知人の鳥屋のおやじは、インコなどの人気のある外来種を嫌い、飼育の難しい和鳥のみを扱っている。丹精こめて育てたメジロだが、今は昔と違い誰も見向きもされない。助川と同じく女房にも罵倒されながら、和鳥の愛好家が店に集まってきていた過去の栄光が忘れられない。そのおやじから助川は、昔店に鳥を売りに来ていた「鳥師」の話を聞く。
構想は作品が描かれる7~8年前には既にあったそうで、そのきっかけとなったのが、登場人物と同じような奇妙な男をつげ義春自身が目撃したことだそうです。
ゴミ箱の上で弁当を食べている出会いの場面から、まるで鳥が飛び立つように水門の上から飛び降りる最後の場面まで一言も発することもなく、また鳥師の顔が描かれることもありません。
そして、鳥師が何を考え、何が目的なのかなどの説明は一切ありません。何も分からない。なのに深い感動を覚えるのがこの「鳥師」という作品です。これはつげ義春らしい作品といえるのでしょう。
ゴミ箱の上で弁当を食べている出会いの場面から、まるで鳥が飛び立つように水門の上から飛び降りる最後の場面まで一言も発することもなく、また鳥師の顔が描かれることもありません。
そして、鳥師が何を考え、何が目的なのかなどの説明は一切ありません。何も分からない。なのに深い感動を覚えるのがこの「鳥師」という作品です。これはつげ義春らしい作品といえるのでしょう。
探石行
4作目にしてようやく妻の顔が描かれます。当初はそんなに長く連作を続けるつもりがなかったため面倒くさいということで描くつもりがなかったのだそうです。その妻がここで「無能の人」という言葉を発するのです。
あらすじ
あらすじ
古本業者の山井に、思いがけなく助川の原画を欲しいと言う客があり、3万円の臨時収入が入る。助川は採石を兼ねて、家族旅行に出かける。
via ord.yahoo.co.jp
貧しいながらも採石を兼ねて家族旅行を決行する助川一家。その旅費は貸本時代の処女作「赤面夜叉」との原画の交換によるものだったのですが、つげ義春の実際の作品は「白面夜叉」で1955年5月に単行本として若木書房から出ています。
カメラを売る
これは助川が石を売り始める前の物語です。そうです。助川は石を売る前に中古の壊れたカメラを修理して売っていたのです。しかもピンチ商会という屋号までつけて!
あらすじ
あらすじ
かつて、漫画に限界を感じた助川が、偶然立ち寄った骨董屋で見つけた壊れたカメラを修理したところ思わぬ高値で売る事ができた。これに味を占めた助川はたまに来る漫画の依頼もそっちのけで妻の不安をよそに中古カメラの販売を始める。
つげ義春は1981年に古物商の免許を取得し「ピント商会」を設立しています。そして実際に「カメラを売る」と同様に中古カメラを安く仕入れて自分で修理し転売していたといいます。
しかし、翌1982年にはカメラが入手できなくなったことでこの商売は断念してしまいました。
しかし、翌1982年にはカメラが入手できなくなったことでこの商売は断念してしまいました。
蒸発
最終話です。漂泊の俳人と言われる井月の半生が描かれています。それまで毎回登場していた奥さんも息子も登場しません。最終話だからと言って特別盛り上がるわけでもなく、淡々と描かれる井月の半生。なんとも不思議な余韻を残す作品によって「無能の人」は締めくくられます。
いつも寝てばかりで無気力の古本屋「山井書店」(病をもじったものとの説あり)の山井から、彼の故郷の誇りだと言う井上井月(いのうえせいげつ)と言う隠れた俳人の全集を借りる。読み進んでいるうち、「乞食井月」と言われた俳人の一生と自分や山井の人生を重ねて行く。一般にあまり知られていなかった井月の半生や俳句を、詳しく紹介することになった漫画である。
via www.mc-books.org
あらすじ
「蒸発」という仰々しいタイトルは、いずれ続編を描くためのものだそうです。続編では蒸発論の核となる部分を描くという構想のようですが、いまだに実現できていません。
1987年以降漫画は一切描いていないので、今後新作が発表される可能性は低いと思いますが、つげ作品を是非とも読んでみたいものです。
1987年以降漫画は一切描いていないので、今後新作が発表される可能性は低いと思いますが、つげ作品を是非とも読んでみたいものです。