珍プレー・好プレー誕生のきっかけ!「宇野ヘディング事件」
2017年12月15日 更新

珍プレー・好プレー誕生のきっかけ!「宇野ヘディング事件」

30年以上続く名物番組『プロ野球 珍プレー好プレー』。同番組といえば、みのもんたのナレーションでお馴染みですが、この小気味よいアテレコは『宇野ヘディング事件』によって誕生しました。今回はそんな歴史に名高い、球界屈指の名場面について振り返っていきたいと思います。

2,513 view

「珍プレー好プレー」といえば、やっぱりみのもんたのナレーション!

11月26日(日)に放送された「ニチファミ!・中居正広のプロ野球 珍プレー好プレー大賞2017」(フジテレビ系・21時)が、平均視聴率11.0%をマークしたことが分かりました。中居クンが司会をつとめる体制になってから早7年。いまではこの元SMAPリーダーが番組の象徴のように君臨していますが、かつて、「珍プレー好プレー」のシンボルといえばみのもんた一択でした。
中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞

中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞

彼が繰り出す珍プレーのナレーションは名人芸の域。台本なしのアドリブで映像にアテレコしていくというそのしゃべりの軽妙さ・テンポの良さは、そんじょそこらの素人が上げている「実況動画」などとは天と地ほどの差があります。過去には行き過ぎたナレーションをしてしまい、批判されることもありましたが、それでも、みのの声があってこそ、「珍プレー好プレー」と考える往年の視聴者は多いに違いありません。
みのもんた

みのもんた

「宇野ヘディング事件」へのアテレコが、「珍プレー好プレー」を生んだ

そんなみのもんたのナレーション、もとい、『プロ野球珍プレー・好プレー』が誕生したきっかけとなったのが、「宇野ヘディング事件」でした。『プロ野球ニュース』(フジテレビ系)のキャスターだったみのは、ある時、この事件の一部始終を収めたVTRにふざけてアテレコしていたところ、当時の担当ディレクターが「いいね!それ!」と気に入り、ほどなくして番組化したという経緯を持ちます。つまり、みののナレーション、もとい、「宇野ヘディング事件」なくして、こんにちに至るまで30年以上続く「珍プレー好プレー」という人気コンテンツは存在しえなかったのです。

「月曜ドラマランド・野球狂の詩」内のプロ野球ニュース 1985年

そもそも、宇野ヘディング事件とは?

宇野ヘディング事件…。単なる野球選手のエラーがこれほどまでに仰々しいネーミングで呼ばれているのには、そのたった一瞬の出来事が、あまりにも衝撃的だったからに他なりません。
時は、1981年(昭和56年)8月26日。舞台は後楽園球場。読売ジャイアンツ‐中日ドラゴンズの第19回戦において、事件は起こりました。7回裏。試合は2-0で中日のリード。中日先発・星野仙一は、2安打・無得点の完璧なピッチングを披露します。前の試合までに巨人は、連続試合得点記録158試合を達成したこともあり、その記録を止めるのは俺だ!と息巻いていた彼にとって、この試合はなんとしても完封で〆たい一戦でした。
星野仙一

星野仙一

緊張感あふれる状況で生まれた“奇跡のワンプレー”

7回裏も2死1塁までこぎつけて、迎えるバッターは1番・松本匡史に代えて、代打・山本功児。星野の投じたストレートにかろうじて、バットを当てるも、打球は完全なる打ち損じ。力なくフワッとショート後方へと舞い上がります。

捕球の構えに入ったのは、遊撃手の守備についていた宇野勝。現役通算338本塁打、1984年にはHR王にも輝いた右の強打者です。

バックステップで飛球を追いかけた宇野でしたが、グラブでボールを掴もうとした刹那、ナイター照明が目に入ってしまい、目測を誤ってしまいます。飛球は本来落下点であるはずのグローブをかすめて、あろうことか宇野の脳天に直撃!ボールは勢いよく跳ね返ってフィールドを転々。
その間に、一塁走者・柳田真宏はホームイン。山本功児もランニング・ホームランを狙いましたが、必死の中継プレーの甲斐あって、なんとか、ホームでタッチアウト。

