1941年8月1日に国の天然記念物となったシャモ(軍鶏)とチャボ(矮鶏)について。
2018年12月25日 更新

1941年8月1日に国の天然記念物となったシャモ(軍鶏)とチャボ(矮鶏)について。

冬になると鍋を食べる機会が増える気がいたしますが、江戸時代から今日に伝わる鍋のひとつに「軍鶏鍋」があります。軍鶏(シャモ)の肉を使った鍋のことです。1941(昭和16)年8月1日に「日本に特有な畜養動物」として国の天然記念物に指定された軍鶏(シャモ)と同年同日に同じく天然記念物に指定された鶏がいます。矮鶏(チャボ)です。

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冬になると、鍋を食べる機会が増える気がいたします。色々の鍋がありますが、江戸時代から今日に伝わる鍋のひとつに「軍鶏鍋」があります。軍鶏(シャモ)の肉を使った鍋のことです。

軍鶏(シャモ)

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軍鶏(シャモ)はその名前から推測するにタイ王国(シャム)およびその周辺の諸国から来たと思われる鶏で、正確な時期は不明ですが江戸時代初期にタイから輸入された闘鶏用のニワトリが元となり成立したと言われています。そして闘鶏のために盛んに品種改良が為され、弱い軍鶏は軍鶏鍋にして食べていたらしいです。

ニワトリ自体は古墳の埴輪に登場することから、古代日本にすでに存在していたと思われますが、シャモが定着したのは江戸時代になってからです。

シャモは他の地鶏に比べて大型であるため肉の量が多く、鶏肉と言えばシャモ、という認識が定着して行きます。そしてこの軍鶏鍋から生まれたのが「親子丼」。

これは日本橋人形町の軍鶏料理屋「玉ひで」(東京都中央区日本橋人形町1-17-10)で1891年(明治24年)頃に考案されたものです。この辺については玉ひでさんのホームページをぜひご覧くださいませ♪
さておき、そんなシャモですが、日本に伝わって以来日本国内で独自の改良育種を施され独自変化を遂げたこともあり1941(昭和16)年8月1日に「日本に特有な畜養動物」として国の天然記念物に指定されております。

そして同年同日に同じく天然記念物に指定された鶏がいます。矮鶏(チャボ)です。

矮鶏(チャボ)

いわゆる普通の白いニワトリの3分の1ほどの大きさで、オスで730g、メスで610g程度。小さくて可愛らしい鶏です。こちらも江戸時代に日本に持ち込まれ、名前から考えるに、おそらくチャンバ王国(今のベトナムのあたりにあった国。17世紀まで存続)から渡来したと思われます。

あるいはその小型な体格から矮小を意味するチャボル chabolと呼ばれ日本語ではチャボと呼ばれるようになったという説もあります。まあ、とにかく、その可愛らしさから愛好家たちにより品種改良され現在にいたるのですが、特に幕末以降には外国へ輸出されておりまして、ジャパニーズバンタムなどと呼ばれました。海外ではチャボというよりジャパニーズバンタムです。

チャボの走り方がカワイイ

この「ジャパニーズバンタム」という呼び方。そも「バンタム」とはインドネシア、ジャワ島のバンテン(旧称バンタム)地方原産の鶏をさす言葉です。

こちらの由来は現在のインドネシアのバンテン州にあったバンテン王国からだそうですが、ともかくこれもチャボと似ております。そしてチャボに限らずバンタムと呼ばれる品種の中で特に「真のバンタム」(true bantam)と呼ばれる品種があるのですが、それらは小柄な品種が多く、現在のボクシングや格闘技などでの体重別階級における軽い選手の属する階級であるバンタム級の由来にもなっております。 そう、バンタムとはチャボのことなのです。

財団法人日本ボクシングコミッション(東京都文京区後楽1-3-61)のサイトによると男女ともバンタム級は52.16キロ~53.52キロだそうです。総務省「国民健康・栄養(2016)」によると例えば24歳男性の平均体重が69.9キロということですから、軽いですね。

1941(昭和16)年8月1日に国の天然記念物となったシャモとチャボ。前者は親子丼を生み、後者は格闘の世界にも名前を残す存在に…そんな目線で天然記念物を捉えてみるのも楽しい気がします。

それでは皆様、よい年越しを。
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