真のサムライに化けた男~ハドラー
ダイは勇者の家庭教師アバンと勇者になるべく特訓中。その最中、かつて魔王として世界を恐怖に陥れたハドラーがやってくる。ハドラーは、かつて勇者アバンに倒されたが、その命を大魔王バーンに救われ、復活を果たしたのであった。そんなハドラーが現在の身分を改めて自己紹介するシーン。
いやぁ、かつては魔王としてモンスター軍団を束ねて世界征服を目指していた男が、大魔王の下請けとして登場したわけなんですが、これってもう、この間まで社長だったんですが、倒産して涙目だったところ、別会社の部長として雇ってもらいました!!感じで、ものすごいかっこ悪いです・・・。
しかも、このドヤ顔の小物臭がひど過ぎるw
さらに、ベルトのバックルがバーンの影をモチーフとしていて、ものすごい媚売ってる感がします。
もうひとつ言うとベルトの装飾が五芒星(この世界では聖なるもの)で六芒星(この世界では魔族の象徴)じゃ無くてものすごい間違ってる感が切ない。
しかし、ハドラーって、最初の方は悲しいくらい小物で哀れな奴なんですが、物語を通して最高にカッコいい奴に成長します。
ダイの大冒険って、悪役もちゃんと成長していくのが良いですよね。
ハドラーさんのリーマン日記
もう後には引けない・・・男の決意がハドラーを変える
禁断の魔改造を自らの体に施す
死ぬなよダイ!という言葉を口にするとは
しかし今のハドラーは違います。
「死ぬなよダイ。この程度で死なれては この身を魔獣に変えた甲斐がないぞ!」と、男らしく言い切るのです。相手にたいするリスペクトが生じた言動をし始めてから、ハドラーはぐっとかっこ良い男になります。
友情のようなものもたしかに芽生えていた
最後を迎えるかもしれないことを悟ったハドラーは、これまで自分がミストバーンを疎んじていたこと、けれど今では感謝している、と言葉を重ねます。
団長の中で最も自分に誠意を見せてくれた男はお前ではなかっただろうか、と。
自分の最後に幕引きをしようとし、最後に自分に誠実であった男にも礼儀を忘れない。
そこにはほんの僅かながら、友情のようなものが芽生えていたのかもしれません。
このときのハドラーは、間違いなくもう一人のアバンの使徒だった
間違いなくこの時のハドラーはダイたちの師であり、もう一人の「アバンの使徒」となっていました。
自分を救ったポップ。その気持ちに涙が止まらない
ダイがこれまでの漫画と違っていたのは、味方だけではなく、敵にも様々な葛藤がある、それぞれの立場がある、ということをクローズアップし、あまり注目されてこなかった敵キャラの心情描写をしたことだと思います。単なる敵でも奥行きのある人物として描かれていて魅力的です。また、敵と味方の間にも友情に似た感情が芽生えることがある、というストーリーが感動を生みました。
人生の甘さも苦みも両方知っている、そんなおじさんキャラたちがいて、主人公たちを陰で支えたり励ましたりしている。そんな「ダイ」を読むと、誰にも人生のストーリーがあって、それぞれの人生を生きている、そういうことに改めて気づかされます。「ダイの大冒険」はそういう素晴らしい漫画でした。
すごんでるんだけど、どこか哀れを誘う虚ろな笑顔です。
このときのハドラーは、「目的」よりも「名誉欲」のほうが上回っていたように思えます。
しかし徐々にハドラーは小物から「サムライ」へと進化していきます。
行動も、顔も見違えるほどいい顔になっていく。
成長していく精神に伴って、敵ながら尊敬できる相手に変わっていく。
「人は変われる」それを体現しているのが、ハドラーです。