こうしてマスコミの報道により一気に社会問題と化した試験問題の漏洩。ここで改めて記者が元教師を問い詰めると、ついに折れ「大学の人間から問題を受け取った」と暴露したのです。その結果、元教師に問題を渡した早稲田大学の50代の職員が、共犯2名とともに警察に出頭。警視庁は窃盗の疑いで3人の取り調べを開始することとなりました。
大学職員が「不正入学請負グループ」を形成していた!!
そしてこの警察の本格的な捜査により、事件の全貌が明らかとなっていきます。この元教師に問題を渡した大学職員は、他の職員と共謀して「不正入学請負グループ」を作っており、長年にわたり裏口入学のあっせんを行っていました。その手口は大胆で、入試が終了し金庫に保管されている答案用紙の中から、裏口を希望する受験生が入試で提出した答案用紙を合格ラインを超えている答案用紙とすり替えるという手口で合格させるというもの。この手口により、10年近くにわたり裏口入学のあっせんを繰り返していました。
しかし1979年になって、答案のすり替えをしていた職員が人事異動によりすり替えが不可能となったため、1980年の入試については「試験問題を盗む」という方針に転換。印刷所の監視役の職員を500万円で買収し、彼に問題を盗ませることで試験問題の入手に成功しました。そこまでは上手くいったものの、ここでトラブルが発生しました。模範解答の作成を依頼する予定だった東京大学の学生が多忙のため作成が困難となり、その代わりとして早稲田大学の学生が模範解答の作成をすることになったのです。そしてたまたまその早大生が試験監督をやったため、今回の漏洩が発覚することとなりました。
過去にさかのぼって大量の学生・卒業生が処分される!!
こうして不正入試・裏口入学の闇が明らかとなり、1980年の入試の合格者のうち試験問題を不正に入手したことが確認された9人が合格取り消しとなり、不正にかかわった大学職員に加え、元教師、印刷所職員も逮捕、実刑判決が下ることとなりました。しかし話はここで終わりませんでした。それは、過去に不正入学した者たちへの処分です。
早稲田大学は今回の裏口入学について、過去にさかのぼって徹底的に調査しました。その結果、42人の卒業生、13人の在校生が不正入学請負グループにより裏口入学をしていたことが発覚。計55人の入学と学籍を取り消したのです。そして今回の事件の責任を取る形で商学部長も引責辞任となりました。
非常に厳しい処分が下されることとなった、1980年の「早稲田大学入試問題漏洩事件」。しかしながらこの厳しい対応により、早稲田大学はそのブランドイメージの向上に成功しました。そして80年代後半からの大学受験バブル期から現在に至るまで、最難関校の一角として君臨することとなったのです。
非常に厳しい処分が下されることとなった、1980年の「早稲田大学入試問題漏洩事件」。しかしながらこの厳しい対応により、早稲田大学はそのブランドイメージの向上に成功しました。そして80年代後半からの大学受験バブル期から現在に至るまで、最難関校の一角として君臨することとなったのです。
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