ある日、金庫の金120円が紛失。帳簿付けの新吉は藤吉に嫌疑をかけられる。金庫の鍵を開けられるのは籐吉と新吉だけだったからだ。しかし、もう一人金庫を開けられる人間がいた。藤吉さえも気づいていないが若旦那が開けられた。それを知る者はゆき一人だった。
新吉と相思相愛のきくは、見番頭の黒木に相談するが、藁小屋に連れ込まれて犯されてしまう。
自暴自棄になったきくは小屋に火をつけ、新吉と共に天竜川に身を沈める。
自暴自棄になったきくは小屋に火をつけ、新吉と共に天竜川に身を沈める。
旧盆で工場が休みになると、工女達は束の間の解放感に浸れる。盆踊りは無礼講。工女全員ではしゃぎ踊り、食べ、酒を呑み楽しむ。はなは検番代理に昇格した工女達の唯一の理解者、音松に想いを告げる。
一方ゆきは若旦那の子を宿していた。工女達は皆、ゆきと若旦那の祝言はいつか?と話題ににしていた。が、若旦那は工女との結婚を反対する母が決めた女性と結婚する。
ゆきは妾になるのを断り、「若旦那!あんたに言いてぇ事がある。きくと新吉を殺したのはあんただ!」
偶然部屋の前を通りかかったみねは怒りで震えながら若旦那に詰め寄るが、「この山安で生きていきたければ余計な口出しすんな!」と張り倒されてしまう。
ゆきは妾になるのを断り、「若旦那!あんたに言いてぇ事がある。きくと新吉を殺したのはあんただ!」
偶然部屋の前を通りかかったみねは怒りで震えながら若旦那に詰め寄るが、「この山安で生きていきたければ余計な口出しすんな!」と張り倒されてしまう。
そしてゆきは自身の母がそうしたように一人子供を育てようと山安を後にするが、野麦峠を彷徨っているうちに流産してしまう。
明治四十一年アメリカに不況が訪れ、生糸の輸出は止まってしまう。倒産から逃れるには国内向けの生糸を大量生産しなければならず、労働条件は悪化していった。劣悪な労働条件から、みねは結核で倒れ糸取りができなくなってしまう。
病気の工女は使いものにならず、藤吉はみねを家族に引き取らせる。
知らせを受けた兄の辰次郎は不眠不休でキカヤに駆けつけた。物置小屋に隔離され衰弱しきったみねを背負って、故郷に向かった。
知らせを受けた兄の辰次郎は不眠不休でキカヤに駆けつけた。物置小屋に隔離され衰弱しきったみねを背負って、故郷に向かった。
秋の野麦峠は美しい紅葉でおおわれていた。みねの目に故郷・飛騨が広がっている。「兄さ、飛騨が見える」みねの最期の言葉だった。兄のみねの名を叫ぶ声がこだまする。
みねが野麦峠で死んだと山安にも伝わる。工女達は一斉にみねのいた物置小屋に駆け寄る。制しようとする黒木。それを阻もうと掴みかかる音松。小屋の周囲には、工女達が全員合掌していた。