひで語録 | 3,789 view
安部譲二 職歴は小説家、暴力団員、日本航空社員、地下ボクサーetc. 服役経験を綴った小説がベストセラーに!意外な著名人達とも関係があった彼の特集です!

安部譲二 職歴は小説家、暴力団員、日本航空社員、地下ボクサーetc. 服役経験を綴った小説がベストセラーに!意外な著名人達とも関係があった彼の特集です!

ベストセラー作家の安部譲二。極道や日本航空社員、飲食店オーナー等、異色の経歴を持つ彼の人生を、生い立ちから作家として成功するまで追いかけます!
ひで語録 | 34,435 view
コメディ映画「スーパーの女」 正直屋と安売り大魔王のスーパー対決!主役のおばさん花子があの手この手で落ち目のスーパーを盛り上げます!

コメディ映画「スーパーの女」 正直屋と安売り大魔王のスーパー対決!主役のおばさん花子があの手この手で落ち目のスーパーを盛り上げます!

1996年公開 「スーパーの女」。伊丹十三監督らしい庶民的な題材が、面白おかしく描かれています。後年に問題となる食品偽装に関しても言及している点など先見的な作品でもありました。
ひで語録 | 15,753 view
邦画興行成績の新記録!カンヌも獲った黒澤明の「影武者」 勝新太郎の降板劇やジョージ・ルーカスも参加し製作される等話題に事欠きませんでした!

邦画興行成績の新記録!カンヌも獲った黒澤明の「影武者」 勝新太郎の降板劇やジョージ・ルーカスも参加し製作される等話題に事欠きませんでした!

1980年(昭和55年)公開。黒澤明監督の映画。戦国の武将「武田信玄」が討たれ、その「影武者」が翻弄されていく様子を描いた時代劇。当時の邦画の興行成績(配給収入)1位を記録した大ヒット作でした。
ひで語録 | 4,842 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト