映画「ラ・パロマ」娼婦を愛した貴族青年の苦悩と旅立ち
2017年1月24日 更新

映画「ラ・パロマ」娼婦を愛した貴族青年の苦悩と旅立ち

映画「ラ・パロマ」は青年貴族が娼婦に恋をする、よくある恋愛物語とは少し違う。限りある命と死をもっても終わることのない献身的な愛が描かれている。主人公の青年はラ・パロマに翻弄され苦悩する。しかし閉塞感はない。彼女の死により、彼は何かから解放される。映画の最初と最後に現れる、「想像の力」なのだろうか。

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白いバラと娼婦とシャンソン

Rue St Vincent

シャンソン、「サン・ヴァンサン通り」は、パリのモンマルトルの街娼のことをイヴ・モンタン歌っている。
「白いバラ」とは、サン・ヴァンサン通りに立つ娼婦のことだ。

情夫に殺される「白いバラ」の悲しくも美しい曲だ。

青年貴族は、ラ・パロマを身請けする

Ingrid CAVEN : Biography and movies (1801291)

ラ・パロマのところに医者がやってきて彼女を診察する。
結果は結核であと数週間から数か月の命だという。
【感想】短歌/川柳/俳句といちゃいちゃをめぐって-短詩型文学はどんなふうにいちゃいちゃを語るのか- - あとがき全集。 (1801274)

ラ・パロマを身請けしたイシドールは、結核の治療のために、ヨーロッパ中の様々な保養所に滞在した。

イシドールのひたむきな思いが通じたのか、ラ・パロマの病気は徐々に回復に向かっていく。

そして、奇跡が起こり結核は全快する。

イシドールに、病気は感染しなかったようだ。
La Paloma (1974) - MUBI (1801259)

旅行中のふたり、列車の中でヴィオラ(ラ・パロマ)が、「エヴィータが死んだ」と言う。
エヴィータとは、1952 年に死んだエバ・ペロンのことだ。
この映画の舞台の年代は何年代なのだろうか。
イシドールはヴィオラ(ラ・パロマ)を自分が住む館である湖畔の城に連れて帰る。
「ラ・パロマ」 - JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation) (1801295)

イシドールの館で暮らすふたり。献身的な愛情を知りながらも、ラ・パロマは結婚に応じない。

悩んだイシドールは母親(演じる女優はビュル・オジェ)に相談、母親は彼の館にやってくる。

ラ・パロマの事は良い結婚相手と思っていない。彼女の人柄をよく見るように息子に忠告する。
しかし、イシドールの決心がかたいことを知り、ラ・パロマにイシドールと結婚してくれるように頼む。
Ingrid Caven - Tout le ciné Challenges (1801317)

そして結婚する気がなかった身勝手なラ・パロマも、イシドールと結婚をする。

結婚するときもラ・パロマは、黄色いバラの花束を持っている。
La Paloma - La critique (1806820)

映画「ラ・パロマ」の名場面といわれる、イシドールとヴィオラが、結婚式の後にアルプスの山で歌うシーン。
オペラの演出を手掛けている監督なので、オペラでしか表現できないものがあるのだろうか。

「永遠の愛の誓いは死をもって終わることがない」とアリアで歌う二人。
イシドールとラ・パロマが歌う、コルンゴルト作曲のオペラ「死の都」のアリア。「マリエッタの唄」という俗称で知られる「私に残された幸せは "Glück, das mir verblieb" 」と、「ピエロの唄」と呼ばれる「私の憧れ、私の幻はよみがえる“Mein sehnen, mein wähnen”」の二つ。
『ラ・パロマ』◆ダニエル・シュミット ( その他映画 ) - 奇想の庭(復活そして昇天) - Yahoo!ブログ (1806807)

イシドールの館を訪れた、友人ラウル(ペーター・シャテル)、色男だ。
ラウルの事を気に入ったラ・パロマは彼と関係をもつ。
そして、イシドールの館を出て、ラウルと一緒に暮らしたいと思うようになる。

ラウルは、金はない。ラ・パロマに養うことはできないと断る。
そこで、ラ・パロマは、イシドールにお金を出してもらえばよいと言いだす。

※ラウルは、ラ・パロマを愛していない。
イシドールは、断る。

ラウルといっしょになれない事をイシドールのせいだと逆恨みしたラ・パロマは、復讐のために死ぬことを思い立つ。

ラ・パロマの遺言

Ingrid Caven - Tout le ciné Challenges (1801316)

神父による終油が行われる、ヴィオラ(ラ・パロマ)の最期のシーン。

この時に、冒頭の娼館のシーンで歌っていた歌手とマダムが映し出される。
薬剤や油を注文し調合した美顔薬で顔の美しさ保っていた。しかし、ラ・パロマの体は弱っていき、彼女は死ぬ。

死ぬ前に遺言状の内容を話すラ・パロマ。「3年経ったら、イシドールとラウル、アンナの3人で自分の遺体を掘り起こす。そして日没まで納骨堂に安置すること」。これが、「無限の愛の証明」とし、イシドールに託す。
イシドールの住む館

イシドールの住む館

イシドール家では、一族が死ぬと遺体を裏庭に埋める。ある期間が過ぎると掘り起こし、納骨するしきたりがある。
ラ・パロマが死んだ3年後に、遺言状に開封し、内容を執行するため、ラウルはイシドールの屋敷を訪れた。イシドールとラウル、アンナの3人でラ・パロマを納骨するのだ。

ラ・パロマ遺言どおり、イシドールとラウルは、棺を掘り起こす。

ダニエル・シュミット「ラ・パロマ」の魅力 (1806817)

3年後にラ・パロマとの約束通りに遺体を掘り起こし棺桶を開けた。
すると、そこには生きていた時と変わらず美しいラ・パロマの姿があった。

日没までに納骨をしなければならない。
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