革命的なデザインだった初代日産・レパード
2017年5月12日 更新

革命的なデザインだった初代日産・レパード

日産・レパードというと「あぶない刑事」で活躍した2代目が有名ですが、初代もスタイリッシュなデザインで忘れることのできないクルマでした。今回は、1980年に衝撃的なデビューを飾った初代レパードを振り返ってみます。

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ブルーバード店の上級車種として登場

初代日産・レパードは、1980年10月に日産店(ブルーバード店)向けの上級車種として発売されました。レパードの位置付けとしては、ブルーバードにも610型以降、直列6気筒2000ccエンジン搭載車が用意され、モーター店(ローレル店)のローレル、プリンス店のスカイラインと並ぶミドルクラスの客層に対応していました。

しかし、1979年発売の910型は4気筒エンジンのみとされ、6気筒はラインナップから外されてしました(海外向けは6気筒エンジン搭載車も用意)。そして、このミドルクラスを担うべく開発されたのが、初代レパードでした。

なお、レパードはチェリー店向けの仕様も用意され、レパードTR-X(トライエックス)のサブネームが付けられました。
角形ヘッドライトが4灯並ぶ、レパードTR-X。

角形ヘッドライトが4灯並ぶ、レパードTR-X。

日産・ローレル

日産・ローレル

レパードが発売された1980年10月に販売されていた日産ローレル。レパード発売の翌11月にフルモデルチェンジするのだが、この角張ったデザインが新車だったことを考えれば、レパードのインパクトがどれほどか分かるだろう。

時代をリードするデザインと先進装備

初代レパードの最大の特徴は、大きく傾斜したヘッドライトやフロントガラス、広大なグラスエリアからなる、先進的なデザインにあります。リアウインドーの付け根が車体側面と揃っていないのは現在では普通のデザイン処理ですが、レパードは先駆けといえました。

エンジン冷却技術の革新により、各社のデザインが大きく変革してきた時期ではありますが、そのなかにあってフロントグリルやリア・ガーニッシュに透明樹脂を多用した洗練された外観は、まさに「近未来」を感じさせるデザインでした。

装備面でも、4つの機能を一つに集約したマルチ電子メーター、光通信ステアリングスイッチ、ドライブコンピュータ、オートレベライザー(車高自動調整)、ワイパー付きフェンダーミラー、日本初のオートボリュームコントロールオーディオ、チルト&テレスコピックステアリング、オートエアコンなど、世界初や日本初と謳われるエレクトロニクス装備を多数搭載していました。価格も同クラスのローレルよりもやや高めでした。

非常に先進的なルックスと装備を満載したレパードは、日本のみならず、海外の自動車界からも高く評価されました。初めてレパードを見たとき、「このクルマはなんだ!?」と思った人も多いことでしょう。
日産ヘリテージコレクションで保存されている初代レパード...

日産ヘリテージコレクションで保存されている初代レパード(後期型)。

特にグラスエリアのデザインは、試作車がそのまま出てきたようなインパクトがあった。
via 篠田恵三

F30レパードTR-X CM

チェリー店扱いのレパードTR-XのテレビCM。ヘッドライトとグリル形状の違いに注目。

外観ほどではなかったメカニズム

先進的なデザインの一方で、メカニズム面は非常に地味な成り立ちでした。日産店メインのクルマですが、開発は旧・プリンス系の荻窪で進められました。開発主管は、歴代スカイラインの開発主任として有名な櫻井眞一郎氏です。

技術的なベースは910型ブルーバード、エンジンは既存の直列6気筒2800ccのL28E型(145PS/23.0kg・m)、同2000ccのL20E型(125PS/17.0kg・m)、そして直列4気筒1800ccのZ18型(105PS/15.0kg・m)の3種類を搭載。変速機は5速MTと3速ATで、1800cc搭載車には4速MTもあった。いずれも日産の定番エンジンを搭載し、「パワーエリート」のコピーで華々しくデビューしたものの、翌1981年2月に発売されたトヨタ・ソアラが2800ccDOHC(170PS/24.0kg・m)や2000ccSOHCターボ(160PS/23.5kg・m)を搭載して出てくると、レパードのエンジンにエリート感はなくなってしまいました。
期せずしてレパードのライバルとなったトヨタ・ソアラ。

期せずしてレパードのライバルとなったトヨタ・ソアラ。

デザインの先進性ではレパードが上だが、エンジンはソアラが一枚上手だった。
via 篠田恵三

マイナーチェンジでターボ車を追加

1982年9月、レパードはマイナーチェンジを実施しました。直列6気筒2000ccSOHCターボ(145PS/21.0kg・m)を搭載。オートマチックもOD付き4速として、性能の向上を図る一方で、2800ccは廃止されました。また、デザインも手直しされ、フロントグリルやリアガーニッシュに透明樹脂を用いて、より洗練されたデザインになりました。

1984年6月には、フェアレディZに搭載している日産最新の高性能エンジン、V型6気筒3000ccのVG30ET型(230PS/34.0kg・m)を搭載。CMコピーも「鋭く挑む、華麗なる豹」に変わりました。性能面ではソアラを大きく上まわりましたが、遅きに失した感はありました。
透明樹脂を用いたフロントグリルで、より21世紀的なデザ...

透明樹脂を用いたフロントグリルで、より21世紀的なデザインとなった後期型。

日産ヘリテージコレクションに保存されている。
via 篠田恵三

1984 NISSAN LEOPARD Ad

初代レパードに追加されたV型6気筒3000ccターボをPRするテレビCM。出演は引き続き加山雄三。

フルモデルチェンジで2ドアクーペ1本に

クーペボディのみとなった2代目レパード。

クーペボディのみとなった2代目レパード。

【画像提供:カーセンサーnet】
1986年1月にトヨタ・ソアラがフルモデルチェンジし、レパードも同年2月に2代目にモデルチェンジしました。2代目では2ドアクーペのみとされ、まさにソアラのライバルとして位置付けられました。

2代目も販売的にはイマイチでしたが、テレビドラマ「あぶない刑事」での活躍は皆さんの知るところです。
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  • レオパード 2020/1/17 11:31

    改めて見てみると初代もなかなかかっこいい

    I.O 2019/11/18 09:30

    初代F30型レパードは、エレクトロニクス満載装備で話題となりましたが、約半年後に登場するソアラに水を開けられました。ソアラに対抗するため、3リッターV6ターボ(VG30ET型)を加えましたが、販売面に効果はありませんでした。
    86年に約5年半ぶりに2代目F31型へと一新し、こちらはあぶない刑事の港署の覆面パトカーとして話題となりましたが、やはりソアラには勝てませんでした。しかし令和になった今では、ソアラよりもF31型レパードの方が人気で、あぶない刑事効果なのは言うまでもありません。

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