【11勝4敗で優勝!?】過去に本当にあった!史上最も勝ち星の少ない幕内優勝
2022年8月27日 更新

【11勝4敗で優勝!?】過去に本当にあった!史上最も勝ち星の少ない幕内優勝

大相撲の幕内優勝というと、15戦全勝、14勝1敗、13勝2敗あたりの勝敗が多く、12勝3敗になると少し勝ち星が少ない印象があります。ところが、過去にはもっと少ない "11勝4敗" で優勝した力士がいました。1場所15日制が定着した1949年以降に三度だけあった、珍しい場所を振り返ってみましょう。

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1972年初場所 - 栃東

二代目栃東の父

史上初めて、11勝4敗で優勝を決めたのは、1972年初場所(一月場所)
前頭5枚目初代栃東でした。のちに大関になった二代目栃東の父で、13代玉ノ井親方です。

本場所は、最終的に1横綱、2大関が休場。誰が優勝してもおかしくない群雄割拠の混戦になります。また、のちの横綱、北の湖が史上最年少で入幕を果たしています。

フル出場した2大関の清國琴櫻は、6日目で3勝3敗。しかし、その後なんとか盛り返し、優勝争いに名を残します。前頭7枚目の金剛は、初日から7連勝しますが、その後連敗して逆に優勝争いから離脱。新入幕の北の湖は、初日から7連敗でした。

大混戦の結果、千秋楽当日、優勝争いに残ったのは次の8人の力士でした。

10勝4敗
琴櫻(張出大関)
栃東(前頭5枚目)
福の花(前頭3枚目)


9勝5敗
清國(大関)
長谷川(張出関脇)
輪島(小結)
吉王山(前頭8枚目)
若二瀬(前頭10枚目)
栃東知頼

栃東知頼

最後まで波乱の千秋楽

そして、千秋楽は、ここから思わぬ展開を見せます。

なんと、
10勝4敗琴櫻福の花黒星
9勝5敗長谷川輪島吉王山若二瀬白星
結びの一番を前にして、6人の力士が10勝5敗で並んでしまいました。

千秋楽結びの一番は、清國栃東戦。
結びに平幕が登場する異例の事態です。もし、清國が栃東に勝つと、10勝5敗で8人が並び、8人による優勝決定戦が行われます。二人の対戦成績は、清國9勝、栃東4勝。清國が断然有利です。

ところが結果は、栃東がすばやく右に交わし、すぐさま上手出し投げを決めて、ものの数秒であっけなく勝利。史上稀に見る大混戦は見事、初代栃東が単独での初優勝を果たしました。

因みに、最終的に10勝5敗準優勝した力士は以下の6人です。

琴櫻(張出大関)
長谷川(張出関脇)
輪島(小結)
福の花(前頭3枚目)
吉王山(前頭8枚目)
若二瀬(前頭10枚目)


栃東は、同時に技能賞も受賞しています。

Tochiazuma vs. Kiyokuni : Hatsu 1972 (栃東 対 清國)

1996年九州場所 - 武蔵丸

5人による優勝決定戦に

二度目の11勝4敗での優勝は、24年後。
1996年九州場所(十一月場所)で、当時大関の武蔵丸でした。

本場所は、優勝の大本命だった貴乃花が休場。1横綱3大関は健在だったものの、波乱の様相を呈していました。また、前月には、現役幕内力士の旭道山が衆議院議員選挙に当選し、廃業するという異例のニュースもありました。

奇しくも、新入幕の二代目栃東が絶好調。初日から5連勝で、5日目終わって唯一の全勝力士でした。6日目には全勝力士がいなくなりますが、1横綱3大関はいずれも好調で早々に勝ち越しを決め、優勝争いに名を残します。

千秋楽を迎え、優勝争いに残っていたのは次の5人の力士でした。

11勝3敗
若乃花(大関)
武蔵丸(大関)

10勝4敗
曙(横綱)
貴ノ浪(大関)
魁皇(関脇)

11勝3敗の若乃花か武蔵丸が勝っていれば、どちらかの優勝、もしくは、二人による優勝決定戦だったのですが、結果は、11勝3敗の2人が黒星10勝4敗の3人が白星5人が11勝4敗で並んでしまいました。

史上初、5人による優勝決定戦です。
武蔵丸光洋

武蔵丸光洋

3連勝で武蔵丸が優勝

5人による優勝決定戦は、ルールが特殊です。最初に予選を行い、決勝に残る3人を決めます。具体的には、くじ引きで1人のシードと2組の対戦を決め、シードは無条件で決勝進出、2組の対戦は勝者が決勝進出となります。そして、決勝に残った3人は巴戦、つまり、2連勝する人が出るまで対戦を続けて、優勝者を決めます。

まず、予選の結果は次の通り。

予選
(勝) 武蔵丸 - 若乃花 (負)
(勝) 貴ノ浪 - 魁皇 (負)
(シード) 曙


決勝は、武蔵丸貴ノ浪による巴戦です。結果は次の通り。

決勝
(勝) 武蔵丸 - 曙 (負)
(勝) 武蔵丸 - 貴ノ浪 (負)


武蔵丸が3連勝し、混戦になることなく、最短で優勝が決まりました。

因みに、栃東は新入幕ながら10勝5敗の好成績でした。もし14日目に勝っていたら、優勝決定戦に出場し、"親子二代で11勝4敗で優勝" という可能性もあったようです。

大相撲名勝負 武蔵丸VS貴ノ浪

2017年秋場所 - 日馬富士

三度目の11勝4敗での優勝は、さらに21年後。
2017年秋場所(九月場所)で、横綱日馬富士でした。

本場所は、4横綱3大関のうち、なんと3横綱2大関が休場。
千秋楽までフル出場したのは、横綱日馬富士と大関豪栄道だけでした。

10日目が終わって、優勝争いは、豪栄道が9勝1敗で抜け出し、千代大龍が8勝2敗、他6人が7勝3敗。すでに6勝4敗まで落ちていた日馬富士は優勝争いから完全に離脱した格好でしたが、ここから連勝を続け、ついに優勝争いに名乗りをあげます。

千秋楽は、二人の優勝争いとなりました。

11勝3敗
豪栄道

10勝4敗
日馬富士


迎えた千秋楽。結びの一番はもちろん、日馬富士豪栄道戦です。
結果は、日馬富士の勝利。二人が11勝4敗で並びました。
そして、優勝決定戦日馬富士の圧勝。見事9回目の優勝を果たしました。
日馬富士公平

日馬富士公平

以上が、三度だけあった "11勝4敗" での優勝でした。
その後、少なくとも、2022年の名古屋場所(七月場所)までは、11勝4敗での優勝はありません。次もまた、20年後ぐらいになるのでしょうか・・・。

支度部屋での様子~優勝決定戦【日馬富士 -- 豪栄道 】

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