2017年9月27日 更新
セドリックよりも高級だったミドルセダン、C33型ローレル
最近はすっかりドリフト車のイメージが付いてしまった日産ローレル。しかし、我々ミドルエッジ世代にとって、ローレルは高級車でした。特にバブル時代に発売されたC33型は、セドリックよりも上質なクルマとして記憶に残ります。
セドリックとブルーバードの中間車種として登場
日産ローレルは、小型車ブルーバードと大型車セドリックの中間のクルマとして、1968年に発売されました。開発中にプリンス自動車と合併したこともあり、ハコスカことC10型スカイラインのメカニズムが転用されました。
初代は直列4気筒の1800ccおよび2000ccでしたが、2代目以降は直列6気筒の2000ccのほか、2600cc・2800ccといった3ナンバー車もラインナップされました。そのため、同じ排気量のセドリックは運転手付きや法人登録向けのクルマ、ローレルはオーナー自らが運転するハイオーナーカーと位置づけられてきました。
![スカイラインの開発主管、櫻井眞一郎氏が開発主管を兼務し...](https://cdn.clipkit.co/tenants/1415/item_images/images/001/923/530/medium/0b387226-6860-4e36-a7d9-05a4d810efcc.jpg?1506413135)
スカイラインの開発主管、櫻井眞一郎氏が開発主管を兼務した4代目ローレル。
日産では、ミドルセダンの中核車種でしたが、私の中ではトヨタのマークⅡなどと比べて、何となくパッとしないイメージがあります。実際、4代目はシンプルすぎて、5代目は四角すぎて、どちらも販売に苦戦していました。
ちなみに、ローレルとスカイラインは、エンジンやトランスミッションなど、多くのパーツを共用する兄弟車です。4代目ローレルは、スカイラインの開発主管として有名な櫻井眞一郎氏が兼務していました。
![「定規を使ってデザインされた」と揶揄されていた時代の5...](https://cdn.clipkit.co/tenants/1415/item_images/images/001/923/531/medium/a3116162-6650-4417-89de-ef63b74dae35.jpg?1506413246)
「定規を使ってデザインされた」と揶揄されていた時代の5代目ローレル。
901運動の成果が反映された高級セダン
1980年代後半の日産は、デザインや走行性能の大革新に取り組みました。特に、90年代までに技術の世界一を目指した「901運動」は、スカイラインGT-Rの復活の背景として多くの人に知られていますが、高級セダンのローレルもその恩恵を受けました。
1989年1月、ローレルはフルモデルチェンジして5代目のC33型に進化。CMには歌舞伎俳優の坂東玉三郎氏が起用されました。
先代までは4ドアハードトップと4ドアセダンをラインナップしていましたが、C33型では初めて4ドアハードトップのみとなりました。もちろん、日産伝統のピラーレスタイプ(前後のドア間に柱がない)です。
バリエーションの豊富さは、当時の国産車の特徴といえましょう。エンジンは直列6気筒2000ccをメインに、DOHCターボ(RB20DET型/205PS)、DOHC(RB20DE型/155PS)、SOHC(RB20E型/125PS)を用意。さらに直列4気筒1800cc(CA18i型/91PS)と直列6気筒2800ccディーゼル(RD28型/94PS)がラインナップされました。トランスミッションは4段ATと5段MTですが、DOHCターボは4段ATのみでした。
また、サスペンションには先に発売された兄弟車セフィーロと共通の、前輪ストラット式・後輪マルチリンク式が採用され、RB20DET型とRB20DE型搭載車では、4輪操舵機構のHICAS-Ⅱも選択できました。
シーマより上質だったインテリア
5代目ローレルの特筆すべき点はデザインにあります。開発主管をデザイナーの佐渡山安彦氏が務めたこともあり、内外装ともに高級セダンと呼ぶにふさわしい、上品なデザインになりました。
外観は4代目の四角いデザインから打って変わり、適度に丸味のある上質感あるデザインとなりました。イメージカラーはダークグリーンメタリックが採用され、それまでの「高級車=白」というイメージを覆しました。
![ダッシュボードには本木目パネルとシートと同じトリムが貼...](https://cdn.clipkit.co/tenants/1415/item_images/images/001/923/551/medium/a2979272-615e-4b40-b972-bf88299589ce.jpg?1506413838)
ダッシュボードには本木目パネルとシートと同じトリムが貼られ、さらにシックなデザインのアナログ時計があしらわれ、クラシカルで上品な仕上がりだ。このような素材の使い方は、国産車では異例だった。
内装も上品でした。ダッシュボードのメーターパネル下には本木目クラスターが配され、さらにインストパッドにはシートと同じトリムが貼られました。セドリックやシーマですら木目調パネルだけですから、ダッシュボードの豪華さは日産随一でした。
また、上級グレード「メダリスト」の助手席には、レパードで採用されていた中折れ機構「パートナーコンフォタブルシート」を採用。シート生地には、最上級グレードのクラブ・Lには本革を、スポーティグレードのクラブ・Sには人工皮革のエクセーヌを採用しました。こういったセンスのよさも、C33型ローレルが名車といわれる由縁です。
![前期型の最上級グレードのクラブ・Lにはアイボリーの本革...](https://cdn.clipkit.co/tenants/1415/item_images/images/001/923/553/medium/bec1481c-317e-4469-971e-476d81452d99.jpg?1506413917)
前期型の最上級グレードのクラブ・Lにはアイボリーの本革シートを装備。「メダリスト」では、助手席に中折れ機構が採用された。
キャビンは決して広くはありませんが、マークⅡをはじめ当時のこのクラスとしては標準的なものでした。ダークグリーンや、やや黄味がかったホワイトパールといった上質感ある塗装が用意され、5代目ローレルは他のミドルセダンとは一線を画したクルマとなりました。
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