ブラック・ジャック:植物人間
船舶事故が起こり、行き違いでブラック・ジャックの治療が遅れた女性が、植物人間となってしまう。
ブラック・ジャックは、彼女の脳が本当に死んでいるのか確かめるべきだとして、これは拷問に等しいという医者の非難を説き伏せて、その息子の脳髄と彼女の脳髄とを電極で接続し、電気ショックを与える。
そのとき息子は、確かに母親の姿を見、言葉を交わしたのだった。今の医療技術では治せない植物人間となった母親を、いつの日か治すために、少年は、医者になることを誓う。
これは少年チャンピオンコミックスの「ブラック・ジャック 4」に収録されていたのだが、のちに別のエピソードに差し替えられた。脳手術が問題になったのではないかと、推測される。この手術は、今では人道的に問題があるとされているらしい。
作品としては、それなりにすっきりとまとまった、超医療技術パターンである。
ブラック・ジャックは、少年の不意を突いて麻酔で眠らせると、コンピュータによる妨害が入らないうちにと、超特急で頭部を切開し、スチモシーバーを摘出する。
このエピソードが単行本に収録されないのは、恐らく、その非人道的な脳手術と、殺人狂と化した精神病患者の、迫真の描写故であろう。
笑顔で(“心の底から笑いながら”)襲いかかってくる狂人の恐ろしさたるや、相当なものである。フィクションとして、エンタテインメントとして、見事な成果をあげているのだ。
しかし、現実の(時には笑顔のままの)精神病患者の存在を考えると、「笑顔の狂人→危険」という図式に解釈されなくはないこのエピソードは、微妙な立場に置かれることになる。作者にはそのような意図は毛頭なく、純粋にフィクション作家として“良い効果”をあげただけなのであるが。
そしてこの事件をもたらしたのが、コンピューターによる制御の失敗である、という構造。ナイフを持って走りまわるサブ少年は、実は狂人ですらないのである。
この、実に“やばくて危険で魅力的な”エピソードを閉じる、ブラック・ジャックの処方箋は、恐らくこれ以下は考えられないほど、凡庸なものである。なんという落差。
(「快楽の座」とは、そこに電極を差し込んで多幸感を与えることの出来る、快楽中枢のことである。)
『赤塚不二夫のキャスター』(1980年) 凄まじい人肉料理が出るなどカニバリズムを作中えげつなく描写したことが問題視された。
『ポップコーン』(光文社)にて創刊号(1980年4月号)から休刊号(1981年2月号)まで連載される。
創刊第2号(1980年6月号)の『キャスター レポートその2』で『人肉サシ』『ヘソの緒ヌードル』『脳ミソどんぶり』『胎児ピザ』『赤子の丸焼き』『心臓の踊り喰い』『人肉料理ビクトリア王朝風人間デコレーションスペシャルデラックス! VSOP!』という凄まじい人肉料理が出るなどカニバリズムを作中えげつなく描写したことが問題視され、雑誌回収騒動に到った赤塚不二夫最大の問題作である。
赤塚自身、騒動覚悟の上での発表らしく「オレが全面的に責任を持つから」との申し入れも原稿入稿時にあったという。赤塚はインタビューに対して「今や言葉や表現にタブーがあるから漫画がつまらないのだ」という趣旨の発言をしている。
このような経緯からか2016年現在も、全エピソードが単行本未収録となっている。
『ポップコーン』(光文社)創刊第2号(1980年6月号)の『キャスター レポートその2』
『悪魔のKISS』(1993年)
放映当時、主役の一人に抜擢された常盤貴子はまだ無名の存在だった。常盤演じる茉莉子がアルバイトをするファッションヘルスに寺脇康文演じる加藤が最初の客として現れるシーンで、ヌードシーンも辞さない体当たりの演技が話題となり、常盤が新進女優としてクローズアップされるきっかけとなった。
このシーンの存在は、後に常盤の人気が上昇してからも語り草となる。寺脇は後にトーク番組にて「下着姿で来るとは聞いていたが、まさかノーブラだとは思わなかった。
なるべく手で隠すようにしてカメラに映らないよう配慮した」と語っている。版権を買い取られる前の最初の再放送ではこのシーンはカットされなかったが、2回目はカットされた。
他のフジテレビ系テレビドラマの多くはDVD化されているが、前述の常盤のヌードシーン以外にも過激な描写が多いことも影響してか、本作に関しては見送られている。
事務所としては所属タレントのパブリックイメージを守らなければなりません。売れっ子となった常盤の胸を世に流出させまい……。そんな意図が働いたのでしょう。
スターダストプロモーションはこのドラマの版権を全て買い取ってしまいます。結果、『悪魔のKISS』は再放送はおろか、ビデオ・DVD化もされない幻の作品となってしまったのです。
ドラマ版「金田一少年の事件簿」の第1話「異人館村殺人事件」(1995年・日本テレビ) ドラマ版はDVD未収録の欠番作品となってしまった。
ドラマ版「金田一少年の事件簿」の第1話「異人館村殺人事件」(1995年・日本テレビ) ドラマ版はDVD未収録の欠番作品となってしまった。
演 - 堂本剛(KinKi Kids)
不動高校2年生。ミステリー研究会所属。
本作では転校生として登場し、12年ぶりに美雪と再会を果たしている。勉強が苦手、スケベや大食いなど原作に準じた設定になっている一方、コーヒーが飲めないというオリジナルの設定を持つ。ただし、「墓場島殺人事件」では普通にコーヒーを飲んでいる。
七瀬 美雪
演 - ともさかりえ
不動高校2年生。ミステリー研究会所属。
凛とした大人の性格を持ち、かつ文武両道の美少女として全校生徒の憧れの的であり、本人も学校では淑やかに振る舞っている。しかし、本来はお祭り好きの姉御肌タイプで、本性を知られている一とははめを外して遊ぶことが多い。
連続ドラマ第1話「異人館村殺人事件」は、島田荘司の小説『占星術殺人事件』からのトリックの流用が指摘され、後にトリックの使用許可を得るも勝手にドラマ化したことにより欠番扱いになっている。
その後に発売、レンタルされたVHS(ディレクターズカット)は途中から、DVDは当初から収録されていない。
現在では、DVDで『金田一少年の事件簿 学園七不思議殺人事件』の映像特典(「ひとりじゃない」フルコーラス)中に第1シリーズのハイライトとして、他の話と共に「異人館村殺人事件」の映像の一部が使用されているのみで、全話を視聴するには、放送時の録画テープ、もしくは初期に発売、レンタルされたVHS(ディレクターズカット)でなければならない状況である。