『無敵鋼人ダイターン3』
放送期間:1978年6月3日から1979年3月31日
放送時間:金曜18:00から18:30(テレビ朝日にて)
放送局:テレビ朝日系列
放送話数:全40話
主題歌:「カムヒア!ダイターン3」藤原誠
スタッフ
総監督:富野喜幸
演出:藤原良二(最終回担当)ほか
脚本:荒木芳久(最終回担当)ほか
絵コンテ:斧谷稔(最終回担当)ほか
作画監督:塩山紀生(最終回担当)ほか
キャラクターデザイン:塩山紀生、小国一和
メカニカルデザイン:大河原邦男
音響監督:松浦典良
音楽:渡辺岳夫、松山祐士
キャスト
ギャリソン時田:北村弘一
三条レイカ;井上遥
ビューティ・タチバナ:水野カコ
トッポ:白石冬美
破嵐創造:仲木隆司
ドンザウサー:山内雅人
コロス:信沢三恵子
ダルシア:桑原たけし
『無敵鋼人ダイターン3』とは
そしてサイボーグたちは自分たちの方が人類よりも優れているとし「メガノイド」を名乗って反乱を開始した。その最高指導者はドン・ザウサーである。
創造博士の息子である破嵐万丈は巨大ロボット「ダイターン3」に乗り込み、執事のギャリソンたちと共にメガノイドと戦う。
富野喜幸(現・富野 由悠季)が、シリアス路線だった前番組の『無敵超人ザンボット3』から一転して、コミカル路線で監督した作品。
『無敵鋼人ダイターン3』の最終回
第40話「万丈、暁に消ゆ」
コロス「地球の気象異変は5時間後に最大になります。人間は宇宙へ脱出をはかるもの、地上でうろたえるもの、ともに捕らえるのは造作もないことです」
ドンザウサーの目が光る。
コロス「一同、銀河帝国建設のために励め、との仰せです」
兵士たち「オーラ、ドンザウサー!」
万丈はそれを阻止するべくマサァロケットで火星へと向かっていた。
地球では万丈からの連絡を聞き、ギャリソン、レイカ、ビューティ、トッポの4人もマサァロケットで宇宙へ飛び立つ。
万丈はメガノイド軍と遭遇した。
コマンダー・ダルシア「おのれ万丈!火星には指一本さわらせはせんぞ!」
そこへさらに4機のロケットが向かっていると報告が入る。ダルシアは戦力の3分の2をそちらに向かわせた。
ダルシア「すると5機のマサァと5台のダイターンがあるというのか?」
手薄になったところを突破し、万丈は火星に到着した。推進装置へと向かう。
コロス「火星の動きを止めて、その上でこのドンの城に向かうのが作戦の要なら、一機だけのマサァこそ万丈のものに違いありません」
コロスも小型戦闘機アイアイで出撃する。
次々と推進装置を破壊している万丈。
万丈「あとはドンザウサーの基地を爆発させて、火星を元の軌道に戻すだけというわけだ」
基地に向かう万丈の前に戦闘機たちが現れる。
コロス「各員、特攻してでも万丈を食い止めなさい!」
次々と体当たりを食らう。しかし万丈はバリアを破り、基地の上空にたどりついた。
不時着し、万丈は中からライフルを持って現れる。それを撃ち、コロスの乗ったアイアイを撃墜した。空を飛んで逃げるコロス。
万丈はマッハアタッカーに乗り、コロスが逃げた建物に向かった。入口にいたコロスが丸い爆弾を投げる。その爆弾を車で飛び越えて進む万丈。
銃を撃ちながらコロスを追った万丈は、手から黒いロープ状のものをたくさん投げてコロスを絡めとった。
コロス「万丈。なぜドンの心をわかってくれないのですか?」
万丈「ぼくは憎む。サイボーグを作った父を。ましてぼくの母も兄もサイボーグの実験に使って殺してしまったことは許せない。ドンもあなたもメガノイドを名乗ってスーパー人間とうぬぼれる。それを憎む!」
コロス「人類は、宇宙に飛びだつ時代にはドンのお考えは正しいのです!」
万丈は銃を乱射した。倒れるコロス。
コロス「ドン…あなた…助けて」
ドン「コロス…お前を傷つけるのは…だ、誰だ…」
戦いが始まる。ドンはその両手で万丈の首を締める。だがその手を引きはがしていく万丈。
ドン「この力…お前はメガノイドなのか…」
万丈「このぼくを忘れたのか?破嵐万丈を!」
ドン「万丈…あの破嵐創造の息子…」
ドンは手を離した。
ドン「私は、今まで何をしていたのだ、万丈」
万丈「コロスに利用されていたんだよ、人形のようにな」
ドン「わかったぞ、万丈。お前だな、コロスをいつも悲しませていたのは」
再び戦い。万丈は外に出た。
万丈「ダイターン、カムヒア!」
ダイターン3に乗り込む。
ダイターン3よりはるかに大きな姿になるドンとの戦いが始まる。
万丈「あの頭が破壊できればいいのだが…」
万丈「日輪の輝き、サンアタック!」
必殺技はドンの額に命中し、穴を開けた。
距離をとって周囲を飛ぶドン。
万丈「少しは効くのか。そうだ、あの同じところにサンアタックを当てれば仕留められるはずだ」
しかしドンの手から放たれた光線がダイターンを襲う。
ドン「コロスを悲しめた罪、コロスを傷つけた罪、一身に受けるがいい。万丈!」
万丈の苦しむ悲鳴。
ドン「コロスよ、見るがいい。お前の苦しみの元を作った男の最期を!」
コクピットで倒れる万丈。しかし父の声が聞こえて、ふたたび身体を起こす。
万丈「ぼくへの謝罪のつもりか?と、父さん、今のはぼくの、ぼく自身の力だ!ぼく自身の力なんだ!父さんの力など借りはしない!」
力を取り戻した万丈。
万丈「日輪の力を借りて!今、必殺の!サン、アターック!」
命中。
ドンは両手をあげて苦しみながら炎を吹き上げる。そして爆発した。
それを見ていたコロスは倒れる。
コロス「あ…あなた…」
大地に立つダイターン3。ぼろぼろになって倒れたコロスを見下ろす万丈。しばらくの間のあと、言う。
万丈「ぼ、ぼくは…いやだ!」
爆発するドンの城。火星は地球から遠ざかって行く。それを宇宙から見送るダイターン3。
万丈の屋敷。トランクを持ったレイカが、ビューティたちに声をかける。
レイカ「じゃあね、さよなら!」
ビューティ「いやにあっさりしてんのね」
レイカ「仕方ないわ、住む世界が違うんだから。バーイ!」
レイカは部屋を出て行った。
トッポも去る。ビューティも。
夜。屋敷の明かりがすべて消えた。門に鍵をかけて、屋敷から歩き去るギャリソン。バス停の前に立つ。雨が降ってきて、傘を差す。
屋敷を見ながらギャリソンは、足でリズムをとって歌いだす。それは『無敵鋼人ダイターン3』の主題歌だ。流れ出す主題歌。
バスが来た。ギャリソンを乗せて走り出す。
そして…もう誰もいないはずの屋敷の一室に、明かりがついている。
その後の『無敵鋼人ダイターン3』
コミカル路線の作品ながら、それだけで終わらないのがやはり富野監督の凄さなのでしょうか。
屋敷での「あっさりとした」別れ、そして誰もいないはずの屋敷に灯る明かり。いろいろと想像が膨らむ終わり方です。
富野監督はこの破嵐万丈がお気に入りのようで、小説も全4作が発表されています。