秋元康&氷室&布袋!1985年に実現していた奇跡のコラボ『プラスティック』奥田圭子
2017年6月24日 更新

秋元康&氷室&布袋!1985年に実現していた奇跡のコラボ『プラスティック』奥田圭子

BOØWYの氷室と布袋が曲を手掛け、秋元康が詞を書いた奥田圭子の3rdシングル『プラスティック』。 今では実現不可能と言われる超豪華楽曲制作陣による貴重なアイドルソングについて、実現した経緯や貴重な動画などを紹介します。

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作詞:秋元康/作曲:氷室京介/編曲:布袋寅泰のアイドルソング!?

おニャン子クラブやAKB48の仕掛け人であり、美空ひばり『川の流れのように』などの作詞でも知られる秋元康。
そして、伝説のロックバンドBOØWYのメンバーであり、解散以降もソロアーティストとして成功している氷室京介と布袋寅泰。

この3人が携わった超豪華なアイドルソングが存在している。
それはアイドル・奥田圭子が1985年10月21日にリリースした3rdシングル『プラスティック』である。
奥田圭子「プラスティック」

奥田圭子「プラスティック」

作詞:秋元康
作曲:氷室京介
編曲:布袋寅泰

c/w Bye Sideロマンス

アイドル・奥田圭子とは?

奥田圭子(おくだ けいこ)

奥田圭子(おくだ けいこ)

本名:奥田佳子(おくだ よしこ)
1966年3月1日生まれ
広島県三原市出身

1982年のホリプロタレントスカウトキャラバン、1984年の東宝シンデレラに出場後、1984年にパイロット万年筆のイメージガールコンテストをきっかけに芸能界入り。
1985年2月にパイロット万年筆のCMソング『夢ください―知・的・優・遊―』でレコードデビュー。
1985年デビューの同期(85年組アイドル)は、中山美穂・斉藤由貴・浅香唯・南野陽子・本田美奈子・石野陽子・工藤夕貴・佐野量子・おニャン子クラブ・セイントフォーなど。

身長160cm・体重47kgとスタイルが良く、はっきりした顔立ちの奥田圭子は将来を嘱望された新人であった。

玉置浩二が曲を提供した『夢ください―知・的・優・遊―』でレコードデビュー。
多くの新人賞を受賞した。

メガロポリス歌謡祭・新人賞受賞
KBC音楽祭・新人賞受賞
新宿音楽祭・新人賞受賞
全日本有線放送大賞・新人賞受賞

また、菊池桃子主演で大ヒットした映画『パンツの穴』の第2作『パンツの穴 花柄畑でインプット』で菊池の後のヒロインを志村香と共に務めた。
映画『パンツの穴 花柄畑でインプット』

映画『パンツの穴 花柄畑でインプット』

1985年4月13日公開。
中学生のエッチな青春グラフィティ。
雑誌「ボム」に投稿された文章を基に橋場克彦、グループ・ひぐらしが原案を構成し、「奴隷契約書 鞭とハイヒール」の掛札昌裕が脚本を執筆した。
監督は「喧嘩道 けんかみち」の小平裕。
しかし、デビュー曲『夢ください―知・的・優・遊―』はオリコン最高32位、2ndシングル『瞳の中に』はオリコン最高位27位と振るわず、主演した映画『パンツの穴 花柄畑でインプット』も不入りに終わってしまう。

奥田圭子がBOØWYファンであったことから実現した氷室&布袋の楽曲提供

このままではやばいという危機意識の表れか、3rdシングルでは楽曲提供者を大幅に変更。

作詞には1985年4月にデビューしたおニャン子クラブの仕掛け人であり、作詞提供も行い大ブレイクを果たしている秋元康。
そして、曲は1985年6月に渋谷公会堂で初の大ホール・ワンマンコンサートを行い勢いに乗っているロックバンドBOØWYの氷室京介と布袋寅泰。

当時最も旬な組み合わせだったと言える楽曲提供。
布袋寅泰は編曲だけでなく、ギターでも参加している。

ロックバンドであるBOØWYの二人がアイドルソングに携わった理由としては、まだBOØWYの知名度が高くなかった1984年時点から奥田圭子はBOØWYの大ファンであることを公言しており、その縁で実現したという。

なお、氷室京介は奥田圭子のアルバム『cresc.(クレッシェンド)』に収録されている「STORMY NIGHT」の作曲も手掛けている。

【動画】奥田圭子『プラスティック』

奥田圭子「プラスティック」(1985年)

奥田圭子「プラスティック」(1985年)

シンプルで艶を感じるニュー・ウェーヴテイストの洗練されたメロディ。
ロックをほのかに感じさせるビート感。
氷室&布袋ぽさを滲ませながらも、アイドルソング路線からはみ出ていない。

また、寂し気なメロディに合わせ、失恋をテーマに今までよりも大人っぽい詞になっている。
曲も詞も歌唱もそれぞれ個別では文句を付けるような点は見当たらない。
ただ、どこか"引っ掛かり"が足りないというか、インパクトが弱い。
中途半端な路線になってしまったのではないかと思える。

アルバム内の一曲としてなら、ちょうど良いがシングルカットするのなら、もっとロック路線に舵を切るなどインパクト重視の方が良かったのかもしれない。

そうした印象を他の人たちも感じていたのか、オリコン最高位は39位とそれまでよりも順位を落としてしまった。

『プラスティック』以降の奥田圭子

奥田圭子は『プラスティック』の後に、2枚のシングルを発売。
5枚目のシングルでは、太田裕美『木綿のハンカチーフ』、斉藤由貴『卒業』、桑名正博『セクシャルバイオレットNo.1』、C-C-B『Romanticが止まらない』など多くのヒット曲を世に送り出した作詞:松本隆&作曲:筒美京平のゴールデンコンビが楽曲提供した『Single Woman』で勝負をかけた。
しかし、オリコン100位以内に入ることができずこれが最後のシングルとなった。

その後、本名の奥田佳子(読み方は「けいこ」のまま)に改名し、主に女優としてTVドラマで活動。
化粧品ブランド「viento de KINO(ビエント・デ・キーノ)」のプロデュースも行っていた。

カバー曲での復刻を期待

超豪華な楽曲提供陣ながらヒットしなかったため、BOØWYファンやコアなアイドルマニアなど「知る人ぞ知る」曲となってしまった『プラスティック』。

この曲を含んだアルバム『cresc.(クレッシェンド)』は中古市場にて超プレミア価格で取引されており、2008年に『クレッシェンド・アンド・シングルズ 』としてコンプリート版として販売されたが、こちらも高値で取引されている。

今では秋元康・氷室京介・布袋寅泰の3名による楽曲提供など実現不可能とも思えるだけに、このまま埋もれさせてしまうのは非常に惜しい。

近年はカバー曲ブームと言われる状況だけに、奥田圭子が歌った『プラスティック』もカバー曲として甦って欲しい。
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