黒柳朝    トットちゃんの母、チョッちゃん
2024年6月4日 更新

黒柳朝 トットちゃんの母、チョッちゃん

黒柳徹子の母、黒柳朝。バイオリニストの黒柳守綱に略奪、監禁されて結婚。戦争、夫の徴兵、300機のB29による東京大空襲、疎開、焼け野原となった東京で遭った寸借詐欺、黒柳徹子の結婚詐欺、どんなときでも自分らしく生きたチョッちゃんのエピソード。

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黒柳守綱は、山田耕筰のオーケストラに所属していたが月給などなく、生活とのことや黒柳朝が音楽学校に在学中であることなどはあまり深刻に考えずに、自分の伯父に北海道まで結婚させてくれるよう頼みに行ってもらった。
しかし北海道の黒柳朝の父親は
「音楽なんてやっている男はロクなものではない」
と烈火のごとく怒り、許さなかった。
「結局、私たちの結婚は、黒柳徹子が生まれるまで許してはくれませんでした。
子供ができてからは、もう孫にメロメロで、若いときに狂ったように私を叱ったことなど想像もできませんでしたけれど、終わりよければみんなよしということでしょうか」
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ある夜、犬が吠えると黒柳守綱が石や灰皿を投げつけた。
黒柳朝が、
「やめてよ。
パパも昼間はバイオリンを弾いているんだから、犬が吠えるといっても怒れないわよ」
と注意すると
「僕のバイオリンは商売で生活がかかってるんだ。
夜はみんな寝るんだから犬がうるさくすれば文句をいうのは当然だ」
といって黒柳朝にも投石した。
「パパは実生活に疎く、うれしければ飛び上がって喜び、腹が立てば、私を傷つけないようにというような思いやりなどまったくなく怒鳴りまくりました。
優しさと激しさを両端に持っている、天才となにかは紙一重という感じでした。
音楽家としては大切な部分かもしれませんが、予期できない振幅につき合わされるのはたまったものではありません」
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黒柳守綱は、怒ると顔が蒼白になり、こめかみに血管が浮き出てくる。
一方でどんな小さなことでも黒柳朝に話さずにはいられず、よく
「愛してるよ」
とか
「好きだよ」
となどいいながらさわり、スキンシップ。
人に触れられるのが嫌いな黒柳朝は
「今度生まれ変わってもママと結婚したいよ」
といわれ、
「悪いけど別の人と結婚したいと思います。
だってせっかく生まれ変わるのなら、違った人と違った体験をした方が面白いと思いますもの」
と答えた。
また黒柳朝は最小労力で最大成果を上げようとして、手を抜いたり、ズルすることもあるが、黒柳守綱は、すべてのことに手抜きをしない完璧主義者。
バイオリンを愛し、毎日練習し、弾いていないときもバイオリンに話しかけながら手入れ。
演奏することはもちろん、バイオリンという楽器そのものも好きだった。
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乃木坂倶楽部での生活を、
「インド人でシイナさんという、とても日本語の上手な人がいて会うといつも面白い話をしてくれました」
「1階上には佐伯祐三未亡人の佐伯米子さんがいらして、よくアトリエに遊びに行き、モデルになったりしました」
という黒柳朝だが、長女の黒柳徹子が生まれると近くの小さな一軒家を借りて引っ越し。
幼い黒柳徹子は舌足らずなために自分の名前を
「徹子」
ではなく
「トット」
と発音するため、黒柳守綱と黒柳朝は
「トットちゃん」
と呼ぶようになった。
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長女出産から2年後、黒柳朝は、2番目の子供、長男の明児を出産。
明治節(明治天皇の誕生日、11月3日)に生まれたので最初は
「明治」
という名前にしようと思ったが、区役所で天皇陛下の諡(おくりな)になるので使えないといわれ、
「お菓子や牛乳の名前に使われているじゃないですか」
といったが
「その頃は、まだ陛下は元気でいらしたからできた」
そんないきさつがあって
「明児」
となった。
黒柳守綱は
「明ちゃん」
と呼んで、夢中で、いつも膝の上に乗せていた。
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いつもお金がなく、あるとき黒柳朝が
「お金もお米もなくなっちゃったけどどうしましょう」
と聞くと黒柳守綱は
「じゃあ、食べなきゃいいじゃないか」
それを聞いて
(この人にはバイオリンの演奏さえしてもらえばいい。
2度とお金のことでわずわらしい思いをさせないことにしよう)
と決意した黒柳朝は、どうやってお金をつくればいいか考えた挙句、質屋へ行くことにした。
初めはよかったが質草がなくなってしまうと、演奏会の予定を聞き、
「どうして?」
と不思議がられると
「洗濯屋さんに出さなきゃね」
といってごまかして演奏会用の燕尾服を質屋へ。
長女である黒柳徹子の手を引き、2歳下、まだ赤ん坊だった明ちゃん(長男、明児)をオンブして質屋の暖簾をくぐるとカウンターに持ってきた品を広げて交渉開始。
黒柳徹子はのぞきたくて一生懸命背伸びするが台が高くてみえなかった。
「燕尾服で1円50銭貸してくれました。
それだけあればお米も10㎏くらいは買えたと思います」
お金をもらって黒柳徹子の手を引いて外へ。
「さっき行ったの何屋さん?」
と聞かれ、
「洗濯屋さんよ」
「洗濯屋さんに行くとお金もらえるのね」
いつもニコニコしている黒柳徹子との帰り道、ミカンや魚を帰った。
黒柳守綱は、オーケストラだけではなく、カルテット「東京弦楽四重奏団」を組んで活動したり、レコード会社と契約し、流行歌の伴奏を行うなどやいろいろな仕事を行った。
しかし「ただ食うため」の仕事やイヤな仕事は断り、それを黒柳朝は、
(受ければいいのに・・・)
と思いながらみていた。
「パパと私は相変わらずお金持ちにならず、それほどお金に困るわけでもなく過ごしました。
それで十分に幸せなのでした」
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黒柳徹子が3歳のとき、足で漕ぐ自動車を買うために3人でデパートへ
売り場にはたくさん並んでいて、黒柳朝はなるべく安く、友達が持っているのと同じようなものを選び、買ってもらえればなんでも喜ぶ3歳児に
「トットちゃん、これでいいでしょ?」
しかし黒柳守綱は、
「いや、これがいいよ」
といって1番高いものをチョイス。
「これに決めよう。
乗ってごらん」
黒柳徹子を乗せると足が届かなかったが、
「すぐに大きくなるから」
どうしてもそれを買ってやりたいというより、まるで自分が欲しいような黒柳守綱に黒柳朝は反対。
すると黒柳守綱は
「君が上等なのを買わないのは、自分の着物を買いたいと思っているからに違いない」
というとサッサといってしまい、やがて反物の包みを持って帰ってくると
「さあ、これで気が済んだだろう」
そしてお気に入りの自動車を買い、デパートの配達が待ち切れないので、自分で持って帰った。
家に着くとご機嫌で徹子を乗せたが、足が届かないのでうまくペダルが漕げず、それをみて腹を立てた。
黒柳朝も
「あの中には生活費も入っていたのに・・・」
と出がけにお金を全部預けたことを後悔し、
「着物となれば好みも気に入らない柄なら、どんな高価でも着れないのに・・・」
と腹を立てた。

