勤務先で起きた悲劇
ヌッロは、工場で倒れたカルメーラの体を心配しながら原因が気になっていました。
カルメーラは、そのガスによって体がむしばまれ体を壊しました。
切ない運命を辿ったカルメーラ
カルメーラは、想像を絶する貧困とシチリアの因習に縛られていました。
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カルメーラの自宅は、崩れそうな壁にペンキを塗りたくったような建物で、前方にあるのがトイレで、雨の日は住居から傘を指して行き、トイレのドアに掛かっている南京錠を開けて中に入ります。
ちなみにヌッロの家族は、新興住宅地区のマンションに住んでいて、産主義、無宗教。2人の生活は違い過ぎていました。
兄はすぐ手をあげ、暴力を振るう。また、工場の衛生管理の怠慢があり、カルメーラは劣悪な労働環境の中で有毒なガスを吸い続けていました。
泡を吹く黒い汚水が流れる川の畔で、散乱したゴミの上に落ちていたスズメの死骸を、カルメーラがそっと拾い集め、手で懸命に地面を掘って埋めるシーン。 このシーンは、カルメーラの運命を予感させるものでした。
ローザ・バリストレリ Rosa Balistreri が歌うテーマソングは、まさしくカルメーラの魂の叫びです。
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映画解説
この映画で描かれているのは、ロマンスでも、恋愛悲劇でもなく、労働者階級の愛し合う二人が幸福な生活を営むことができない現実、そのような社会状況である。ネオ・リアリズムの名残りとでも言うべき種類の映画である。今見ると、古臭く見えてしまうが、確かにそういった時代が過去にあったのだろう。(わが国ではどうか? 過去どころか、今こそ、そういう時代になりつつあるのかもしれない?)
ジェンマ主演と言うことで、娯楽映画を期待すると肩透かしを食わされてしまう。
この時期、マカロニ西部劇の人気も落ち込んできて、マカロニの人気スターたちも、色々な方向を模索していた、そのような一本ということ
イタリアの西部劇で活躍し、甘いマスクで魅了させたジェンマ。
※ジェンマは、1960年代から70年代にかけて多くの少年少女、映画ファンの心を掴み、ヒーローであり続けた、“マカロニウエスタンの貴公子(プリンス)”として知られた映画スターでした。
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テーマ曲
映画の音楽は、1940年代から50年間にわたって250本以上の作品を手がけてきた映画音楽作曲家のカルロ・ルスティケッリが担当しています。
claude ciari - delitto d'amore - 1975
この映画は、2人の環境の違いから障害のある恋愛が繰り広げられながら、最後までハッピーエンドでは終わらない物語で、イタリアの時代の闇を漂わせる作品です。
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