試合はかろうじてこのまま2-1で中日が逃げ切りましたが、完封を逃した星野はグラブを叩きつけて悔しがったといいます。

宇野ヘディング事件

事件から5年後には自伝『ヘディング男のハチャメチャ人生』を発表

このエラー。仮に大量得点差がついたどちらかの敗戦確実なゲームで起こっていたとしたら、これほどまで取り上げられなかったでしょうし、面白さも半減していたに違いありません。1点を争う好ゲームで飛び出したまさかの失策だったがために、故・2代目桂枝雀が提唱していた「笑いの緊張と緩和」よろしく、大きな笑いを生じさせたのでしょう。

宇野本人としては、ただのエラーを大げさにいじられて当初はそうとう嫌だったみたいですが、すぐにこの事件がらみでフューチャーされることを受け入れるようになり、1986年には『ヘディング男のハチャメチャ人生』なる自伝まで発表しています。

30年以上たった今もなお、先述の「珍プレー好プレー」において、“お約束の名シーン”的に何度も再放送されているこの宇野ヘディング事件。これ以上に、衝撃的かつ笑撃的な失策は、今度、なかなかお目にかかることはないでしょう。
ヘディング男のハチャメチャ人生

ヘディング男のハチャメチャ人生

(こじへい)
18 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

【プロ野球珍プレー職人】元中日の宇野勝といえば伝説のヘディング事件!みのもんたのナレーションもお約束でしたね!!

【プロ野球珍プレー職人】元中日の宇野勝といえば伝説のヘディング事件!みのもんたのナレーションもお約束でしたね!!

「プロ野球珍プレー・好プレー集」で何度もお茶の間を釘付けにした宇野勝。彼は遊撃手(ショート)として初めて40本塁打を記録した大打者であり、抜群の守備センスを持った類い希なる名遊撃手。にもかかわらず、ついにあだ名はヘディング男。「宇野ヘディング事件」きっかけで「プロ野球珍プレー・好プレー集」番組が生まれてしまったことが、宇野勝選手の悲劇だったのかもしれません。
青春の握り拳 | 20,212 view
闘将星野仙一投手を本気で怒らせた「宇野ヘディング事件」

闘将星野仙一投手を本気で怒らせた「宇野ヘディング事件」

宇野ヘディング事件と呼ばれたアクシデント。時は1981年8月26日、場所は後楽園球場で起こりました。中日ドラゴンズが対戦していたのがホームチームの読売ジャイアンツ。この試合で、中日ドラゴンズ所属の宇野遊撃手がしてしまったエラーなのですが、普通なら試合中のワンプレーで納まるところが、闘将・星野仙一が投げていた上に、激怒を起こさせてしまったことで話題となりました。
五百井飛鳥 | 3,023 view
【中村武志 x 松村邦洋】星野監督降臨!? 中日レジェンドをモノマネとともに振り返る!

【中村武志 x 松村邦洋】星野監督降臨!? 中日レジェンドをモノマネとともに振り返る!

松村邦洋のプロ野球ネタのYouTube動画は、完成度の高いモノマネと様々な秘話があり、野球ファンもお笑い好きも楽しめる内容になっています。中でも、特におもしろいのが中村武志とのコラボ。中日レジェンドの初耳の話が多く、モノマネとともに楽しめます。最後には、まさかのあの人も登場します。
izaiza347 | 184 view
【1984年・プロ野球】阪神・掛布 vs. 中日・宇野!最後は残念だったホームラン王争い

【1984年・プロ野球】阪神・掛布 vs. 中日・宇野!最後は残念だったホームラン王争い

1984年のホームラン王は、阪神・掛布、中日・宇野の両選手がタイトルを獲得しました。しかし、その輝かしいタイトルを汚すかのように、消化試合となったシーズン最終2試合では、まさかの両チームによる敬遠合戦に。両選手のタイトル争いと敬遠合戦の裏事情を振り返ります。
izaiza347 | 248 view
【大型トレード】どっちがトクした!?落合を獲得した中日?牛島・上川を獲得したロッテ?

【大型トレード】どっちがトクした!?落合を獲得した中日?牛島・上川を獲得したロッテ?

1986年のプロ野球オフシーズンには、パ・リーグの三冠王が動く大型トレードがありました。ロッテ(落合博満)と中日(牛島和彦、上川誠二、平沼定晴、桑田茂)のトレードです。パ・リーグの三冠王1人に4人が動いた大型トレード。中日とロッテ、果たしてどちらのチームがトクしたのでしょうか?
izaiza347 | 1,805 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト