伊丹十三監督「ミンボーの女」。多才にしてマルチな人間、故伊丹監督作品とともに振り返る。
2017年1月26日 更新

伊丹十三監督「ミンボーの女」。多才にしてマルチな人間、故伊丹監督作品とともに振り返る。

あるホテルを舞台に、暴力団とホテル側と民暴(ミンボー)の専門弁護士との対決を描いた、コミカルにして痛快な映画。そして、現実社会で様々な事件に巻き込まれていく伊丹監督を振り返ってみましょう。

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伊東四朗  ヤクザの大親分;入内島

小林総支配人を賭けゴルフの罠に落とし込む大親分。
元々こわもてだけに、結構決まってます。
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コメディアン時代、「てんぷくトリオ」のメンバーとして一世を風靡する。その後、バラエティー、司会、俳優としてコメディーからシリアスな役まで演じ、何でもこなすマルチタレント。

中尾彬  ヤクザの親分;伊場木

ホテルへの嫌がらせや締め付け等々、このこわもてでやられたらたまりません。
ハマリ役ですね。
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独特の雰囲気をかもしだす名俳優。
美術的才能もあり(武蔵野美大中退)、絵画の個展を開くなど多才な面をもつ。
その他にも、津川雅彦・大滝秀治・柳生博・大地康雄・柳葉敏郎・櫻井淳子・ガッツ石松等々、豪華なメンバーが顔を揃えスクリーンを盛り上げてます。

伊丹十三

1933年5月、映画監督・伊丹万作の長男として京都に生まれました。
高校時代に執筆活動をはじめ、大江健三郎氏(ノーベル賞作家)との親交がはじまったのもこの頃です。のちに、大江氏は伊丹氏の妹と結婚されます。
デザイナー・イラストレーターとして活躍した後、俳優・監督等マルチタレントとしても活躍し、妻・宮本信子を起用したコミカルな社会派映画の制作に取り組みます。
1997年12月20日、自宅マンションで自殺(後述)。64歳でした。
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映画監督として1984年、
実体験をもとにした「お葬式」でデビュー。
翌1995年に公開した「タンポポ」からコミカル的な作品が主流となります。
そして1987年あの「マルサの女」が公開されます。✖✖の女シリーズの第1作です。この映画は日本アカデミー賞の数々の部門で表彰されました。
翌1988年に「マルサの女2」が公開。
1990年には大流行語になった「あげまん」が公開されます。男子は特にこの「あげまん」という言葉を使ってましたねぇ。
そして1992年「ミンボーの女」が公開されます。
その後、1993年に「大病人」、1995年「静かな生活」、1996年「スーパーの女」と立て続けに制作。
1997年、自身の体験をヒントに描いた「マルタイの女」を発表。
本編が遺作となりました。

『マルサの女』 予告編

国税局査察部、通称マルサの女査察官と、脱税をしているラブホ経営者との戦いを描いている。
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女査察官シリーズ第2弾。
宗教法人を隠れ蓑にした脱税行為を暴いていく。
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愛した男が次々と運気上昇していく、という芸者と男たちの物語。
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末期の癌患者の生き様を描くとともに、医者と患者のあり方にも一石を投じた作品となっています。
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幼馴染が経営する売れないスーパーマーケットを一人の主婦が立て直していくサクセスストーリー。
食品偽装にいち早く切り込んだ、社会派映画でもあります。
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殺人事件の目撃者、彼女を執拗に狙う宗教団体、目撃者の女性(マルタイ)を守る警察の三つ巴を描いた作品。
伊丹監督の遺作となった映画です。

襲撃事件

「ミンボーの女」公開直後、1992年5月22日夜、自宅近くの駐車場で複数の男達に刃物で襲撃され、全治3か月の重傷を負います。犯人は5人の暴力団員。12月に逮捕され実刑判決を受けています。原因は映画の内容等いろいろ言われておりますが、伊丹監督自身、プロモーションビデオに上半身入れ墨を施して登場したり、ある記者会見では「私は、この映画でヤクザに喧嘩を売ったのです」という発言をしたり、ある種の挑発と取られる行為をしていたことがありました。五社英雄氏(映画監督 鬼龍院花子の生涯・極道の妻たち等)は、「あの男はやられるかもしれない」と関係者に言っていたそうです。

伊丹十三[ミンボーの女]特報

1992 NEWSCOM

襲撃直後、
病院に搬送される伊丹氏。


この約1週間後に、「自分の信条に従って作った。私はくじけない。映画で自由を貫く」とのコメントを残しています。
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