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あるとき4歳の黒柳徹子が台から飛び降り、黒柳守綱が受け止めるという遊びをしていて、キャッキャッとはしゃぐ2人に黒柳朝は、
「いい加減にやめないと危ないわよ」
と注意。
その瞬間、黒柳徹子が黒柳守綱の手をスリ抜けて落下。
ホホとおでこをスリむき、出血する黒柳徹子をみて、顔色を失い、どうしていいかわからない黒柳守綱。
黒柳朝は、すぐに薬を取りにいき、消毒して手当をしながら
「だからいわんこっちゃない。
いつもこうなんだから」
と腹立たしげにつぶやくと小声のつもりだったが、黒柳守綱に聞こえてしまった。、
すぐに灰皿が飛んできたが、それが黒柳朝の膝の上の黒柳徹子のおでこに命中。
大きなタンコブができて
「ギャーッ」
と泣き出した。
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共に自己主張が強く、ガマンすることが苦手な黒柳守綱と黒柳朝は、よくいい争いをし、ときに物が飛び交うこともあった。
「パパは怒鳴り、私は泣きながら負けずに口答えをしました」
という黒柳朝は、
「夫婦喧嘩ノート」
をつくり、日付、原因を記し、程度を
「ボヤ・大火事・あわや」
の3段階で記録。
原因は、お金や物質的なことは皆無。
子供のことは、いい子のときは
「自分に似ている」
悪い子のときは
「お前の責任」
といわれるが、たいてい「ボヤ」で済んだ。
1番多かったのは、愛情問題。
「パパは若くて私に具体的な愛情のつながりを求めているのに、私は子供の世話で疲れすぎているためにパパに協力的じゃないということだった」
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あるとき2人で映画を観にいくと夜中、奥さんがベッドを抜け出して、召使のところに忍んでいき、浮気をするシーンをあり、
(とても魅力的な男優さん!)
と思っていると、黒柳守綱は、
「あんな男がいいのかな」
それに黒柳朝が
「いいんじゃない」
と答えたのが最後だった。
「いいんなら行けよ」
というが早いか、席からつまみ出され、暗い映画館の中でスクリーンの方に押し出されながら
「好きなら行けばいいじゃないか」
と怒鳴られた。
「行けって映画の中の人じゃない!」
黒柳朝はいい返したが、周りからも
「シーッ」
と注意され、腹が立ったので1人で帰宅。
後で帰ってきた黒柳守綱は、
「ごめんよ」
しかし黒柳朝は
「ごめんよで済んだら警察いらずよ」
といって蒸し返してしまい、再び大ケンカ。
怒鳴りまくった次の日、黒柳守綱は、
「僕はママを奥さんにすることができて本当に幸福だ。
ママさえいれば僕はもう何もいらないよ」
黒柳朝は
「今度こそ子供を連れて出ていこう」
と思っていたが、そういわれると
「私も心からパパを愛してみたい
と思い直し、嵐が過ぎ去った後の美しい朝を迎えた。
しかしすぐにまた絶望的な嵐が吹きまくるのであった。
黒柳朝は、
「もうイヤだからね」
「もうヤメるからね」
と別れをチラつかせて脅し続けたが、ケンカの後はケロリと忘れ、一緒に遊びに出かけ
「本当にたわいがなかった」
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